【専門家監修】毎日を忙しく過ごす女性へ。自分にぴったりの漢方薬の見つけ方
忙しい毎日を過ごす女性ほど、気づかぬ内に疲れがたまっていたり、肌や心身に不調を感じたりするもの。
「病院に行くほどではないけれど、何だか調子が悪い……」。
このような、理由のわからない心身の不調に悩まされている方も多いのではないでしょうか?
そんな方に試してもらいたいのが、かぜや肩こりのときによく処方される「葛根湯(かっこんとう)」などでお馴染みの漢方薬です。
今回は、女性の不調改善に一役買う漢方薬についてお話ししていきます!
女性の不調改善には漢方薬が◎
漢方薬は、私たちの健康を支えるとても身近なお薬のひとつ。
一般的な内科などでも、普通のお薬と一緒に漢方薬を処方していますし、最近は漢方薬を積極的に処方する産婦人科も増えています。
そんな漢方薬が女性の身体にどう影響するのか、詳しくみていきましょう。
漢方薬にはどんな効果がある?
漢方が得意とする女性に多い不調は以下の通りです。
・身体の冷え
・にきび
・便利や下痢
・うつ(イライラする)
・不眠
・身体の怠さ
・むくみや肩こり
などなど…
これらの不調に対して、さまざまな種類の漢方薬が改善へと導きます。
例えば、生理中に感じることが多い手足の“冷え”。
生理中(特に一週目)は、体温を上げる黄体ホルモンの分泌が減少するので、全身の血行が悪くなります。
それに伴い、冷え性ではないけれど、生理中のみ手足の冷えを感じる人も少なくありません。
冷えに関する現代医学的な治療法はありませんが、これに対して漢方では「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」などのお薬が使われます。
名前が長くて覚えにくいかもしれませんが、手足の冷えや下腹部痛、月経痛を軽減する効果があるんです。
こちらは身体を温める「茱萸(ぐみ)」などの生薬で構成された漢方薬で、身近なドラッグストアでも手に入りますよ。
また、漢方薬はPMS(月経前症候宮)や月経不順、プレ更年期といった女性特有の不調にも効果を発揮。
女性ホルモンが大きく関わる症状ばかりですが、これらを自然に改善し、身体の調子を整えてくれます。
ただ、漢方薬は効果を実感するまでに時間がかかります。
慢性的な冷え性の改善なら、漢方薬を飲み始めてから3ヶ月から4ヶ月はかかるとみるべきでしょう。
一般的なお薬に比べると即効性こそありませんが、身体への負担を最低限に留め、体質を改善するとともに着実に症状を改善していくのが漢方薬の特徴です。
これから漢方薬を飲み始める方は、長い目でみて続けていきましょうね!
漢方薬の原材料とは?
漢方薬は、天然由来の「生薬」によって構成されるお薬です。
この生薬とは一体何なのか、意外と知らない方も多いはず。
生薬とは、植物・昆虫・鉱物などを使った漢方薬の原材料であり、基本的に2種類以上の生薬を使って漢方薬は構成されています。
今一度、漢方薬との違いをおさらいすると…
・漢方薬:2種類以上の生薬によって構成された完成品
・生薬:さまざまな材料を使った漢方薬の原材料
たびたび漢方薬と生薬を混合する方がいらっしゃいますが、これらには明確な違いがあるわけですね。
具体例として、精神的な不安を和らげたり、疲労を回復させたりする効果がある「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」という漢方薬は、以下のような生薬で構成されています。
・桂皮:クスノキ科のケイの樹皮。スパイスでいうシナモンのこと
・生姜:ショウガの根を使った生薬
・大棗:ナツメの実を使った生薬。ドライフルーツとしても販売されている
・竜骨:大型哺乳類の化石を使った生薬。シカやサイなどの化石を用いる
・牡蛎:マガキの貝殻を使った生薬
など…
上記は一部ですが、植物を中心に、貝殻や化石の粉末まで配合されているなんて、驚きですよね!
何となく身体に優しく、それでいて効きそうな気がしませんか?
漢方でよく聞く「証」ってなに?
漢方医療では、たびたび聞き慣れない専門用語が使われます。
例えば、その人の健康状態を示す「証(しょう)」という言葉。
現時点での体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などを指し、「証」に合わせて漢方の専門医や薬剤師などの漢方の専門家が適切な漢方薬を処方します。
また、「証」にはいろいろありますが、代表的な「証」は「虚証(きょしょう)」と「実証(じっしょう)」の2つにわけられ、前者は体力がなくて弱々しい印象を受ける人、後者は体力があって身体が丈夫そうな人を指します。
患者が「虚証」か、あるいは「実証」かを判断するのは漢方の専門医や薬剤師などの漢方の専門家ですが、これもまた漢方薬を処方する上で重要な指標になるのだとか。
例えば、風邪を引いた時に「葛根湯」を飲むことがありますよね。
「葛根湯」は、体力があって、胃腸が丈夫そうな「実証」の人に適した漢方薬のひとつ。
仮に「虚証」の人が飲むと、効かないだけならまだしも、お腹をこわしたり、逆に風邪が悪化することもあるため、別の漢方薬を処方するのが、漢方の専門医や薬剤師などの漢方の専門家がほとんどなんだそうです。
同じ症状を治す漢方薬でも、その人の「証」に合わせて異なるお薬を処方する。
これが漢方医療の基本的な考え方なんです。
ほかにもたくさんの専門用語があるので、気になる方は調べてみてくださいね。
漢方薬に副作用はある?
一般的なお薬同様、漢方薬にも副作用があります。
といっても、漢方薬自体に副作用があるわけではなく、それを構成する生薬の摂りすぎから副作用が出るのだとか。
よくあるのが、さまざまな漢方薬や嗜好品に含まれ、甘みの元となる「甘草(かんぞう)」の摂りすぎ。
文字通り甘味のある生薬なのですが、摂りすぎると血圧が上がったり、身体がむくんだり、血中のカリウムが下がる「偽アルドステロン症」を発症したりする恐れがあります。
用法・用量を守れば、基本的には問題ないものの、もし服用中に副作用がみられたら、早い段階で医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。
また、それ以外にも副作用はありますので、一般的なお薬と併用する場合は、かならず漢方の専門医や薬剤師などの漢方の専門家に一度ご相談ください。
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