食後のだるさや眠気、それって血糖値スパイクかも?!主な症状や対策方法を徹底解説【薬剤師監修】

「最近、食後にだるさを感じる…」
「急に眠気や頭痛が襲ってくる…」
こんなお悩みありませんか?
それ、もしかしたら「血糖値スパイク」による症状かもしれません。
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急上昇することにより起こる症状で、糖尿病とも関連性が深く、放置しておくと重い病気になる危険性も。
そこで今回は、血糖値と糖尿病の関係や、血糖値スパイクとは何かという基本的な情報から、血糖値スパイクの対策方法まで、詳しく解説していきたいと思います。
血糖値と糖尿病

血糖値スパイクの解説の前に、血糖値と糖尿病の基礎情報や、この2つの関係性について解説していきたいと思います。
1.血糖値とは?
血糖値とは、「血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度」を指す言葉です。
食事を摂取すると腸から糖分が吸収されブドウ糖になり、さらに血液中に入り、カラダを動かすエネルギー源となります。
健康な人でも生活のなかである程度血糖値は上下しますが、血糖値が正常値の範囲から外れたり、急上昇・急降下したりすることでカラダに大きな負担がかかるのです。
本来、血糖値が高くなると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げます。
しかし、何らかの原因によりインスリンの作用不足でブドウ糖をうまくエネルギーとして利用できない場合、糖尿病を引き起こします。
2.糖尿病とは?
慢性的に血糖値が高い状態が続くことを「糖尿病」と言います。
インスリンが不足、または作用が低下することで血糖値の上昇を抑えられず、高血糖状態が続くことです。
日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」によると、高血糖状態の判定基準として、
【空腹時血糖値110mg/dL未満かつ75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)2時間値140mg/dL未満】を満たすものを正常型、
【空腹時血糖値126mg/dL以上かつ75gOGTT2時間値200mg/dL以上のいずれかを満たすもの】を糖尿病型、
【正常型でも糖尿病型でもないもの】を境界型としています。(※1)
また、糖尿病の診断には、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)という基準もあります。
糖尿病の主な初期症状としては、以下があげられます。
疲労感や倦怠感
のどの渇き
皮膚の乾燥
手足の感覚低下
頻尿・多尿
ED など
糖尿病は進行することで神経障害や網膜症、腎機能の低下などさまざまな合併症を引き起こすことがあります。
また、糖尿病による神経障害や血管障害が原因で下半身に病変が起こり、最悪の場合、足を切断するケースもあります。
厚生労働省が令和5年度に行った「患者調査の概況」によると、糖尿病で現在治療を行っている人の総数は約552万人です。(※2)
予備軍を含めるとさらに多く、まさに国民病とも言える病気で、現在自覚症状がない人も決して無関係ではありません。
血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急上昇、急下降することです。
本来、血糖値は日常生活によって上昇、下降を繰り返しますが、急激な上昇、下降によってカラダに悪影響を及ぼすのが血糖値スパイクです。
血糖値の上下をグラフで見ると、まるで「トゲ」のようになっていることから、血糖値スパイクと言われています。
血糖値スパイクは「隠れ糖尿病」とも言われ、健康診断で発見されにくいという特徴があります。
血糖値スパイクの主な症状は、眠気やだるさです。
血糖値の急上昇に対してインスリンが過剰に分泌された影響で、強い眠気やだるさに襲われます。
また、インスリンの分泌により血糖値が急降下し、低血糖状態になることで意識が朦朧とするほか、場合によっては失神することもあるので注意が必要です。
血糖値の乱高下により、活性酸素の発生量が多くなることは血管にダメージを与える要因になります。
そして、傷ついた血管を修復するために血管の内側の壁が厚くなり、その結果動脈硬化を引き起こしてしまうことも。
太い動脈に動脈硬化が起こると、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる重大な病気の原因になることもあります。
血糖値スパイクの対策方法

続いては、血糖値スパイクの対策について解説していきたいと思います。
生活習慣に簡単にとり入れられることなので、今日から早速はじめてみてください。
1.運動
運動不足は血糖値スパイクのリスクを高めるため、日常的な運動習慣を心がけましょう。
運動を継続して行うことで、血糖値を安定させられます。
食後1~2時間くらいに運動すると、血糖値の上昇を緩やかにできます。
運動する頻度は、1週間に一回ではなく、毎日続けることが大事です。
軽い運動でもいいので、毎日カラダを動かす習慣をつけましょう。
たとえば、屋内でランニングマシンを使用するよりも、屋外をウォーキングやジョギングするほうがおすすめ。
景色も変わり、気分転換になります。
特に早朝の運動は朝の日差しを浴びることで体内時計を活性化させ、睡眠ホルモンのメラトニンの材料になるセロトニンの分泌にも役立ちます。
2.食事
急激に血糖値を上げる食べ物や飲み物はなるべく避け、過剰摂取し過ぎないように気をつけましょう。
特に血糖値を上昇させるのは、ジュースや炭酸飲料、甘い菓子パンなどです。
また、同じ食事メニューでも食べる順番を変えることで血糖値の上昇を軽減することができます。
血糖値を上昇させやすい白米、うどん、食パンなどの炭水化物を後にして、野菜、タンパク質を先に食べる習慣をつけると良いでしょう。
ただし、炭水化物はカラダを動かす重要なエネルギー源なので、過剰に避けるのも禁物です。
食事バランスに気を遣い、まんべんなくさまざまな栄養素を摂取するのが基本です。
血糖値スパイクには漢方薬もおすすめ

基本的に、血糖値スパイクによる眠気やだるさなどの症状を緩和するためには、まず病院を受診し、医師のもとで適切な治療を行い、同時に生活習慣の改善を行いましょう。
それに加えて、医師に相談したうえで漢方薬を使用するのもおすすめです。
漢方の基本理念は、崩れた心とカラダのバランスを見直し、体質を整えて不調を和らげること。
漢方薬は直接的に血糖値を下げることは望めないものの、高血糖の原因となる内臓脂肪やストレスにアプローチできます。
また、漢方薬は植物や鉱物などの自然由来の生薬で構成されていて、一般的に西洋薬よりも副作用リスクが低いと言われています。
漢方薬で血糖値スパイク対策を行う場合、
「脂質代謝を改善する」
「イライラやストレスによる食べ過ぎを抑える」
といった働きを期待できる生薬を含む漢方薬を使用しましょう。
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<血糖値スパイク対策におすすめの漢方薬>
▼大柴胡湯(だいさいことう)
カラダにたまった余分な熱を冷まし、脂質代謝の改善を期待できます。
また、ストレスやイライラなどによる過食を抑えます。
▼防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
特におなか周りの脂肪燃焼を促します。
また、便通を良くすることで、老廃物を体外に排出します。
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専門的なことはよくわからないという方は、漢方の専門家にオンラインで気軽に個別相談ができる『あんしん漢方』などのサービスを活用してみるのもおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
血糖値スパイクは、食後の血糖値の乱高下によって眠気やだるさなどを感じる症状で、糖尿病とも密接なつながりがあり、血糖値のコントロールが重要になります。
運動習慣やバランスのとれた食事など、日々の生活にも気を配りながら、血糖値スパイクが起こりにくいカラダを目指しましょう。
<参考文献>
監修者プロフィール

あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。
病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行っている。