【薬剤師執筆】なんとなく気分が晴れない……もしかして秋うつ? 薬剤師が教える改善方法3選
夏が終わり、秋めいてくる時期に「なんだか気分が優れない」と思うことはありませんか? 一時的なものならばあまり気にする必要はありませんが、続いている場合は要注意です。
秋から冬にかけて気分が落ち込み、暖かくなる3月ごろに調子がよくなるパターンを繰り返す場合は、秋うつ(季節性感情障害(SAD))という病気かもしれません。
そこで今回は、「秋うつ」の症状の特徴やとるべき対策をご紹介してまいります。
「秋うつ」ってどんな症状?
秋になるにつれ、なんとなく憂鬱になる、疲れやすくなる、集中力が落ちる、気分が落ち込むなどの症状が出てくることがあります。これは、秋うつとも呼ばれる「季節性感情障害」という病気です。
この病気は一過性のもので、春には回復するという特徴があります。また、日中に眠くなる、人と会うのが億劫になる、訳もなくイライラする、物事を楽しめなくなる、食欲がなくなる、または炭水化物を食べすぎるなどの変化が出てくる場合もあります。
深刻になると、日常生活に支障をきたすこともあるため、軽視せずに早めに対処することが大切です。
「秋うつ」が生じる原因とは?
秋になると気分が沈みやすくなるのは、環境の変化も大きく関係しています。
日照時間の減少
秋うつの原因のひとつとしてあげられるのが、日照時間の減少です。秋になるにつれて日照時間が短くなると、私たちの体内で作られる「セロトニン」という物質が減少します。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれるほど気分に関係しています。そのため、セロトニンが日照時間に比例して少なくなると鬱っぽさが増してしまうのです。
体内時計の乱れ
私たちのからだには、概日時計という体内時計を調節する機能があります。これは、睡眠や覚醒、ホルモンバランスを調節するために働いていますが、不規則な生活や起床時間によって乱れが生じます。
秋から冬にかけて暗い時間が長くなると、夏場には同調できていた体内時計が乱れることで気分にも不調が出てしまいます。
急激な寒暖差
秋になると、昼と夜の寒暖差が激しくなります。急激な温度差は自律神経にも負担をかけるため、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、精神的にも不安定になりやすいと考えられています。
薬剤師が教える!「秋うつ」の改善方法3選
秋うつを乗り越えるためには、いくつかの対処法や改善策があります。
日照時間不足を補うために、なるべく日に当たること、セロトニンを増やすこと、自律神経を整えることが大切です。
日光を浴びる
秋うつ対策には、日光を浴びる時間を増やすことがポイントです。朝起きたら日の光をたくさん浴びましょう。日光浴によってセロトニンの分泌が促進されます。目安は10〜15分程度です。
また、曇りの日でも外に出て、少しでも日光に当たるように心がけましょう。そうすることで体内時計も整いやすくなります。
バランスのよい食事を摂る
セロトニンの不足によって、脳の働きが低下します。そのため、規則正しい生活とバランスのよい食事が秋うつ対策の基本になります。毎日の食事からビタミンやミネラル、タンパク質などをバランスよく取り入れ、セロトニンの生成物質となるトリプトファンを摂取することが大切です。
漢方薬を飲む
秋うつ対策には日常生活の改善も有効ですが、漢方薬で内側から体質を改善することもおすすめです。漢方薬は、心療内科でも自然由来の治療薬として使われています。
秋うつの原因になる自律神経の乱れは、ホルモンバランスの乱れや強いストレス、過度な緊張、過労などにより生じると考えられています。
自律神経の乱れに対しては、「気分の落ち込みを改善する」「イライラを鎮める」「血流をよくして自律神経の乱れを整える」「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」といった作用のある漢方薬を選びます。
漢方薬で心とからだ全体のバランスを整えることで、季節の変わり目でも健康なからだを手に入れられるでしょう。
<秋うつにおすすめの漢方薬>
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
比較的体力があり、動悸や不眠などを伴う方に向いている漢方薬です。滞った気を巡らせることで、イライラや抑うつ、不眠などの症状に用いられます。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
体力が中程度で、気分がふさぎ、喉に異物感を感じる方に向いている漢方薬です。上昇した気を降ろし巡らせることで、不安や神経性胃炎、不眠などの症状に用いられます。
漢方薬は、ご自分の状態や体質にうまく合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。しかし、たくさんの漢方薬からご自分に合ったあった漢方薬を見つけるのは大変ですよね。
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自分に合ったリセット方法を見つけましょう
寒くなると、起床時間が遅くなったり、日中も外に出なくなったりしがちになります。
しかし、秋うつの一番の対策は日光に当たることです。
そのため、気の合う仲間とウォーキングする時間を作ったり、ジョギングなどの運動をしたりして爽快感を味わうのもよいでしょう。
職場の雰囲気によっては、照明を明るく変えるなどの提案をしてみるのも一案です。
<参考URL>
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/48.html
https://medical.tsumura.co.jp/products/012/pdf/012-tenbun.pdf
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00001414.pdf
<この記事を書いた人>
薬剤師 相田 彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。
総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。
漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
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