上司に「大丈夫です」って使うのはアリ? 正しい敬語表現

マイナビウーマン

多くの意味合いが含まれる「大丈夫」という言葉。

最近では、若い世代を中心に、肯定や否定の場面で用いられている便利な言葉です。

ただ状況によっては、こちらが伝えたい気持ちとは違う意味で伝わる可能性もあるため、相手に誤解を与えないよう言い換えることが必要です。

そこで、「大丈夫」の本来の意味を確認し、シチュエーション別に使い方をご紹介します。

■「大丈夫」が持つ本来の意味精選版日本国語大辞典を引くと、「大丈夫」には3つの意味があります。

1.「だいじょうふ」と読み、立派な男子2.「非常にしっかりしているさま」や「危なげのないさま」、「間違いないさま」3.「間違いなく」や「たしかに」、「心配いらない」また、「大丈夫」は「丈夫(じょうぶ)」の美称(丁寧にした言い回し)で、本来は1つ目の「立派な男の子」という意味の漢語でした。

しかし、日本では2つ目の「非常にしっかりしているさま」や「危なげのないさま」、「間違いないさま」が発達しました。

さらに「大丈夫」と「丈夫」は、ほぼ同じ意味でしたが近世に分化が起こり、明治以降、「丈夫」が達者な状態や堅固なさまを表すのに対し、「大丈夫」は危なげのないさまや間違いのないさまを表すという区別が明確になりました。

■ビジネスシーンで「大丈夫です」は使ってOK?

ビジネスシーンにおいて、「大丈夫です」を使っても、全く気にならない方もいらっしゃるでしょう。

ただ、繰り返しになりますが「大丈夫です」はさまざまな意味合いを持つため、返答がわかりづらく、かえって相手に迷惑をかけてしまう場合があります。

ですから、特にビジネスシーンでは避けたほうがいい言葉でしょう。

「大丈夫です」の正しい敬語表現「大丈夫です」には(1)「平気」の意味(2)「賛成」の意味(3)「了承」の意味があります。

しかし、現在では誤用の(4)「断る」意味として使っている例が多く見受けられます。

「大丈夫です」は曖昧な表現のため、敬語に言い換える際には、まず自分が相手に何を伝えたいのかを考えることが重要です。

ここでは、ビジネスシーンにおいて、上記意図別に「大丈夫です」を敬語表現にすると、どのような言葉に言い換えることができるのかを見ていきましょう。

◇(1)「平気」の意味で使う場合

目上の人に対して「平気ですか?」と聞きたい場合、「大丈夫ですか?」は軽く聞こえる可能性があります。

そのため、「いかがでしょうか」や「よろしいでしょうか」に言い換えると丁寧です。

また、自分自身が「平気です」と伝えたい場合は、「はい」と述べた後、曖昧な表現は避けはっきりと詳しく答えることが適切です。

いくつかの具体的な例と共に敬語表現を考えていきましょう。

☆例:上司に「(体調など)平気ですか?」と尋ねるときNG「お加減は大丈夫ですか」OK「お加減はいかがでしょうか。

くれぐれもご自愛なさってください」☆例:上司に都合を確認するときNG「ご相談したいことがあるのですが、ただ今お時間大丈夫ですか」OK「ご相談したいことがあるのですが、ただ今お時間よろしいでしょうか」☆例:上司に「(体調など)平気です」と伝えるときNG「はい、全然大丈夫です」OK「はい、おかげさまでよくなりました」◇(2)「賛成」の意味で使う場合

この場合の「大丈夫です」は「問題ございません」を使うといいでしょう。

☆例:上司の問いかけに対して賛成を伝えるときNG「今回のイベントは、A企画を進めるのでいいかな?」/「はい、大丈夫です」OK「今回のイベントは、A企画を進めるのでいいかな?」/「はい、問題ございません」「はい、よろしくお願いいたします」目上の人に、賛成の意味で「大丈夫です」と伝えるときは、はっきりと「はい、よろしくお願いいたします」と言うのがベスト。

相手が確認する手間を省き、お互いスムーズに仕事を進めることができます。

◇(3)「了承」の意味で使う場合

了承の意味を伝えたいなら、「大丈夫です」は「かしこまりました」や「承知いたしました」に置き換えると綺麗です。

☆例:上司の問いかけに対して了承を伝えるときNG「明日までに報告書を提出できますか」/「はい、大丈夫です」OK「明日までに報告書を提出できますか」/「はい、かしこまりました」「はい、承知いたしました」日本語は、状況や相手によって言葉を使い分ける必要があります。

今回のシチュエーションでは「承知いたしました」、さらに丁寧な言い方として「かしこまりました」を用いましょう。

◇(4)「断る」意味で使う場合

相手に何かを勧められて断る際、「大丈夫です」と答える人が増えています。

断りづらい場面でも、柔らかいニュアンスに聞こえるため、便利な言葉として使われているのです。

しかし、この場合「おかわりはいるの? いらないの? どっちなの?」と、かえって相手を混乱させてしまう恐れがあります。

ですから、自分の意図が正しく伝わる言葉に置き換えることが重要です。

断る意図での「大丈夫です」は、はっきりとお断りの意思を示す言葉に変えましょう。

☆例:お茶のおかわりを勧めてくれたが断るときNG「宜しければ、お茶のおかわりはいかがでしょうか」/「大丈夫です。

ありがとうございます」OK「宜しければ、お茶のおかわりはいかがでしょうか」/「ありがとうございます。

もう十分いただきました」■「大丈夫です」を伝える敬語のメール例文会話の途中に「大丈夫です」を使う場合、状況によっては相手に意味を確認することも可能です。

しかし、メールの場合、お互いの顔は見えないため、こうした意思の疎通を取り合うことが難しいもの。

相手の手間や時間を頂戴することになり、迷惑をかけてしまいます。

ですから、文章でも適切な言葉に言い換え、正確に自分の気持ちを伝えることを心がけましょう。

3つの代表的なケースを挙げて、メール例文を紹介します。

◇(1)指定された日程で「大丈夫です」

お客様(○○様)から会食の日程についてメールが送られてきました。

指定された日程で「了承の意味」の「大丈夫です」を伝える返信の例文を見ていきましょう。

○○様いつも大変お世話になっております。

△△株式会社の△△でございます。

この度も、お忙しい中ご返信くださり誠にありがとうございます。

会食の日程ですが、×月×日(金)18時に△△レストランにてかしこまりました。

先日、テレビで放映された人気の△△レストランだと上司から伺いました。

当日を心待ちにしております。

この場合、【本文4行目】を「かしこまりました」に言い換えました。

「承知いたしました」を用いても間違いではありませんが、お客様に対しては「かしこまりました」のほうが丁寧な言い方です。

◇(2)誘いに対して断る意味での「大丈夫です」

飲み会などの誘いを「私は大丈夫です!」などと断っていませんか。

人によっては、「行くの? 行かないの? どっち?」と迷うこともあり、その場合、相手の表情を見て判断しなければならないことも。

ただ、お互いの顔が見えないビジネスメールで断るときは、相手に誤解を招かないよう特に注意が必要です。

それでは、お客様からの会食のお誘いに対して、海外出張のため「断る意味」である「大丈夫です」を伝える例文を見ていきましょう。

○○様おはようございます。

△△株式会社の△△でございます。

この度も、会食にお誘いくださりいつもありがとうございます。

こちらの都合で申し訳ございませんがその日は海外出張が入っておりまして参加が難しい状況でございます。

次回は、ぜひとも参加したいと存じます。

誘いを断るビジネスメールでは、曖昧な表現は避けたうえで、相手に不快感を与えないよう配慮することがポイントです。

この場合、まずは誘ってくれたことへのお礼を述べ、続いて断る理由をシンプルに伝えます。

最後に、次につなげるひと言を添えておくとさらに良いですね。

◇(3)心配されたことに対して「大丈夫です」

体調がすぐれないときや食欲がないときなど、誰しも経験したことがありますよね。

このとき、周囲が心配してくれたことに対して、メールではどのように伝えると相手に気持ちが届くのかをご紹介します。

○○部長本日も大変お疲れさまでございます。

経理部の○○でございます。

本日、突然の体調不良のため皆様にご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。

ご心配をおかけしましたが現在は、熱も下がり少しずつ回復しております。

また、皆様から励ましのメールを頂戴しお心遣いに感謝申し上げます。

まずは、体調不良で迷惑をかけてしまったことに対して、お詫びとお礼を述べます。

続いて、今の体調について「もう大丈夫です」とひと言で終わらせず、具体的に記しておくと、相手も安心するでしょう。

時代と共に変化する「大丈夫です」の使い方と敬語言葉は、時代と共に変化します。

ですから、辞書にない意味合いでも、多くの人が「この意味は合っている」と認識すればどんどん広まり、何が正しく、間違っているのかが判断できないこともあるでしょう。

シチュエーション別での言い方を参考に、相手に自分の気持ちが正しく伝わる言葉をぜひ考えてみてくださいね。

(川道映里)※画像はイメージです。

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