【消費者に注意喚起】ゲルマニウムは根拠なし?服用によって命の危険も

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【消費者に注意喚起】ゲルマニウムは根拠なし?服用によって命の危険も

「ゲルマニウム」と聞くと、みなさんどのようなイメージがありますか?

 

「なんだか健康に良さそう。」

「温浴効果で体がポカポカしそう。」

「免疫力が上がりそう。」

 

そういった印象があるかもしれませんね。

 

1970年代に登場して以来、一躍大ブームになり、

ゲルマニウムを配合した健康グッズや健康食品がたくさん発売されました。

 

未だに「ゲルマニウムサプリ」「ゲルマニウム風呂」などは一定の需要があります。

 

そんなゲルマニウムですが、効果・安全性には疑問の声も。

 

過去には死亡事例もあるというゲルマニウム。

本日は、そんなゲルマニウムの真実について調査しました。

ゲルマニウムってそもそもなに?

ゲルマニウムってそもそもなに?

「ゲルマニウム」という言葉は誰しも一度は聞いたことがあるかもしれませんが、

その実態を知っているという方は少ないのではないでしょうか?

 

ゲルマニウムとは、元素のひとつ。

鉱石などに微量に含まれます。性質としては、鉛(なまり)に近い性質を持っています。

 

・貧血にいい

・温浴効果がある

・新陳代謝がよくなる

・発汗する

 

などという謳い文句で健康食品や健康グッズに配合されています。

 

しかし、ゲルマニウムの化合物は本来人体に有害であり、

取り扱いに注意が必要だと言われている物質です。

ゲルマニウムを崇拝してるのは日本だけ?

では、なぜ危険な物質が健康グッズに含まれているのでしょうか?

 

実は、ゲルマニウムが「健康に良い」と信じられているのは、日本だけです。

海外ではこのようなゲルマニウム信仰は見られません。

 

日本でのゲルマニウムブームの発端は、

時をさかのぼること約50年前の1970年代。

 

「エイズの特効薬」という謳い文句で、

ゲルマニウムを配合したサプリメントが発売されました。

 

かつては、

「免疫賦活作用(免疫力を活性化させる効果)」

「インターフェロン(ウイルス増殖抑制物質)誘発効果」があると期待され、

まじめに研究されていた物質でした。

 

しかし、それにあやかった悪徳業者たちが、

「エイズに効く」「飲むとさらに健康になる」という誤った情報とともに、

まだ研究段階であるゲルマニウムのサプリメントを盛大に売り出してしまったのです。

急性腎不全によって死亡者が続出

急性腎不全によって死亡者が続出

その結果、「急性腎不全」になる患者が続出。

 

確認されているだけでも、

死亡11人、重軽度の中毒症状45人と報告されています。

(1992年の報告なので、実際はもっと多い可能性があります。)

 

無機ゲルマニウムには、命に関わる重篤な副作用があるにも関わらず、

業者はサプリメントを発売してしまったのです。

 

ちなみに、ゲルマニウムについてまじめに研究していた医師もおり、

「糖尿病に効果がある」ということで自らゲルマニウムを服用していたところ、腎不全になったという例もあります。

 

他にも、ゲルマニウムサプリを販売している社員がゲルマニウム中毒で死亡してしまったなど、様々な報告があります。

無機ゲルマニウムと有機ゲルマニウムって?

ゲルマニウムには、大きく分けて2種類あります。

「無機ゲルマニウム」「有機ゲルマニウム」と呼ばれるものです。

 

【無機ゲルマニウム】

 

鉱石等に含まれるゲルマニウム元素の結晶。

主に工業用。赤外線光学などで用いられる。

腎臓や末梢神経に重篤な障害を引き起こすことが報告されているため、

絶対に服用・飲用してはいけない。

 

【有機ゲルマニウム】

 

植物等に含まれるゲルマニウム。

朝鮮人参、アロエ、にんにくなどにごく微量含まれている。

無機ゲルマニウムに化学反応を起こさせて有機化したものもある。

 

このうち、前述の死亡事故をもたらしたのは、「無機ゲルマニウム」です。

無機ゲルマニウムは、体内に入ると排出されずに蓄積されてしまうので、

たいへん危険なのです。

有機ゲルマニウムなら大丈夫?

無機ゲルマニウムで重大な健康被害が起きて以来、

現在では無機ゲルマニウムのサプリメントはあまり見かけなくなりました。

 

しかしその代わりに、

有機ゲルマニウムのサプリメントが出回るようになりました。

 

「無機ゲルマニウムと違い、有機ゲルマニウムなら安全である」

というのが言い分のようですが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

たしかに、有機ゲルマニウムは無機ゲルマニウムと比べ体内に蓄積されにくい性質があります。

しかし、だからといって安全とは言えません。

 

有機ゲルマニウムとして販売されている商品の中にも、

無機ゲルマニウムが混ざっている可能性があります。

 

さらに、有機ゲルマニウムそのものにも毒性があることが動物実験によってわかっています。

 

実際、有機ゲルマニウムの摂取による、健康被害や死亡例が報告されています。

 

「有機ゲルマニウムは植物にも含まれているので健康にいい」

という謳い文句で販売されているサプリメントもありますが、これもナンセンスです。

 

植物に含まれていると言っても、その量はわずかppb(10億分の1)レベル。

サプリメントなどで過剰に摂った場合とはワケが違います。

 

そもそも、「植物に含まれている=健康にいい」という考え自体が誤りです。

植物由来でも健康に悪い物質はたくさん存在します。

 

無機ゲルマニウム、有機ゲルマニウム問わず、

いずれも人体に対する有毒性が報告されているので、サプリメントなどで摂取しないようにしましょう。

そもそも、効果の根拠自体がない?

ゲルマニウムのサプリメントは、危険性が高いだけでなく、

そもそも効果の根拠自体が科学的に確認されていません。

 

たとえば、

「ゲルマニウムを飲むことで、インターフェロン(ウイルスの増殖を抑制する物質)を誘発することができる」

という説明をしているホームページなどもありますが、その根拠も不十分です。

 

また、インターフェロンが万病に効くという保証もありません。

 

健康効果を謳うものには、科学的根拠が必要不可欠です。

ゲルマニウムには、その根拠が立証されておらず、サプリメント等で摂取する必要はまったく無いと言っていいでしょう。

美顔器もアクセサリーも効果なし?

「サプリはNGかもしれないけど、美顔器アクセサリーならいいのでは?」

と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

たしかに、飲むわけではないので、死亡に至る可能性は少ないかもしれません。

 

しかし、 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、

ゲルマニウムのアクセサリーに関する相談が多く寄せられており、

その中には「皮膚がかぶれた」「赤くなった」などの皮膚障害に関する相談も寄せられているようです。

 

また、サプリメントの場合と同じく、効果に対する科学的根拠もありません。

 

国民生活センターは、

ゲルマニウムブレスレットの12銘柄を対象に調査を行ったところ、

「根拠となる科学的なデータを確認することができなかった」という結論がでました。

 

同センターは「消費者は健康効果を期待すべきではない」と忠告しています。

 

美顔ローラーなどについても同様。

科学的根拠がないため、「お肌がキレイになる」「若返る」といった美容効果を期待することはできません。

ゲルマニウムの温浴効果もウソ?

ゲルマニウムの温浴効果もウソ?

ゲルマニウムといえば「温浴効果」が謳われることが多いですよね。

 

しかし、ここまで読んだ方はもうお気づきかもしれませんが、

これに関しても「根拠ナシ」です。

 

「ゲルマニウムを32度以上に温めると、マイナスイオンと遠赤外線が出て体を温める」

などという説明は有名ですが、科学的な根拠はありません。

 

そもそも「マイナスイオン」自体が、疑似科学と言われるものの代表で、

商品を売るためのタネにすぎません。

学術的な用語ではないので「マイナスイオン」が何を指すのかも不明です。

 

また、「遠赤外選」についても同じ。

 

どんな物質でも遠赤外線を発しています。

32度の物体から出る遠赤外線では体は温まりませんし、体の中に入ってくることもありません。

 

つまり、ゲルマニウムによる温浴効果は根拠がなく、

せいぜいお湯自体の熱さによって温まる効果しか期待できないということです。

まとめ

本日は、「ゲルマニウムの真実」についてお話ししました。

 

日本ではいまだに根強い「ゲルマニウム信仰」。

 

温浴効果や美容効果があると信じて使用していた方にとっては、

ショッキングな内容だったかもしれませんね。

 

科学が進歩した現代でも

「疑似科学」「ニセ科学」と呼ばれるものは多くまかりとおっています。

 

賢く取捨選択して、本当に健康・美容にいいものを選ぶようにしましょう。

 

<参考URL>

 

・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報

https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail979.html

・生活と化学 http://sekatsu-kagaku.sub.jp/germanium-science.htm

・左巻健男&理科の探検’s blog

http://samakita.hatenablog.com/entry/20120705/1341461775

・独立行政法人 国民生活センター

http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20090625_1.html

・マイナビニュース

https://news.mynavi.jp/article/20090706-a061/

・Business journal https://biz-journal.jp/2016/04/post_14590.html

・株式会社 高千穂金属

https://www.takachiho-k.co.jp/cgi-bin/takachiho-k/siteup.cgi?category=1&page=0

・imidas https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-047-09-08-g328

・明治大学科学コミュニケーション研究所

http://www.sciencecomlabo.jp/health_goods/germanium.html

 

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