【医師監修】老人性血管腫(チェリースポット)老人性血管腫とは?気になる正体と治療法を解説
顔やデコルテなどの目につきやすい場所に現れるポツポツの正体、それは「老人性血管腫」です!
見た目の特徴から「チェリースポット」「ルビースポット」「赤ほくろ」などとも呼ばれているこの症状は、加齢とともに発症することが多く、治療をしない限り消えることはありません。
本記事では、老人性血管腫の特徴や原因、主な治療法について詳しく解説します。
「老人性血管腫」とは?症状の特徴や原因を解説
老人性血管腫は、皮膚の中の毛細血管が拡張・増殖することによってできる良性の皮膚腫瘍です。
赤い斑点やイボのようなものが増えていき不安に思われるかもしれませんが、良性なので放置しても問題はありません。
ただ、「老人性」といっても20代で悩み始めるケースもあり、顔やデコルテなどの目立つ部位にできやすいことから、何かしら対策したいと考える方も多いはず。
ここでは、老人性血管腫の特徴や原因について解説します。
症状の特徴
老人性血管腫は、1mm~5mmほどの平坦もしくはドーム状の赤いできもので、ほくろやイボのような形をしています。
はじめは平坦ですが、徐々に盛り上がったり濃くなったりするケースもあります。
全身の至るところに現れ、主に顔や胸元、背中、腕などに発症することが多いのも特徴です。
老人性血管腫には痛みやかゆみなどの自覚症状はなく、放置することにより身体に異常をきたすこともありません。
しかしそれと同時に、一度現れると自然に消えることはなく、加齢とともに増えていくという厄介な特徴もあります。
原因
老人性血管腫の原因は現状では明確にされていませんが、可能性として以下の条件が挙げられます。
・加齢
・紫外線
・摩擦
・遺伝子
・生活習慣の乱れ
・ホルモンバランスの乱れ
もっとも大きいと考えられているのは、加齢による影響です。
そして、顔や胸元、腕などの露出頻度の多い部位に現れやすいことから、紫外線も影響していると推測されています。
さらに、紫外線の影響を受けにくい背部や腹部などに多発するケースでは、遺伝子が要因として挙げられることも。
ただ、これらはあくまで推測のため、上記の条件に当てはまらない方に症状が現れないとは限りません。
老人性血管腫は治療可能!主な方法について
老人性血管腫の場合、一般的なイボ治療で使用する飲み薬や塗り薬では効果を得られませんが、切除手術やレーザー治療を行うことで気になる腫瘍を取り除けます。
ここからは、老人性血管腫に効果的とされる4つの治療法をご紹介します。
色素レーザー
色素レーザーは、赤血球内のヘモグロビンという赤い色素に反応するレーザーを照射することにより血液内の赤血球を瞬間的に高熱にすることによって血管壁にダメージを与えることで、老人性血管腫を破壊する治療法です。
多発している場合や、皮膚の浅い部分に腫瘍ができている場合に効果的で、一度に多数を治療できます。
痛みは少ないので、無麻酔もしくはテープ麻酔で治療が可能です。
多くの場合1回で終了しますが、大きさや深さによっては複数回照射が必要なケースもあります。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーは、色素レーザーよりさらに波長の長いレーザーを使用する治療法です。
水分に反応するレーザーを照射して皮膚の水分に吸収させ、皮膚を蒸散させ患部を削り取ります。
痛みが強いので、通常は注射で局所麻酔を行います。
色素レーザーで効果を得られなかった腫瘍は、炭酸ガスレーザーによって改善がみられるケースもあります。
凍結療法
液体窒素で老人性血管腫を急速に凍結させて、組織を破壊する治療法です。
以前は定番の治療法でしたが、色素沈着や治療痕が残りやすいことから、現在ではレーザーが主流となっており、凍結療法を用いるケースは少ないようです。
老人性血管腫の治療は安全!?各治療法のリスクまとめ
老人性血管腫の各治療法のリスクについてまとめたものをご覧ください。
・炎症、赤み
・内出血
・炎症後色素沈着
・水ぶくれ
・炎症・赤み
・炎症後色素沈着
・傷跡
・色素沈着
・傷跡が残る
リスクを減らすため、治療後しばらくはマッサージなどによる刺激を避け、紫外線対策をしっかりおこないましょう。
ダウンタイムが長引く、あるいは術後の経過が気になる場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
まとめ
老人性血管腫は良性の腫瘍のため、発症しても慌てる必要はありません。
徐々に増えていく赤いポツポツにお悩みの方は、ご紹介した治療法やリスクの情報を参考に自身に合った方法を選択し、老人性血管腫による肌悩みから解放されましょう!
監修医師プロフィール
よしクリニック 院長 中野 貴光 氏
[経歴]
平成9年、筑波大学医学専門学群卒業。東京女子医科大学の形成外科学教室に入局。東京大学医学部形成外科、日本大学医学部形成外科への赴任等を経て、2年間アメリカ・テキサス大学にて熱傷の研究に従事。帰国後、医学博士を取得。2019年6月に練馬で「よしクリニック」を開業。
[保有資格]
・日本形成外科学会形成外科専門医
・日本熱傷学会熱傷専門医
・日本レーザー医学会レーザー専門医
・日本手外科学会手外科専門医
・日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
・医学博士
[クリニック紹介]