【医師監修】フッ素って危険なの?フッ素を塗布することで期待できる3つの効果とは
歯磨き粉に配合されることの多い「フッ素」。
みなさん一度はその文字を目にしたことがあると思いますが、フッ素って果たしてどんなものなのかご存知ですか?
意外とその実態を知らないという方も多いのではないでしょうか?
そのメカニズムを知ると、感謝したくなるほどの素晴らしい成分なんです。
「あれ、でもフッ素って本当は危険だって聞いたことあるけど・・・?」
そう思った方は、きっと歯に対する意識がとても高く、日ごろから良く調べている方かもしれませんね。
実際、フッ素は歯に良いのか悪いか・・・。
本日は大学病院で高齢者歯科学講座兼任講師も務める歯科クリニック院長監修のもと、フッ素の真相に迫っていきたいと思います。
フッ素ってなに?
歯磨き粉やマウスウォッシュなどに配合されている「フッ素」。
「高濃度フッ素配合」「フッ素〇〇ppm配合」などの文字はよく見かけますよね?
でも一体、フッ素ってどのような物質なのでしょうか。
なんとなく歯に良いイメージはあるけど、歯にどう良いのかは分からない・・・。
そんな方が大半かもしれませんね。
フッ素は、天然の元素のひとつです。
※元素とは、「水素」「炭素」「窒素」などの物質の最小単位のことで、フッ素もそういった元素のうちのひとつ。
私たちが普段食べている食べ物の中にも、多かれ少なかれこのフッ素が含まれています。
そんなフッ素の主な働きは、「歯を健康に保つ」ということ。
フッ素を歯に塗布することで、歯に対するさまざまな効果を期待することができるのです。
フッ素を歯に塗るとどうなる?
では、フッ素を歯に塗ることで、どのような効果を期待することができるのでしょうか?
ここからは、フッ素の効果についてご説明していきたいと思います。
フッ素塗布の効果(1)初期の虫歯を修復する
フッ素の主な効果としてまず挙げられるのは、「初期の虫歯を修復してくれる」ということです。
むし歯菌は活発になると酸を出すのですが、この酸によって歯の表面のエナメル質からカルシウムが溶け出してしまいます。
しかし、一度カルシウムが溶け出してしまっても再度エナメル質に取り込まれ、「再結晶」するというはたらきが備わっています。
このとき、フッ化物が存在していると、再結晶を手伝ってくれるのです。
つまり、初期の虫歯であれば、むし歯菌によって溶けてしまった歯を修復することができるということです。
フッ素はその後押しをしてくれます。
フッ素塗布の効果(2)歯を強くする
エナメル質は、カルシウムを材料に作られた「ハイドロキシアパタイト」という結晶によってできています。
このハイドロキシアパタイトは、酸に弱く壊れてしまいやすいという特徴があります。
しかし、ここにフッ化物がはたらきかけると、「フルオロアパタイト」という物質に変化します。
フルオロアパタイトになることで、酸に対して強くなるのです。
つまり、むし歯になりづらい、丈夫なエナメル質を作ることができるということです。
フッ素塗布の効果(3)細菌の活動を抑制
フッ素は、歯を修復したり強くするだけではなく、細菌の活動自体を抑制するという効果もあります。
歯のエナメル質は細菌が出す「酸」によって溶けてしまうと言いましたが、フッ化物がむし歯菌の中に取り込まれると、むし歯菌が酸を出すのを抑えてくれるのです。
そういった意味でも、フッ素はむし歯を防いでくれます。
フッ素は危険じゃないの?
このように、さまざまなアプローチで歯の健康を保ってくれるフッ素。
どれほど優秀な物質なのかがお分かりになったのではないでしょうか?
でも中には、
「フッ素って体に悪いんじゃないの・・・?」
「がんになるって聞いたけど・・・?」
普段からよくニュースなどを見ている方の中には、そう思ったかたもいらっしゃるかもしれませんね。
たしかに、フッ素は大量に飲み込んだりすると胃の中で毒性の強い物質に変わったり、骨に沈着して骨の成長に悪影響を与えることがあります。
しかし、それはあくまでも「過剰摂取」した場合。
私たちは歯磨き粉を食べたり飲んだりするわけではありません。
虫歯予防のためにフッ素入りの歯磨き粉を日常的に使っていたとしても、まず問題はないでしょう。
そもそも、フッ素自体は「必須栄養素」と言われており、私たちは気づかないうちに食品などから摂取しています。
それくらい身近な物質なのです。
どんなものでも、過剰摂取すれば健康を害してしまうのは当然のこと。
フッ素だけを取り立てて悪者扱いする必要はありません。
とはいえ、歯磨き粉やマウスウォッシュを飲み込むのは絶対にやめてくださいね。
フッ素うんぬんの問題ではなく、どう考えても体に毒です。
フッ素はどうやって取り入れるのがベスト?
さて、そんなフッ素ですが、どうやって取り入れるのが一番良いのでしょうか?
ドラッグストアには、下記のような日常的に使用することができるフッ素入りアイテムを手に入れることができます。
フッ素配合アイテム(1)フッ素入り歯磨き粉
フッ素を日常的に取り入れるもっともシンプルなアイテムは、やはり歯磨き粉。
歯磨き粉は毎日するものですから、いやでも使用することになります。
「フッ素高濃度配合」と記載された歯磨き粉を選び、毎日フッ素ケアをするようにしましょう。
特におすすめなのは「夜寝る前に使用する」ということ。
口の中の最近は夜寝ている間に繁殖するため、あらかじめフッ素でコーティングしておくことで、むし歯を防ぐ効果が期待できます。
フッ素配合アイテム(2)フッ素入りマウスウォッシュ
歯磨き粉と併用して、フッ素が配合されたマウスウォッシュを使用するのもオススメです。
歯磨きだとどうしてもフッ素を満遍なく行きわたらせるのが難しいかもしれませんが、マウスウォッシュなら歯ブラシが届かない隅々までフッ素を行きわたらせることができます。
そのため、お口を丸ごとフッ素でコーティングすることができるのです。
ちなみに、フッ素入りのマウスウォッシュでうがいをしたあと、スースー感が気になって水で丁寧にゆすいでしまう方もいらっしゃると思いますが、これだとせっかくのフッ素が流れてしまう原因になるので、水でのすすぎは控えめにしておきましょう。
そうすることで、よりフッ素の恩恵にあずかりやすくなります。
フッ素配合アイテム(3)フッ素入りジェル
「フッ素ジェル」というのもドラッグストアで見かけることがありますね。
よりフッ素でしっかりとコーティングしたい、という方におすすめです。
スキンケアにたとえると、歯磨き粉が「洗顔料」だとすると、フッ素ジェルは「化粧水」。
よりフッ素をしっかりと歯に与えることができます。
歯ブラシにジェルをつけたら、すべての歯に行きわたるように軽く磨いてください。
使用後は水でゆすぎすぎないのがポイントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本日は、「フッ素」の魅力についてお話ししました。
フッ素を上手に取り入れることで、健康的な歯を保ちましょう。
とはいえ、フッ素は万能薬ではありませんし、「これさえしておけばむし歯にならない!」というものでもありません。
歯科医院での定期的な歯の検診やクリーニングは欠かさず行うようにし、メンテナンスとしてフッ素入りのアイテムを自宅で使うのがベストです。
※但し、市販の歯磨き粉の中には研磨剤が多量に含まれ歯が傷つきやすいものもあるので、歯磨き粉選びは歯科医院でしてもらうことをおすすめします。
5年後も10年後も美しい歯で笑うため、正しいお手入れをするようにしましょう。
監修医師プロフィール
五反田駅前歯医者 院長 大木 烈 氏
[経歴]
歯科医師、歯学博士。
昭和大学歯学部卒業。
2020年12月に五反田駅前歯医者を開院。
2021年6月より、昭和大学歯科病院兼任講師。
子どもから大人まで、歯のお悩みを全てケアする総合歯科医。
仕事の流儀は「努力を惜しまず日々研さん。患者さまに提供する治療の選択肢を多く持ち、よりよい結果に導けるようにすること」。
大型法人の理事長も兼務しております。
累計診察患者様2万人以上で、美容歯科よりも多くのセラミック経験があります。
[保有資格・所属学会]
厚生労働省認定臨床研修医指導医
国際インプラント学会専門医
米インディアナ大学インプラント科客員講師
米インディアナ大学歯科矯正科認定医
米インディアナ大学医学部解剖学認定医
米インディアナ大学材料学試験合格
日本歯科補綴学会認定医
日本義歯ケア学会認定義歯ケアマイスター
日本歯周病学会所属
日本臨床歯周病学会所属
日本顕微鏡歯科学会所属
日本口腔インプラント学会所属
インビザラインゴー認定医
第二種歯科感染管理者
昭和大学歯科病院高齢者歯科学講座所属
歯の寿命を伸ばす会所属
船越歯周病研修会ベーシックコース修了
2013年7月 昭和学士会 筆頭演者
医療法人社団雙葉会 法人内セミナー担当
[医院紹介]