敏感肌の要因は春夏と秋冬で異なる?肌がゆらぐ原因と適切なスキンケア方法を解説

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敏感肌の要因は春夏と秋冬で異なる?肌がゆらぐ原因と適切なスキンケア方法を解説

・少しの刺激で肌が荒れ、かゆみやヒリヒリを感じる

・かぶれや湿疹、赤みが出やすい

 

そんなあなたは、もしかしたら敏感肌さんかもしれません。

普段は敏感肌ではなくても、「季節の変わり目は一時的に敏感肌状態になる」という方も多くいらっしゃいます。

 

本日は、敏感肌を引き起こす要因と適切なスキンケア方法を徹底解説!

 

実は、季節によって敏感肌を引き起こす要因が異なるのをご存知でしたか?

肌がゆらいでしまう原因を知り、適切なお手入れを行うことで、すこやかなお肌を保つことは可能です。

敏感肌ってどんな肌?

敏感肌ってどんな肌?

まずは、敏感肌とはどんな肌のことなのか、ということについて解説したいと思います。

 

敏感肌というのは、正式な医学用語ではありません。

そのため、明確な定義は存在しません。

 

しかし、一般的に肌のバリア機能が低下し、さまざまな刺激に対して影響を受けやすく、敏感になっている状態のことを「敏感肌」と表現されます。

 

敏感肌になると、以下のような肌トラブルが起こりやすくなります。

 

・肌がかさついてつっぱる

・肌の赤みが増す

・洗剤や化粧品がしみる

・ヒリヒリ・チクチクした痛みを感じる

・湿疹が発生する

・皮向けや粉吹きが起こる

・ブツブツやニキビなどができる

 

普段は敏感肌でなくても、季節やそのときのコンディションなどによって一時的にバリア機能が低下して敏感肌になってしまうという方も多くいらっしゃいます。

バリア機能の低下がしているってどういうこと?

バリア機能の低下がしているってどういうこと?

そもそも「バリア機能が低下する」とはどういうことなのでしょうか?

 

私たちの肌の一番外側にある角質層はたったの0.02ミリという薄さですが、細胞がレンガを積んだように重なっていて、アレルギー物質・ホコリ・細菌・紫外線といった外界の刺激からお肌を守ってくれています。

 

これが「バリア機能」。

バリア機能は、私たちの肌の健康を守るために欠かせない機能なのです。

 

しかし、乾燥などにより細胞と細胞の間にすき間ができてしまうと、本来なら肌に入ってこないはずのアレルギー物質・ホコリ・細菌・紫外線などが肌内部に侵入しやすくなります。

 

これにより、外からの刺激を受けやすくなってしまうのです。

これが、バリア機能が低下している状態です。

 

外界の刺激が侵入しやすくなることで、赤みや湿疹といった肌荒れが起こりやすくなります。

 

さらにこの状態になってしまうと、かゆみの知覚神経が肌の浅い層まで伸びてきてしまうので、服が擦れるといったちょっとした刺激でもかゆみを強く感じるようになります。

敏感肌を引き起こす原因は季節によって異なる

敏感肌を引き起こす原因は季節によって異なる

敏感肌を引き起こす原因はさまざまですが、「外的要因」によって肌がゆらいでいる方は多くいらっしゃいます。

そしてこの外的要因は季節によってもかなり異なります。

 

ここからは「春・夏に肌がゆらいでしまう原因」「秋・冬に肌がゆらいでしまう原因」をそれぞれ解説していきたいと思います!

春・夏に肌がゆらいでしまう原因

気温が上昇する春から夏にかけては、秋冬と比較すると、空気の乾燥による敏感肌症状は起きにくくなります。

しかしその一方で、他のさまざま要因で肌がゆらいでしまう可能性があります。

 

考えらえる1つ目の要因は「花粉」。

スギ花粉のシーズンである2~4月は、冬の乾燥によってバリア機能が低下してしまった無防備な肌に花粉が侵入することで、肌がゆらぎやすくなります。

 

花粉はアレルギーを起こしやすい原因物質のひとつ。

日本人の2人に1人は花粉症だと言われています。

 

冬の乾燥で角質と角質のすき間が広がってしまった肌に花粉が付着することで炎症が起こり、赤みやかゆみなどの症状が出てしまうのです。

 

2つ目の要因は「紫外線」。

春から夏にかけ、降り注ぐ紫外線の量は急激に増加します。

紫外線を浴びると肌の細胞はダメージを受け、「早く修復せねば!」と肌の生まれ変わるスピードを早めます。

 

すると、未熟な細胞が増えてしまい、結果的にバリア機能が低下してしまうのです。

 

3つ目の要因は「」。

春から夏にかけては、気温の上昇により汗をかきやすくなりますよね。

適量の汗は肌のバリア機能をすこやかに保つのに必要ですが、あまりにも汗をかきすぎると敏感肌を引き起こす原因に。

 

汗が蒸発する時に肌の潤いも一緒に蒸発してしまい、バリア機能が低下してしまうのです。

また、汗が肌に付着したまま放置されると肌はアルカリ性に傾き、表皮ブドウ球菌などが過剰に増殖し、肌への刺激となります。

 

春夏というと、湿度もあって一見肌には優しそうな季節かと思いがちですが、実は敏感肌を引き起こしてしまう要素がたくさんあるんです。

秋・冬に肌がゆらいでしまう原因

逆に、秋や冬といった寒い季節に肌がゆらいでしまうという方も多いかもしれませんね。

 

秋・冬に敏感肌になってしまう最大の原因は、なんといっても「乾燥」です。

秋の肌は夏を越えたばかりなので、まだ紫外線によるダメージが残っている状態。

そんなタイミングで空気の乾燥が始まることで、保湿機能やバリア機能がどんどん低下してしまいます。

 

さらに、冬に近づくにつれて寒さと乾燥から血液循環が滞ってき、だんだんと汗や皮脂量の分泌が少なくなっていきます。

すると、皮脂膜が十分に作られなくなるため、肌はさらに乾燥しやすくなっていきます。

 

このように、秋・冬はカラカラに乾いた空気によって肌の乾燥が厳しくなりやすく、バリア機能が容易に低下しやすい季節なのです。

敏感肌さんが取り入れたい有効成分

敏感肌さんが取り入れたい有効成分

敏感肌さんにとって重要なのは、なんといっても「スキンケア」。

誤ったスキンケアを行ってしまうと、敏感肌を加速させてしまう可能性もあるので注意する必要があります。

 

敏感肌さんが基礎化粧品を選ぶ際、肌荒れの予防効果がある成分が配合されているアイテムを選ぶのもおすすめです。

 

ぜひ試していただきたいのが「トラネキサム酸」という成分。

 

トラネキサム酸は美白成分としてご存知の方も多いかもしれませんが、実は「肌荒れ防止成分」の有効成分として厚生労働省に承認されているのをご存知でしたか?

 

トラネキサム酸は、肌荒れの発生に関係している「プラスミン」のはたらきを抑えるという作用を持っており、肌荒れの症状を予防したり、改善したりする効果があるんです!

敏感肌さんにはとても嬉しいはたらきですよね。

 

ただ、ひとつだけ留意点も。

 

トラネキサム酸入りの基礎化粧品を選ぶ際は、普通の化粧品ではなく、トラネキサム酸を有効成分として配合した「医薬部外品」を選ぶようにしてください。

 

医薬部外品とは、厚生労働省が認めた有効成分が一定濃度で配合されており、特定の効果が承認されている商品のこと。

医薬部外品ではない化粧品の場合、ほんの少ししかトラネキサム酸が配合されていなくても「トラネキサム酸配合!」と記載できてしまいます。

 

しっかりと効果を期待するなら、厚生労働省に効果が承認されている「医薬部外品」を選ぶようにしましょう。

敏感肌さんが避けるべき成分

敏感肌さんが避けるべき成分

ひとえに敏感肌と言っても、「どんな成分に対して刺激を感じるか」は人によって全く異なります。

下記のような成分は肌荒れの原因となりやすい傾向があるので、注意したほうが良いかもしれません。

アルコール(エタノール)

アルコールは揮発性が高く、清涼感を与えてくれる成分としてよく配合されていますが、敏感肌さんの場合は皮膚が乾燥してしまい、バリア機能が低下してしまう原因にも。

 

防腐目的なので多少配合されている分にはあまり神経質になる必要はありませんが、高配合されているものは注意が必要です。

食品成分

敏感肌さんが特に気を付けていただきたいのが「食品成分」です。

 

「100%食品成分で作られた化粧品」と聞くとなんだか肌に優しそうなイメージがありますが、実は非常に高いリスクをはらんでいます。

 

そのリスクはなにかというと、「経皮感作(けいひかんさ)」

経皮感作とは、肌を通して特定の物質が体内に入り、アレルギーの原因物質だと体が認識してしまうことです。

 

敏感肌さんは、バリア機能が低下しています。

バリア機能が低下しているということは、普段だったら肌を通らない成分が肌の中まで侵入してきてしまうリスクがあるということ。

 

本来なら肌を通り抜けることがない成分が肌から入ってくると、身体はびっくりして「この物質は敵だ!」とみなしてしまう場合があります。

そうすると、その物質に対して過敏になってしまったり、次にその物質を口から摂取したときに免疫反応が起こってしまったりします。

 

つまり簡単に言うと「アレルギーを発症する」ということです。

 

たとえば、

 

・小麦由来の成分が入っていた石けんを使用していたら、経皮感作が起こって小麦アレルギーになってしまった。

 

・ナッツのオイルが入っていた自然派化粧品を使用していたら、経皮感作が起こってナッツアレルギーになってしまった。

 

ということが起こり得ます。

 

小麦アレルギーを発症してしまえばパンやパスタを食べられなくなってしまいますし、ナッツアレルギーになってしまえばナッツを食べられなくなってしまいます。

 

化粧品のせいで、その後一生アレルギーと付き合うことになってしまうリスクがあるので、敏感肌さんは食品成分でできた化粧品に気を付けましょう。

植物オイル・植物エキス

これまた敏感肌さんに優しいイメージがある「植物オイル」。

実はこの植物オイルに関しても、注意が必要。

 

資生堂の研究※によると、オリーブオイルやキャノーラオイルなどに高含有されている「オレイン酸」を肌に塗布したところ、塗った部位では肌が荒れた状態になり、キメが乱れるということが明らかになりました。

 

植物オイルでできている乳液やクリームなどは肌に優しそうな印象がありますが、逆に肌に炎症を起こしバリア機能を低下させてしまう可能性があるので注意が必要です。

 

植物オイルだけではなく、植物エキスも同様。

植物エキスの中には、肌荒れに対して薬効的な作用をもつ成分もあれば、逆に炎症を促進するなどの有害な作用をもつ成分も雑多に存在しています。

 

しっかりとそれぞれの植物エキスのメリット・デメリットを把握した上で使用するなら問題ありませんが、「なんとなく肌に良さそう」という理由で「植物エキス100種類配合!」といったたくさんの植物エキスが配合された化粧品を使用するのは得策とは言えません。

 

※資生堂、毛穴の皮膚特性を科学的に解明 ~不飽和遊離脂肪酸が「毛穴の目立ち」に関与していることを発見~https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000000373/373_n3c34_jp.pdf

サルフェート系洗浄剤

サルフェート系洗浄剤とは、「ラウリル硫酸ナトリウム」「ラウレス硫酸ナトリウム」といった硫酸系の界面活性剤のこと。

 

廉価で泡立ちが良いため、安価なボディソープや洗顔料にはよく配合されていますが、敏感肌さんには洗浄力が強すぎる可能性も。

お肌に必要なうるおいまで奪われてしまい、バリア機能が低下してしまう可能性があります。

 

サルフェート系の洗顔料などを使ったときに「洗顔後にツッパリ感がある」という方は必要なうるおいが奪われてしまったというしるしなので、注意が必要です。

敏感肌さんのスキンケアの流れ

最後に、敏感肌さんがスキンケアを行う際のポイントを簡単にご紹介したいと思います。

 

まずは「洗顔」。

汗やほこりといった肌の刺激になりうる汚れはすっきりと落とすことが大切です。

 

泡立てネットを用い、弱酸性の洗顔料をよく泡立てましょう。

肌のうるおいを残しながら汚れだけ落とすためには「洗顔にかける時間」が重要です。

泡を乗せてから洗い流すまでの時間は、30秒以内におさまるようにしましょう。

 

続いては「保湿」。

敏感肌さんにとって保湿は何よりも重要なポイントなので、重点的に行いましょう。

化粧水でたっぷりと水分を補ったら、乳液やクリームでしっかりとフタをしてあげてください。

 

おすすめは「セラミド」が配合された基礎化粧品を使用するということ。

セラミドはもともと肌の角質層に存在する保湿成分で、バリア機能のすこやかさに深くかかわっています。

たっぷりのセラミドで満たしてあげることで、肌荒れが起こりにくい安定した肌へと近づいていきます。

 

また、外出する場合は「日焼け止め」を欠かさないようにしましょう。

 

前述の通り、紫外線はバリア機能を低下させてしまう大きな要因のひとつ。

十分な量の日焼け止めをむらなく塗り、外出中は日焼け止めパウダーなどを用いて3時間に1回ほど塗りなおすのが理想的です。

紫外線は365日降り注いでいるので、季節関係なく塗るようにしてくださいね。

 

基本的なポイントを押さえることで、肌が荒れてしまうリスクを減らすことができますよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

本日は敏感肌を引き起こす原因と、基礎化粧品の選び方やスキンケアで心がけたいポイントなどを解説いたしました。

 

肌が敏感になっているときは、「どんな基礎化粧品を選ぶか」「どんなスキンケアを行うか」を慎重に考えてみてください。

 

適切なお手入れを行うことで、肌荒れなどの症状は防ぐことができますよ。

執筆者プロフィール

執筆者プロフィール

コスメコンシェルジュ

宇佐美うさ(うさみ・うさ)

 

東京都下生まれのコスメコンシェルジュ。

美容業界に従事し約10年。化粧品販売員・化粧品商品開発者・美容ライター等の経歴を持つ。

近道でキレイになるための方法や、化粧品成分の読み解き方を発信すべく活動している。
一番の関心事はエイジングケア。

 

保持資格

 

化粧品検定1級

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