新紙幣に変わるのはいつから?描かれる人物はどのようにして決まる?
2019年4月9日の閣議後の記者会見で、麻生太郎財務相が新紙幣の発行を明らかにしました。一万円、五千円、千円札がデザインを一新して発行される予定です。発表されてから期間が空いているため、「いつ新紙幣が発行されるんだろう?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、新紙幣に変わる時期やお札を新しくする理由、描かれる人物の決め方などについて解説します。
新紙幣に変わるのはいつから?
2019年4月、政府は2024年の上半期(4~9月)を目途に、一万円、五千円、千円札の新紙幣の発行を発表しました。千円札と五千円札は2004年に一新されましたが、一万円札は1984年に聖徳太子から福沢諭吉になって以来で、40年ぶりの変更となります。
前回、新紙幣が発表されたのは2002年8月。発表から2004年11月の発行まで2年3か月しかありませんでした。そのため、新紙幣発行時には、ATMやレジ、自販機などの準備が間に合わず混乱を招く結果に。その反省をもとに、今回は5年という準備期間が設けられています。
なぜ紙幣のデザインは変更されるの?
日本の紙幣の歴史を振り返ってみると、1984年、2004年、2024年と約20年に一度のペースで新しい紙幣に切り替わっています。ではなぜ紙幣のデザインを定期的に変更しているのでしょうか。
その大きな理由は、偽造防止の強化です。2024年に発行される新紙幣には、見る角度を変えると肖像の3D画像の向きが変わって見える、最先端のホログラム技術が使われる予定。
また、光に透かすと模様が浮かぶ「すかし」も、今まで以上に繊細で再現が難しい模様を導入するなど、最新の技術を使ったさまざまな工夫が凝らされています。
さらに、目の不自由な方や日本語のわからない方などでも紙幣の区別が付きやすいよう、「ユニバーサルデザイン」を採用していることも特徴です。
紙幣の種類が識別しやすいよう、額面数字の大型化や指の感触で識別できるマークの形状変更などの工夫が施されます。
描かれる人物はどのようにして決まる?
現在の紙幣に描かれている人物と言えば、福沢諭吉、樋口一葉、野口英世。誰もが知っている有名な人物ですが、どのように決められているのでしょうか。
ここからは、紙幣に描かれる人物の条件をご紹介します。
明治以降に活躍した人物である
紙幣は、小さな子どもからご年配の方まで幅広い世代が利用します。そのため、いずれの年代の人にも馴染みがあり、その業績が広く認められている明治以降の日本を支えた人物から採用されます。
一般に広く良く知られている
紙幣は日本国民だけでなく、旅行やビジネスで訪れる海外の方も利用します。日本国民が世界に誇れる人物で、教科書に載っているといったように、広く知られていることも基準の一つです。
文化人である
文化人であることも条件になっています。以前は伊藤博文や岩倉具視といった政治家が選ばれることもありました。しかし2004年の改刷以降は、政治家は選考基準から外され、文化人から選ぶ考え方が定着しました。
精密な肖像画や写真が現存する
歴史的な偉人であっても、見慣れた顔でなければ、偽札に気が付かない場合があります。また、偽造防止の目的から、なるべく精密な写真や絵画を入手できることが条件となります。
新紙幣に描かれる人物はどんな人?
新紙幣に描かれる3名はどのような人物だったのでしょうか。
一万円札:渋沢栄一(しぶさわ えいいち)
渋沢栄一は明治から昭和にかけて活躍した近代日本を代表する実業家です。「日本の資本主義の父」と呼ばれる人物で、日本経済近代化への最大の功労者といわれています。日本で最初の銀行となる「第一国立銀行」(現在のみずほ銀行)を設立したほか、東京証券取引所や東京ガス、キリンビールなど500以上の企業を成功に導き、日本の政財界に大きな影響を与えた人物です。
五千円札:津田梅子(つだ うめこ)
津田梅子は、政府が欧米に派遣した「岩倉使節団」に加わった最初の女子留学生の一人で、日本の女子教育の先駆者といわれています。
1900年に、私立の女子高等教育機関として日本初の「女子英学塾(現津田塾大学)」を設立。
女性の地位向上や個性を尊重した教育に務めました。女性の社会進出が進んでいる、令和の時代にふさわしい人物だといえるでしょう。
千円札:北里柴三郎(きたざと しばさぶろう)
北里柴三郎は。感染症医学の発展に貢献し「近代医学の父」と呼ばれる、近代日本を代表する医学者・細菌学者です。ドイツに留学して細菌学者のコッホのもとで、研究に打ち込み、世界で初めて破傷風菌の培養に成功。治療法や予防法の確立に貢献しました。
北里大学の前身となる「北里研究所」を設立し、慶応大学医学部の創設にも尽力した人物です。
まとめ
偽造防止効果の強化やユニバーサルデザインの推進という観点から、2024年に新紙幣が発行されます。一万円札は「渋沢栄一」、五千円札は「津田梅子」、千円札は「北里柴三郎」と肖像画の人物も一新されます。
新紙幣にはさまざまな技術が組み込まれているため、実際に手にするのが楽しみです。