【副作用】ウコンとアガリクスによる肝機能障害に注意!
健康や若さの秘けつというものは、いつも自然の中に隠されています。
肌のコラーゲン生成を促進するビタミンCも、
血管の健康を保つセサミンも、すべて食材のなかに存在するものです。
近年は様々なテクノロジーの進歩により、植物や果実などのエキスを抽出することができるようになり、自然の恵みをサプリメントという形で手軽に摂取することが可能となりました。
しかし、自然物から得られる抽出物には、メリットだけでなく、恐るべき危険性をはらんでいることもあります。
特に、サプリメントとして人気が高い「ウコン」や「アガリクス」。
日常的に摂取している方も少なくないかもしれませんが、実は「肝機能障害」を引き起こす可能性があります。
本日は、ウコンとアガリクスの「危険性」という点に焦点を当てたいと思います。
「自然由来 = 安全」は幻想!
「自然由来」と聞いて、どんなイメージが湧きますか?
「健康に良さそう」
「体への負担が少なさそう」
「安全そう」
「副作用がなさそう」
そんな印象をお持ちの方、少なくないのではないでしょうか?
最近は、「自然由来」を売りにした、さまざまな商品が販売されていますね。
「ナチュラル素材」「自然派」「天然由来」
サプリメントや健康食品を調べてみると、こういった文言が多く見受けられます。
たしかに、自然由来の食品というのは体への作用がマイルドな傾向がありますし、なんといっても安心感がありますよね。
しかし、自然のものだからといって、安全だと過信してしまうのは大きな間違い。
自然の食品の中にも、大きな副作用があるものはたくさんあります。
分かりやすい例でいうと、肺がんの原因となるタバコも、大麻として知られるマリファナも、どちらも完全なる自然由来です。
これは極端な例ですが、どんなに安全性が高いとされる自然由来の食べ物も、過剰摂取によって副作用を引き起こし得ます。
このように、「自然由来 = 安全」という構図は成り立たないのです。
ウコンとアガリクスに注意が必要?
健康食品のなかでも特に人気があるのが「ウコン」や「アガリクス」等の滋養強壮に良いとされる食材。
飲み会などの前にウコンドリンクを飲んだことがある、という方も少なくないのではないでしょうか?
これらの食品は、素晴らしい効能を持っているのはたしかです。
実際、ウコンドリンクを飲むことで悪酔いしなかった、という経験がある方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね。
しかし同時に、深刻な副作用を引き起こす可能性があるということをご存知でしたか?
実は、ウコンやアガリクスの健康食品の摂取によって、多数の健康被害が報告されています。
本日は、健康食品として人気なこれら2つの食材に焦点を絞って、そのリスクについてお話ししていきたいと思います。
そもそも「ウコン」とは?
副作用についてお話しする前に、まずはこれらの食材の基本的な情報をご紹介したいと思います。
まずは「ウコン」から。
コンビニエンスストアでもさまざまなウコンドリンクが販売されているので、これについてはご存知ない方はいらっしゃらないかもしれませんね。
ウコンとは、ショウガ科ウコン属の多年草植物のこと。
「秋ウコン」「春ウコン」「紫ウコン」など、さまざまな種類があります。
サプリメントや健康食品としても人気の高い食材で、次のような効果があると言われています。
・肝機能を高めることで、二日酔いを予防する
・脳梗塞を予防する
・アルツハイマー型認知症の予防する
・糖尿病を予防する
・癌を予防する
・腎機能の低下を予防する
・体の炎症を抑える
・がんを防ぐ
ざっと挙げただけでも、このように様々な機能があると言われています。
これだけ見ると、まるであらゆる病気に効くような印象ですね。
ウコンの効果の科学的根拠は?
このようにさまざまな素晴らしい健康効果を持つと言われるウコンですが、実際にそのような効果は期待できるのでしょうか?
実は、ウコンに対する臨床試験はほとんど行われておらず、まだ試験管や動物実験レベルの結果しか出ていません。
これらの効果を裏付ける科学的根拠が圧倒的に不足しています。
たしかに、「飲み会の時にウコンドリンクを飲むことで翌日二日酔いしなかった!」と体幹的に感じている方もいることから、なんらかの効果はあるのかもしれませんが、科学的なデータが無い以上、過度な期待をすることはできません。
ウコンで肝機能障害を引き起こす?!
そんなウコンですが、効果が無いだけならまだしも、実は深刻な肝機能障害を引き起こす可能性があるとして問題になっています。
皮肉なことに、「肝臓に良い」ということについては科学的根拠がない一方、「肝機能障害を引き起こす」ということを裏付けるエビデンスは存在しています。
実際、ウコンを服用することで肝機能障害が起こってしまった!という報告が多数。
ウコンのみならず、健康食品やサプリメントで最も多く報告される健康被害は「肝機能障害」なのですが、その原因食品として最も多く報告されているのが、なんとウコンなのです。
「肝臓に良いから」と飲んでいたウコンが肝臓を悪くしていたなんて、なんだかショックですよね・・・。
「アガリクス」とは?
副作用の懸念があるのは、ウコンだけではありません。
続いて「アガリクス」のリスクについてもお話ししていきたいと思います。
ウコンと比べると、やや知名度が低い「アガリクス」ですが、誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
アガリクスとは正式には、キノコの「種類」の名称です。
「アガリクス」という名前のキノコがあるわけではありません。
たとえば、
・ハラタケ
・シロオハラタケ
・ザラエノハラタケ
・マッシュルーム
といったキノコはすべてこの「アガリクス」という種類に属します。
しかし、サプリメントや健康食品の世界で「アガリクス」と呼ばれているのが「ヒメマツタケ」というキノコ。
アガリクスはハラタケ属のキノコの総称としての言葉なので、これは正確に言えば誤用なのですが、
いつの間にか「アガリクス=ヒメマツタケ」というイメージが世間に浸透してしまいました。
「神のキノコ」と呼ばれたアガリクス
そんなアガリクス(ヒメマツタケ)ですが、薬理効果が高いとして
・神のキノコ
・太陽のキノコ
・生命のキノコ
等と呼ばれ、健康食品として高い人気を誇ってきました。
神聖視されているアガリクスですが、一体どのような効果があると考えられているのでしょうか?
主な効果としては、次のように標榜されています。
・免疫力を上げる
・がんを予防する
・コレステロール値を下げる
こちらも、一見すると驚いてしまうような効果ばかりですよね。
でも、実際にそんな効果があるのでしょうか?
「抗がん作用」はウソだった?
アガリクスに「抗がん効果がある」ということが日本で知られるようになったきっかけとしては、とある出版社が「即効性アガリクスで末期がん消滅!」というタイトルで本を出していたことも関係しています。
この本では「がんが治った!」という69人の体験談が綴られていましたが、実はすべて作り話だったということが発覚。
のちにこの出版社の役員は薬事法違反で逮捕されました。
アガリクスの抗ガン作用については、ウコンの場合と同じく、今のところ信頼できる臨床データがありません。
現時点では過度に期待しない方が良いでしょう。
アガリクスの摂取で肝機能障害に?
そしてアガリクスも、「効果が無い」だけでは終わりません。
アガリクスの摂取によって、肝機能障害が起こってしまう可能性があるのです。
先ほど、健康被害として肝機能障害が最も多く報告されている食品はウコンだと述べましたが、実はウコンの次に多く報告されているのが「アガリクス」なのです。
実際、アガリクスの健康効果を確かめる研究のためにガン患者たちにアガリクスを服用させていたところ、重篤な肝機能障害に陥ってしまった例も報告されています。
むやみやたらに健康食品として摂取するのは避けた方が無難であるといえるでしょう。
食事として摂る分にはOK!
今回は、ウコンとアガリクスの「リスク」という恐ろしい部分にフォーカスしましたが、
だからといって、食品中のウコンやアガリクスを必要以上に避ける必要はありません。
ウコンに含まれる「クルクミン」はポリフェノールの一種であり、抗酸化作用などが期待できますし、アガリクスに含まれる「β-グルカン」には体調を整える効果があると言われています。
実際、インド人はよくカレーを食べますが、だからと言ってインド人に肝障害が多いという話はあまり聞きませんよね?
ウコンもアガリクスも、食品として適量を食べる分には、むしろ健康をサポートするのにプラスに働いてくれる可能性があります。
食事として適量摂る分には、特に問題はありません。
問題なのは「過剰摂取」。
サプリメントなどは一粒に成分が濃縮されているため、過剰摂取しているつもりはなくても摂りすぎになってしまいます。
ウコンやアガリクスは食事に取り入れる程度におさえ、サプリメントで長期間摂取するのは避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本日は、ウコンとアガリクスの「危険性」という点についてお話ししました。
これはどんな健康食品にもいえることですが、やはり過剰摂取は禁物。
思わぬ副作用を起こしてしまう可能性があります。
特に肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、異変を感じた時にはすでに手遅れ…ということもおかしくありません。
「何を摂るべきか」「何を摂るべきでないか」という選択は、慎重に行うようにしましょう。
<参考URL>
・全日本民医連 https://www.min-iren.gr.jp/?p=3436
・「統合医療」情報発信サイト http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/46.html
・J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/46/3/46_3_142/_pdf
・日経ビジネス https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/238739/100400204/
・アガリクスの王様キングアガリクス https://www.kingagaricus.com/post-2434/
・福島労災病院 http://www.fukushimah.johas.go.jp/wordpress/wp-content/uploads/file/news-knowledge/24.pdf
・ライフライン21 がんの先進医療