食物繊維は“発酵性かどうか”で選ぶべし!「発酵性食物繊維」の種類と上手な取り方を解説

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食物繊維は“発酵性かどうか”で選ぶべし!「発酵性食物繊維」の種類と上手な取り方を解説

「腸活」が美容や健康に良いということが知られるようになってから久しいですが、近年、腸活界に新たなトレンドが巻き起こっています。

 

それは何かというと、「発酵性食物繊維」。

 

近年非常に話題になっているので、名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

 

腸活というと、「お通じが良くなる」「ダイエットになる」といったイメージがある方は多いかもしれませんが、発酵性食物繊維を取り入れると、そんなものでは収まらないぐらいさまざまな効果があることが分かってきました。

 

本日は、今話題になっている「発酵性食物繊維」の詳細と、上手に発酵性食物繊維を取り入れるポイントをご紹介してまいりたいと思います♡

「発酵性食物繊維」とは?

「発酵性食物繊維」とは?

みなさん食物繊維というと、「水溶性食物繊維」や「不溶性食物繊維」といった名前を聞いたことがあるかもしれません。

これは「水に溶けるかどうか」で食物繊維を分類したもの。

 

たとえば、水溶性食物繊維の例としては大麦の「β-グルカン」、こんにゃくの「グルコマンナン」などが、不溶性食物繊維の例としては、ごぼうの「セルロース」、ピーナッツの「リグニン」等が知られます。

 

この分類方法は非常に有名ですが、近年、食物繊維の“新しい分類方法”が広まりつつあります。

 

それは、「発酵性かどうか」で食物繊維を分けるというもの。

そしてよく発酵する食物繊維のことを「発酵性食物繊維」と呼びます。

 

とはいえ、「発酵性」といっても少し分かりにくいかもしれませんね。

発酵性の高い食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌を元気にしてくれます。

逆に発酵性の低い食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとはなりにくく、とかく善玉菌を元気にする効果も期待できません。

そういった発酵性の高い食物繊維のことを、「発酵性食物繊維」と呼ぶのです。

 

これまでの分類で言うと、水溶性食物繊維はほとんどが「発酵性食物繊維」に当たります。

一方、不溶性食物繊維の多くは発酵性が低いため、「発酵性食物繊維」には当たりません。

 

しかし、不溶性食物繊維の中にもごく一部は発酵性のものが存在します。

小麦ふすまなどに含まれる「アラビノキシラン」は、不溶性ですが発酵性食物繊維です。

 

また、白米や芋などを冷凍したときに多く発生する「レジスタントスターチ」なども、発酵性食物繊維の一種です。

「発酵性食物繊維」のメリット

「発酵性食物繊維」のメリット

さて、発酵性食物繊維が善玉菌のエサになりやすい食物繊維であるということは分かりましたが、なぜここまで注目されているのでしょうか?

 

それは、発酵性食物繊維にしかない「とあるメリット」があるからです。

 

そのメリットとは何かというと、発酵性食物繊維を摂ることで、「短鎖脂肪酸が増える」ということ。

 

短鎖脂肪酸とは、「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」といった脂肪酸の総称。

 

発酵性食物繊維は善玉菌のエサになると言いましたが、善玉菌が発酵性食物繊維を食べて分解する際に生まれるのが、この「短鎖脂肪酸」なんです。

 

短鎖脂肪酸は、乳製品やお酢などにもたくさん含まれています。

 

「それならそういった食品を食べるのが手っ取り早いじゃないか」

と思われるかもしれませんが、そう一筋縄ではいかないのが発酵性食物繊維の難しいところ。

 

食品から摂取した短鎖脂肪酸は、小腸でそのほとんどが分解されてしまうので、大腸まではたどり着くことができないのです。

 

短鎖脂肪酸は、腸に届くことで効果を最大限に発揮します。

 

その点、発酵性食物繊維を摂ることで善玉菌を増やせば、腸の中で直接短鎖脂肪酸を増やすことができるので、効率的なのです。

短鎖脂肪酸による効果

短鎖脂肪酸による効果

とはいえ一番気になるのは、「短鎖脂肪酸が増えることで、どのような効果が期待できるのか」ということですよね。

 

短鎖脂肪酸による効果は、ひとつではなく、多岐にわたります。

ここからひとつずつ解説していきますね。

(1)大腸のバリア機能が向上する

大腸の壁の表面は通常、粘液で覆われており、細菌などが体内に侵入してしまうのを防ぐ「バリア機能」が働いています。

 

バリア機能が正常に機能するためには、粘液が十分に分泌されて表面がしっかりとコーティングされている必要があります。

 

短鎖脂肪酸にはこの粘液の分泌を促進するというはたらきがあるため、大腸のバリア機能を高め、細菌などが体内に侵入し病気に罹患してしまうのを防ぐ効果があるのです。

(2)体脂肪が低減する

短鎖脂肪酸が増えることで得られる嬉しすぎるメリット、それは「体脂肪が低減する」ということ!

 

短鎖脂肪酸には、食欲をコントロールしたり、脂肪が蓄積してしまうのを抑制したりする効果がある、ということが最近の研究から分かってきています。

 

腸内の細胞が分泌するホルモンには、「摂食中枢」に作用することで食欲をコントロールするというはたらきがあります。

そして短鎖脂肪酸は、これらのホルモンの分泌に深く関わっているのです。

 

さらに、短鎖脂肪酸は体内に取り込まれる前の脂肪や糖の代謝を促進したり、体内で余ったエネルギーが脂肪になって細胞の中に蓄積するのを抑制したりするはたらきがある、という報告もあります。

 

このように、短鎖脂肪酸はさまざまなアプローチで体脂肪を低減してくれるのです。

発酵性食物繊維を摂るだけでダイエット効果が期待できるなんて、とっても嬉しいですよね。

(3) 基礎代謝が向上する

基礎代謝とは、体温の維持や内臓機能など、私たちが生命活動を維持するために最低限必要となるエネルギーのこと。

性別や年齢、体格などさまざまな要素によって、基礎代謝は一人ひとり異なっています。

 

基礎代謝が低い状態というのは、生きるのに使うエネルギー量が少ないということ。

基礎代謝が低くなると、すぐ疲れやすくなったり、顔色が悪くなったり、身体が冷えやすくなったり、生理不順になったりします。

また、エネルギーが消費されにくいことで脂肪もつきやすくなります。

 

短鎖脂肪酸は腸内で吸収された後、血流にのって体の隅々まで行きわたり、体温・血流・呼吸などをつかさどっている「交感神経」まで届きます。

 

すると、交感神経が活性化され、体温や心拍数が上昇し、基礎代謝が高い状態に。

冷えが改善したり、疲れにくくなったり、さらに太りづらい身体になったり、といったさまざまな効果を期待することができるのです。

(4) 炎症やアレルギーが抑制される

近年、老化の大きな要因だと考えられているのが「慢性炎症」。

 

慢性炎症とは、私たちの体の中で持続的に起こっている、目に見えないレベルの小さな炎症のこと。

 

慢性炎症が起こると、細胞レベルで老化が進んでいき、肌や髪といった容貌が老いていくのはもちろんのこと、体の免疫力が下がったり、なんと、がんのリスクが高くなったりする可能性もあるので、「たかが炎症」と侮ってはいけません。

 

また、私たちを悩ませる「花粉症」をはじめとするさまざまなアレルギーの正体も「炎症」です。

身体の中の免疫が、本来は無害な花粉などのアレルゲンを「敵だ!」と勘違いしてしまい、過剰な免疫反応を引き起こしてしまうのです。

 

その結果、強い炎症が起こり、鼻水やくしゃみ、湿疹といった症状として現れてしまいます。

 

短鎖脂肪酸のひとつである「酪酸」には、免疫の暴走を抑えてくれる「制御性T細胞」を増やすというはたらきがあることが分かってきました。

 

それにより、身体の炎症が抑制され、老化の予防になるのはもちろんのこと、アレルギーや自己免疫疾患などを押さえてくれる効果も期待されているんです。

発酵性食物繊維を多く含む食品7選

発酵性食物繊維を多く含む食品7選

このようにさまざまな効果が期待されている、短鎖脂肪酸。

発酵性食物繊維は、そんな短鎖脂肪酸を腸内で増やしてくれる、数少ない食品の一種なんです。

 

発酵性食物繊維を日常の中で取り入れていくうえで重要なポイントは、発酵性食物繊維がどんな食品に多く含まれているのかを知る、ということ。

 

発酵性食物繊維に分類されるのは、水溶性食物繊維の大部分と、不溶性食物繊維の一部

ここからは、発酵性食物繊維を特に多く含む食品をご紹介しますね。

小麦ふすま

シリアルなどでもよく見かける小麦ふすまは、発酵性食物繊維の含有量がピカイチ。

アラビノキシラン」という発酵性の高い不溶性食物繊維が非常にたくさん含まれています。

ごぼう

和食の定番食材であるごぼうには、発酵性の高い「イヌリン」という水溶性食物繊維がとても多く含まれています。

バナナ

バナナに含まれる「フラクトオリゴ糖」は善玉菌のエサになりやすく、発酵性食物繊維の一種とされています。

押麦(大麦)

押麦には、「β-グルカン」という発酵性の高い水溶性食物繊維がたくさん含まれています。

麦ごはんなどにして食べるとたくさん摂取することができるのでおすすめです。

全粒粉パン

全粒粉でできたパンには、「アラビノキシラン」という発酵性の高い不溶性食物繊維が多く含まれています。

玄米ごはん

玄米ごはんにも、「アラビノキシラン」という発酵性の高い不溶性食物繊維が多く含まれています。

ゆで大豆

日本人の食卓に欠かせないゆで大豆には、「フラクトオリゴ糖」という発酵性食物繊維が多く含まれています。

煮物などにして食べるとたくさん食べることができるためおすすめです。

 

 

このように、発酵性食物繊維はさまざまな食品に含まれています。

大切なのは、どれか特定の食品だけでなく、いろいろな種類の食品をまんべんなく食べるということ。

 

発酵性食物繊維は、種類によって大腸への届き方や発酵の仕方が異なります。

さまざまな種類の発酵性食物繊維を摂ることで、より効果的に短鎖脂肪酸を増やすことができるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本日は、今話題の「発酵性食物繊維」について解説いたしました。

 

これまで食物繊維というと「お通じが良くなる」「腸が整う」といったイメージしかなかった方も多いかもしれませんが、老化予防や体脂肪の減少など、想像以上にさまざまな効果があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

 

自分の食事を振り返ってみて、「あんまり発酵性食物繊維が摂れていないかも…」という方は、ぜひ意識してみてください。

 

どうしても難しい場合は、発酵性食物繊維のサプリメントなども販売されているので、そういったものを活用してみてもいいかもしれません。

 

上手に発酵性食物繊維を取り入れてみてくださいね。

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