【専門家執筆】「ひざの痛みの軽減」にはグルコサミンが有効?痛みの原因や効果的な対策方法5選をご紹介
「更年期のひざの痛みにグルコサミンは本当にいいの?」
と、気になっている方も少なからずいらっしゃるかと思います。
更年期に入り、ベッドから起き上がるタイミングや、椅子から立ち上がって歩きはじめるタイミングでひざの痛みを訴える女性は多いようです。
本記事では、ひざの痛みに効くと言われている「グルコサミン」の効果や、ひざが痛む原因、その対策方法について解説していきたいと思います。
グルコサミンの役割と効果
まずは、グルコサミンという成分や特徴について解説していきます。
グルコミンサンって?
グルコサミンは、アミノ糖の一種。
もともと体内にある成分で、関節軟骨の主成分「ヒアルロン酸」「プロテオグリカン」の原料です。
加齢に伴い、体内での合成能力は次第に衰えていきますが、グルコサミンを補給することで合成のサポートができると考えられています。
軟骨のすり減らしを予防して関節の動きをなめらかにし、関節痛を改善する効果が期待できるためです。
グルコサミンはエビの殻、カニの甲羅、動物の軟骨に多く含まれています。
なかでも、手軽に摂取しやすい食材のひとつに干しエビがあります。
ただ、毎日干しエビや鶏肉などの軟骨を食べるのは大変ですよね。
そのような場合は、サプリメントも上手に活用するとよいでしょう。
サプリメントを使用する際の注意
サプリメントを使用する際は、ご自身がもつアレルギーや現在服用している薬とあわせて飲んでも支障がないかなどの確認と注意が必要です。
サプリメントのなかには、エビの殻やカニの甲羅に含まれる「キチン」を使用した商品があります。
甲殻アレルギーの方はアレルギー症状が出たり、最悪の場合アナフィラキシーショックを発症したりする恐れがあるため、成分を確認してから購入するようにしましょう。
また、グルコサミンは血糖値、中性脂肪、コレステロール値、血圧を上げる可能性が示唆されています。
糖尿病、高脂血症、高血圧の人は定期的に測定し、変動を観察しながら使用してください。
薬に関しては、血液が固まるのを防ぐワルファリンの作用を強めたという報告があります。抗血栓薬を服用している方は、必ず医師に相談しましょう。
ひざの痛みのメカニズム
更年期によるひざの痛みには、関節のこわばり、腫れ、皮膚をアリが這うような蟻走感(ぎそうかん)などがあります。
なかには、階段の上り下りがツラい、ヒールが履けない、歩けないほどひざが痛いと訴える方も…。
このようなひざの痛みを引き起こす原因のひとつが「女性ホルモンの分泌量減少」です。
女性ホルモン(エストロゲン)には、骨や軟骨、筋肉を健やかに保つ役目があるとされています。
そのため、更年期に入り女性ホルモンが減少すると軟骨の合成が難しくなり、徐々に軟骨がすり減って変形性ひざ関節症のリスクが上がります。
また、筋肉量の少なさや筋肉の衰えも原因のひとつです。
女性は男性に比べてひざのクッション機能を果たす筋肉量が少なく、それに加えて運動不足により筋肉が衰えると、よりひざを支える筋力が低下します。
その結果、ひざ関節のバランスが悪くなり、ひざに負担がかかって痛みが引き起こされます。
他にも、脚の骨格の変形や扁平足、外反母趾によるひざ関節のダメージも原因に挙げられます。
ひざの痛みに効く対策5選
ひざに痛みがみられる場合、まずは熱を帯びていないか、もしくは腫れていないかを確認してください。
熱っぽさや腫れがある場合は炎症を起こしている可能性があるため、冷やす必要があります。
※ここでお伝えする5つの対策方法は、熱っぽさや腫れがないときに行ってください。
ひざを温める
脚を冷やすと、痛み物質や老廃物が滞ったり、筋肉が硬くなり痛みが悪化しやすくなったります。
ひざを温めることを意識し、痛みの緩和を目指しましょう。
温める方法として「アロマオイルでマッサージを行う」「カイロや蒸しタオルをひざに乗せる」といった方法があります。
アロマオイルを使用する際は、血行促進作用のあるグレープフルーツやジンジャー、ローズマリーがおすすめです。
靴の見直し、インソールの変更
自分の足に合った靴を履くことで、ひざへの負担を減らせます。
かかと部分が低く、フラットに近い靴やサイズが合う靴を選びましょう。
扁平足や外反母趾の方は、インソールを変更することでひざへの負担を軽減できます。
扁平足の方は、土踏まず部分が盛り上がり、衝撃を軽減するインソールがおすすめです。
外反母趾の方は、出っ張り部分を保護できるグッズやインソールを使用しましょう。
ひざ用サポーターの使用
ひざ用サポーターは、痛みの緩和や変形性ひざ関節症の進行を遅らせる効果が期待できます。
ひざを固定することで過度な動きを抑制したり、ひざへの衝撃を緩和したり、関節の動きをサポートしたりする効果があるためです。
加えて、ひざを温める効果も期待ができます。
適度な体重の管理
体重が標準より重たく肥満気味の方は、体重管理をしましょう。
肥満気味になるとひざ関節に負担がかかり、特に中腰姿勢やねじる動作の際にひざの痛みが起きやすくなります。
ひざ周りの筋力をつける
運動や筋力トレーニングでひざ周りの筋力をつけ、ひざへの負担を減らしましょう。
トレーニングは、仰向けに寝た状態で片方の脚を立て、もう片方はまっすぐ伸ばして足先を上に向けた状態で行います。
(1) 伸ばした脚を床から10cmほど浮かせて5秒キープ
(2) ゆっくり下ろして2~3秒休憩
(3) 伸ばした脚を床から10cmほど浮かせて5秒キープ
この動きを左右で1日20回ずつ行いましょう。
漢方薬によるひざの痛みの解決法
ここまでグルコサミンやひざの痛みを緩和する方法について解説してまいりましたが、もうひとつ、ひざの痛みには漢方薬を服用するのもおすすめです。
サプリメントのように漢方薬を毎日飲むことで、カラダの内側から体質の改善を目指せます。
ひざの痛みの原因は冷えや加齢、血行不良、筋力の低下、肥満などと考えられています。
ひざの痛みの対策には、関節や筋肉の痛みを取る鎮痛作用に加えて「水分の循環を良くして冷えや水太り、むくみを解消する」「血流を良くして痛みを改善する」「カラダを温める」「加齢による体力の衰えを補い、痛みを和らげる」などの働きをもつ生薬を含む漢方薬で、根本改善を目指します。
<ひざの痛みなどにおすすめの漢方薬>
●桂枝加苓朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
カラダを温め血流を良くする働きをもち、手足が冷える方の関節痛、神経痛に効果があります。
●五積散(ごしゃくさん)
冷えがある人の関節痛、腰痛、神経痛などに用いられる漢方薬です。主に下半身の冷え、上半身ののぼせを訴える方に向いています。
漢方薬は体質によって副作用が出たり効果があらわれなかったりするため、ご自身の体質に合う漢方薬を選ぶことが大切です。
普段あまり時間がないという方には、漢方の専門家にオンラインで個別相談ができ、個々人に合った漢方を自宅まで届けてくれる便利なサービスも存在します。
<参考>
まとめ
いかがでしたか?
「グルコミンサン」は、ひざの痛みを軽減する治療に用いられることもありますが、ただ飲むだけで改善を目指すのは難しい場合もあります。
ひざを温めたり、靴を工夫したり、体重管理・筋肉増量などを行うなどして、ひざの痛みを緩和し、ストレスのない生活を目指していきましょう。
<この記事を書いた人>
一般社団法人日本サプリメント協会理事長
後藤 典子(ごとう のりこ)
同志社大学文学部を卒業後、編集プロダクションを経て、医療・健康ジャーナリストに。
YouTubeチャンネルでは健康リテラシー向上のための情報を発信している。
また、2023年よりSフードプロジェクトのリーダーとして、機能性表示食品ののぞましい発展を支援する活動をしている。