性格のせい? 違います!「ココロのSOS」見逃さないで

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 なんだか気分が落ち込む。やたらイライラする。自分を好きになれない。周りと比較してしまう。こうしたメンタルの落ち込みを感じる女子が、コロナ禍で急増しているという。

 ココロの不調を放置していると、いつの間にか「グレーゾーン」に。さらに放置していると、ココロの病気にかかってしまう危険性も......。

 ともクリニック浜松町院長・福永伴子さん監修の本書『お医者さんと一緒に解決 わたしのココロにしてあげたいこと。』(朝日新聞出版)は、人には言いづらいココロの悩みに寄り添い、ココロにいいことを教える1冊。

 「モヤモヤしたり、生きづらいと感じるのは、ココロからのSOS。あなたが弱いからでも、性格の問題でもありません」

ココロに効く2大要素

 ココロの不調を予防&ケアするために知っておきたい2大要素があるという。

 1つ目は、体中の働きをコントロールする「自律神経」。「自律神経」は、体を活発に動かす「交感神経」と体を休める「副交感神経」に分かれる。これらは「シーソーのような関係」で、バランスがとれていれば全身が正常に機能する。

 2つ目は、体とココロを安定化させる「3大幸せホルモン」。「3大幸せホルモン」には、ココロを落ち着かせる「セロトニン」、幸福感を与える「オキシトシン」、快感をもたらす「ドーパミン」がある。それぞれが適切な量、適切なタイミングで分泌されれば、ココロが健康に保たれる。

 「本書では、自律神経とホルモンのバランスを整えることに焦点を置いたセルフケアを紹介していきます。手軽にできるものばかりなので、ぜひ実践を」

ココロの不調は改善できる

 そして、ココロを健やかに保つために欠かせないのが「セルフケア」。生活リズムを整える、食事に気をつける、体を動かす、考え方を変える。これらは、ストレスと上手につき合えるココロを作る助けになる。

 ただ、「セルフケア」をやってもなんだか本調子でないときは、迷わず医療機関を受診することをすすめている。「こんなことで受診して大丈夫かな?」と心配になるかもしれないが、治療が必要かどうかを含めて医師が判断する。病院での治療には「薬物療法」と、医師との対話による「精神療法」がある。

 「病院での治療と並行して、無理のない範囲でセルフケアもおこなうことが回復への近道となります」

元気なときにしておきたいこと

 本書の目次は以下のとおり。

 PART1は「ひと目でケースがわかるマンガ」「お悩み相談」「先生からのアドバイス」の構成で10の「モヤモヤあるある」を、PART2から4は「生活習慣」「食事編」「運動編」「マインド編」のセルフケアを、PART5は「よくある症状」「病気が起こる仕組み」「治療法、経過の解説」の構成で11の病気を紹介している。やわらかい文・イラストでとっつきやすい。

■CONTENTS

 PART1 Case Study 先生! このココロのモヤモヤどうにかしたいです!
 PART2 セルフケア/生活習慣 朝起きてから寝るまで。
 PART3 セルフケア/食事&運動 食べること&動くこと。
 BOOK IN BOOK 教えて! ココロのお医者さん はじめてのQ&A ―医療機関での治療 HOW TO BOOK―
 PART4 セルフケア/マインド 生きづらさを減らすために。
 PART5 ココロのトリセツ 大人女子は要注意! ココロの病気事典

 ここでは、2つのセルフケアを紹介しよう。まずは「香りに理屈はナシ! 香りのチカラ、あなどるなかれ。」から。

 「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」は理性的・知的な思考をつかさどる「大脳新皮質」に伝わるが、五感の中で唯一「嗅覚」のみ、感情・本能をつかさどる「大脳辺縁系」に伝わる。そのため、気分を変えるには香りが効果的なのだという。

 お気に入りの香りが見つかったら、ハンカチなどにしみ込ませておき、ストレスを感じたときにクンクン嗅ぐのがいいそうだ。

 次に「つらいときの逃げ場作り "小確幸リスト"がモノをいう。」から。「小確幸(しょうかっこう=小さいけれど確かな幸せ)」は、村上春樹さんの造語なのだそう。

 誰しも1つのことにのめり込みすぎると、依存になりかねない。また、失ったときのダメージも大きい。そこで、元気なときに「小さなハッピー」をリストアップしておく。しんどいときにそれらを実践すると、エネルギーを分散して健やかな気分転換になるそうだ。



 「まずはセルフケアで疲れたココロをいたわってあげてほしい。そして、もしもグレーゾーンを越えてどうしようもなくなりそうだったら、迷わずお医者さんへ足を運んでほしい。そんな気持ちで本書を作りました」

 自分が感じている不調は、単なる気のせいor病気? 大丈夫な「安定ゾーン」or要注意な「グレーゾーン」or一刻も早く受診したほうがいい「危険ゾーン」のうち、自分は今どこにいるの? その見極めはむずかしいもの。ぜひ本書を手がかりに、「ココロからのSOS」を見逃さないようにしてほしい。


■福永伴子さんプロフィール

 医学博士、ともクリニック浜松町院長。1994年順天堂大学医学部医学科卒業。その後、順天堂大学医学部精神科、築地サイトウクリニックをはじめ、複数のクリニックで診療経験を積み、2011年に精神科・心療内科としてともクリニック浜松町を開院。日本精神神経学会精神科専門医、日本医師会認定産業医。



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