美容医療発!話題のスキンケア成分「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」って?その効果や安全性について解説
ここ最近、韓国コスメなどを中心に話題になっている美容成分「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」。
「名前は最近ちらほら聞くけど、実はあんまりどんな成分なのか分かっていない…」という方も多いのではないでしょうか?
実はこの成分、シワや毛穴の改善を目的として行われる美容医療「サーモン注射」としても使われている成分。
そんな成分がスキンケアに配合されるようになったことで、今かなりトレンドになっているんです!
本日はそんな話題の美容成分「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」にフォーカス。
「どんな成分なのか」「どんな効果があるのか」「危険性はない?」といった疑問を解消していきたいと思います♡
美容医療における「PDRN」とは
まずは「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」がどんな成分なのか、ということについて解説していきたいと思います。
PDRNはもともと、美容医療の一種である「サーモン注射」に使われてきた薬剤です。
「え、サーモン?魚の?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう、実はPDRNは、鮭の精子から抽出された成分。
もっと詳しく言うと、鮭のDNAを分解することでできた物質なんです。
このPDRNにさまざまな美容効果が期待できるということで、近年は美容医療でよく使われているんです。
サーモン注射では、このPDRNを皮下に直接注入していきます。
さまざまな部位に注入することができますが、よく注入される部位としては、「目の下」「額」「頬」「顎」「首」「手の甲」といった、エイジングが気になる部位が挙げられます。
ヒアルロン酸のように一気にまとめて注入するのではなく、サーモン注射の場合は点描のように注入していきます。
PDRNを肌に注入すると、さまざまな美容効果が期待できますが、主な効果としては次の3つです。
1. 成長因子の増加によるシワの改善・ハリの向上
PDRNに期待できる大きな美容効果のひとつは、シワ・たるみの改善やハリの向上です。
PDRNを皮下に注入すると、真皮層にある「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」に刺激を与えます。
線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチンといったハリのもととなる成分を作る工場のようなもの。
そんな線維芽細胞を刺激することで、コラーゲンやエラスチンの生成が促され、ハリが高まったり、今あるシワやたるみが改善したりするという効果が期待できるんです。
ヒアルロン酸注射などは、肌の中に「詰め物」をすることで物理的にシワをピンとさせるという仕組みですが、PDRN注射は組織を再生させて増やすことでシワやたるみを改善させるという仕組みです。
そのため、「不自然な仕上がりになってしまった…」ということが起こりにくく、自然なハリと弾力を出すことができるのがメリットなのです。
2.抗炎症作用による赤みの改善や老化予防
PDRNのもうひとつの効果が、「抗炎症作用」です。
近年、肌老化の大きな原因のひとつが「炎症」であるということが分かってきました。
その炎症度を左右するのが「炎症性サイトカイン」と「抗炎症サイトカイン」という、体内で分泌されている2つの物質です。
炎症性サイトカインはその名の通り、体内で炎症を促進するようにはたらくタンパク質のこと。
紫外線や加齢などによって肌が酸化ストレスを受けたときに生成されます。
一方、抗炎症サイトカインとは、炎症を抑制するようにはたらくタンパク質のことです。
炎症性サイトカインが必要以上に増え、長年にわたって炎症が起こることで、肌のたるみやシミ・シワといった老化の原因となってしまうのです。
PDRNは、抗炎症サイトカインの生成を促進する効果が期待されています。
炎症が抑制されることで、肌の老化現象を軽減・予防すると言われています。
また、抗炎症作用によりニキビといった炎症や肌の赤みが改善され、肌のトーンが均一になるという効果も期待できます。
3.血管新生による血流改善効果
年齢を重ねると毛細血管が減少し、肌へ酸素や栄養素が十分に届けられなくなっていきます。
PDRNには、「血管内皮細胞成長因子」というタンパク質を増加させるというはたらきがあります。
この成長因子は、もともとある血管を枝分かれさせ、新たに血管を創り出す物質。
これにより血管が増えることで血流が改善され、肌へ酸素や栄養素が十分に届けられるようになるのです。
血流が改善されることにより、目の下の青クマが改善されたり、肌に透明感が増したりという効果が期待できます。
このように、美容医療で用いられているPDRNにはさまざまな美容効果が期待できるため、サーモン注射は非常に人気な治療のひとつなんです。
※なお、こちらは豆知識ですが、サーモン注射の一種として知られる「リジュラン注射」には、PDRNより分子の大きい成分である「PN(ポリヌクレオチド)」が用いられます。こちらもサーモンのDNAの断片であるということには変わりありません。
PDRN入りの化粧品を使えばサーモン注射と同じ効果が得られる?
そんな美容医療で知られるPDRNが、ここ最近化粧水や美容液といった基礎化粧品に配合されるようになり非常に話題になっています。
特に韓国コスメを中心に、PDRNを配合したアイテムが増えてきました。
「美容医療を受ける勇気はないけど、同じような効果を感じられる化粧品を使ってみたい」
「リーズナブルなお値段で、美容医療のような効果を実感したい」
といったニーズがあり、美容医療発の成分ということで、やはりユーザーの期待度がとても高いということが伺えます。
しかしここでひとつ気になるのが、
「PDRNを配合した基礎化粧品を使えば、サーモン注射と同等の効果が期待できるのか?」
ということです。
リーズナブルな基礎化粧品で美容医療と同じような効果を実感できるなら、そちらの方が良いですよね。
ですが残念ながら、サーモン注射を受けたときと同じような実感は得られないかもしれません。
それはなぜかというと、「アプローチできる部位が異なるから」です。
化粧品がアプローチできるのは、基本的に「角質層」まで。
肌の一番表面にある、0.02mmの層です。
一方、サーモン注射を注入するのは、一般的に「真皮層」と呼ばれる肌の表面から約0.2~0.3mmよりも下にある層。
一般的な化粧品では、基本的にこの層まで到達することは難しいと言えます。
そのため、残念ながらPDRNが配合された基礎化粧品を使ったからと言って、サーモン注射と同等の効果を期待することはできません。
PDRN入りの化粧品に期待できる効果
とはいえ、PDRNが美容医療でも使われるほど素晴らしい成分であることはたしか。
PDRNを配合した基礎化粧品を取り入れることで、さまざまな効果を期待することができます。
ここからは、PDRN入りの化粧品に期待できる効果を解説していきたいと思います。
1. 肌に弾力やツヤを与える効果
成長因子の分泌を促し、シワ等が気になる肌をパンとしたハリやツヤのあふれる肌へと導く効果が期待できます。
2. ムラのない肌へ導く効果
赤みや色ムラを整え、トーンの均一な肌へと導いてくれる効果が期待できます。
3. トーニング効果
メラニンの合成を抑制する働きがあり、透明感のある明るい肌へと導いてくれる効果が期待できます。
4. 潤いを与える効果
保湿効果にも優れており、角質層のすみずみまで潤いで満たしてくれる効果が期待できます。
5. 肌荒れ防止効果
肌を鎮静し、炎症によるニキビや赤みを防いでくれる効果が期待できます。
このように、PDRNにはさまざまな作用があるため、PDRNを配合した化粧品を取り入れることで、年齢を感じない若々しい肌を目指すことができます。
注射のような効果を期待することは難しいかもしれませんが、非常に優れた成分であることには変わりないので、積極的に活用してみるのがおすすめです。
PDRNは危険?その安全性について
このように、さまざまな効果が期待できるPDRN。
気になるのはやっぱり「安全性」ですよね。
やはり新しい成分を取り入れるときは、慎重に吟味するに越したことはありません。
美容医療の場合、PDRNのサーモン注射を行う場合、「赤み・腫れ」「内出血」「注入部の盛り上がり」「アレルギー反応」「感染」などのリスクがあると言われています(薬剤そのもののアレルギーのみならず、注射針を刺すことによるリスクも含まれます)。
一方、基礎化粧品としてPDRNを取り入れる場合は、大きなリスクは今のところ確認されていないようです。
しかし、鮭由来の成分であることから、魚介類アレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう可能性があるため、避けた方がよいでしょう。
もともとPDRNは人体のDNAに非常に近く、その成分は人体にも存在しているものなので、基本的に安全性は非常に高いと言われています。
スキンケアとして取り入れる場合はあまり神経質になりすぎる必要はなさそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本日は韓国コスメなどを中心に話題になっている美容成分「PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)」について解説いたしました。
PDRN配合の基礎化粧品を取り入れることでサーモン注射と全く同じ効果が期待できるわけではありませんが、優れた成分であることはたしか。
実際、PDRNを配合した化粧品を使用した方が書いた口コミを見てみても、良い効果を実感している方はとても多い様子。
「ハリのなさ・小じわ」「透明感のなさ」「肌荒れ」「乾燥」といった肌悩みをお持ちの方は、ぜひPDRNを普段のスキンケアに取り入れてみましょう。
若々しくうるおいとツヤの溢れた、なめらかな肌を目指してみてくださいね。
執筆者プロフィール
コスメコンシェルジュ
宇佐美うさ(うさみ・うさ)
東京都下生まれのコスメコンシェルジュ。
美容業界に従事し約10年。化粧品販売員・化粧品商品開発者・美容ライター等の経歴を持つ。
近道でキレイになるための方法や、化粧品成分の読み解き方を発信すべく活動している。
一番の関心事はエイジングケア。
保持資格
化粧品検定1級