ビタミンKが不足すると思わぬリスクが…!効果やおすすめの食材をご紹介
ビタミンKという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ビタミンはからだにとって重要な役割を果たすため、食べ物やサプリメントからきちんと摂取することが大切。多くのビタミンが体内では作り出せないとされる一方で、ビタミンKは体内の腸内細菌によってつくられるものもあり、欠乏する可能性はほとんどないといわれるビタミンです。
しかし、ビタミンKは重要な役割を持つのにあまり知られていないビタミンでもあるため、存在を忘れられがちかもしれません。本記事ではビタミンKの機能や摂取のポイント、含まれる食べ物についてご紹介します。
ビタミンKとは?
ビタミンKの基本的な機能や含まれている食べ物について、簡単にまとめました。
ビタミンKは血液を止めて骨を強くする
ビタミンKの主な機能は、下記の3つです。
・血を止める
・骨を強くする
・動脈の石灰化防止
ビタミンKは、1929年にデンマークで偶然発見されました。血液を凝固させるはたらきがあることから、「血液凝固」という意味のドイツ語「Koagulation」の頭文字をとってビタミンKと呼ばれています。
血液を凝固させるときには、プロトロンビンと呼ばれる血液凝固因子が必要になります。プロトロンビンは肝臓で生成されますが、このとき補酵素として重要な役割を果たすのがビタミンKです。
また、ビタミンKは骨に含まれる、オステオカルシンと呼ばれるカルシウム結合タンパク質を活性化し、骨に吸収されたカルシウムが流出しないように沈着させます。加えてコラーゲンの生成を促し骨質を改善するため、骨を強く丈夫にするのが特徴です。骨粗しょう症の治療薬にも使われています。
ビタミンKは脂溶性
ビタミンは、主に水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類に分けられます。
・水溶性ビタミン:水に溶けやすいため、余分なものは尿と一緒に排出される。体内の代謝に必要な酵素を含む。
・脂溶性ビタミン:水に溶けにくく、脂肪組織や肝臓に貯蔵される。からだの機能を正常に保つ。
ビタミンKは、脂溶性ビタミンに分類されます。脂溶性ビタミンは性質上、過剰に摂取すると体内に溜まってしまって過剰症を引き起こす可能性があります。
しかし、ビタミンKは多く摂取しても問題ないと考えられています。
ビタミンKは主に2種類
ビタミンKは主に下記の2種類があります。
・ビタミン K1(フィロキノン):植物に多く含まれるため、主に食材から摂取できる
・ビタミンK2(メナキノン):腸内細菌によってつくられるため、動物食品に多く含まれる
人が食べ物から摂取するのはビタミンK1が多くなる傾向にありますが、栄養上重視されるのはビタミンK2です。
ビタミンKが不足するとどうなる?
ビタミンKは腸内細菌によっても生成されるため、不足することは滅多にありません。しかし、ビタミンKが不足すると下記のような症状が出ることがあります。
・出血傾向
・慢性栄養失調
・内出血
・鼻血
・月経過多
・血液凝固時間延長
前述したように、ビタミンKは血液を固めるプロトロンビンの補酵素としてはたらく機能があります。そのためビタミンKが欠乏すると血液中のプロトロンビンが減ってしまい、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなります。
ビタミンKはこんな人におすすめ
ビタミンKは不足しにくい栄養素ですが、ビタミンKが欠乏しやすい下記のような人は積極的に摂取する必要があります。
赤ちゃん
新生児は腸内細菌叢が定着しておらず、母乳に含まれるビタミンKは少ないため、ビタミンKが不足しやすくなっています。乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)や新生児メレナ(消化管出血)を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
女性
骨粗しょう症は、実は女性に多い病気です。女性は年齢をかさねて女性ホルモンが低下すると、骨の密度が減少して骨粗しょう症になりやすくなります。重症化すると介護が必要になるので、若いうちからビタミンKとビタミンDを摂って骨を強く丈夫にするといいでしょう。
高齢の人
年齢をかさねると、ビタミンKの吸収をサポートする膵液や胆汁の分泌が減少します。必然ビタミンKが欠乏し、骨粗しょう症になりやすくなります。
肝疾患がある人
胆道閉鎖、肝不全といった肝疾患がある人は、ビタミンKが不足する傾向にあるので積極的に摂る必要があります。ビタミンKの吸収には胆汁が必要なので、肝疾患があるとビタミンKが吸収されにくくなり、欠乏してしまいます。
抗生物質を長期間服用している人
抗生物質を服用している人は、腸内細菌叢が乱れてしまうため、ビタミンKがうまく生成されず欠乏してしまう可能性があります。
ビタミンKが含まれる食べ物
ビタミンKが含まれるのは下記のような食べ物です。
・緑葉野菜(モロヘイヤ、つるむらさき、春菊など)
・海藻類
・鶏肉
・発酵食品(納豆、チーズなど)
・豆類
・卵類
・緑茶
・植物油
特に納豆には、骨粗しょう症の予防が期待できるビタミンK2(メナキノン-7)が含まれています。常日頃から納豆を食べている人は、食べていない人と比べて約2倍のビタミンKを摂取しているという調査結果もあるほど、納豆はビタミンKが豊富な食材として知られています。
ビタミンKを摂るときの注意点
ビタミンKを効果的に摂るための注意点についてまとめました。ビタミンKは基本的に過剰に摂取しても問題ありませんが、人によっては摂取を控える必要もあります。
炒め物などがおすすめ
ビタミンKは脂溶性ビタミンのため、一緒に食べる油の量で吸収率が変わります。健康的な大人の摂取率はは高いと70~80%、低くて10~20%といわれています。
熱に強いので、油と一緒に使いやすい炒め物などがおすすめです。
適切な摂取量は?
2022年7月現在、ビタミンKは過剰に摂取しても問題ないとされています。
ワルファリンとの併用に注意
ビタミンKは過剰に摂取しても問題ないですが、血液を固めないようにする薬「ワルファリン(ワーファリン)」を飲んでいる人は、ビタミンKの摂取は避けましょう。
ワルファリンは血栓を防ぐ役割のある薬ですが、血中にビタミンKの濃度が高くなると薬の効き目が悪くなる可能性があります。
特にビタミンKが多く含まれるブロッコリーやほうれん草、納豆などは避けるようにしましょう。
まとめ
ビタミンKの機能や含まれる食べ物、注意点についてまとめました。
ビタミンKは骨を強く丈夫にする、血を固める機能があります。食べ物で摂取するだけでなく体内でも生成できるビタミンなので、欠乏する可能性は低いです。
ただ、過剰に摂取しても問題ないので、薬を飲んでいない場合は積極的に摂るようにするといいでしょう。