なかなか治らない手湿疹(手荒れ)…原因はなに?治し方や防ぎ方も徹底解説
肌トラブルが起きやすいパーツである「手」。
・ガサガサして洗剤が沁みる
・パックリと割れて痛い
・小さな水ぶくれや湿疹のようなものができて痒い
そんな「手湿疹」の症状にお悩みの方も少なくないかもしれませんね。
手湿疹を予防・改善するためには、まず手湿疹について知ることが必要不可欠。
本日は、手湿疹の原因や予防・改善する上で重要なポイントなどについて解説していきたいと思います!
手湿疹とはどんな状態のこと?
手湿疹とは、手のひらや手の甲、指などに炎症反応が起こっている状態の総称。
手湿疹と一言でいっても症状の出方はワンパターンではなく、
・赤み
・かゆみ
・水ぶくれ
・腫れ
・パックリ割れ
・鱗屑(りんせつ)
・皮むけ
といったように多岐にわたります。
炊事や洗濯といった水仕事が多い主婦によく見られる傾向があるため、「主婦湿疹」と呼ばれることもあります。
また、手を洗う頻度が多い調理師やパーマ剤・シャンプーなどを使う美容師にも手湿疹が起こりやすい傾向があります。
手湿疹が起こる原因
手湿疹が起こってしまう原因は人によって異なり、中には原因不明なものも存在します。
しかし、ほとんどは次の3パターンに分類されます。
ご自身の手湿疹の原因かどのパターンなのか、考えてみてくださいね。
(1)刺激性接触皮膚炎
約7割の手湿疹はこの「刺激性接触皮膚炎」によるものだと言われています。
刺激性接触皮膚炎とは、手洗いや水仕事、洗剤やパーマ剤といった物理的・化学的なダメージを常に受け続けることによって起こる湿疹のことです。
手のカサカサや鱗屑(角質がフケのようにポロポロ落ちること)から始まり、赤みや小さな水ぶくれなどの症状が現れます。
刺激性接触皮膚炎が慢性的になると、皮膚が硬く・厚くなったり、パックリと割れてしまったりすることもあります。
刺激性の接触皮膚炎は、特に冬に悪化しやすいという特徴があります。
冬は空気が乾燥しているため、手についた水分が蒸発するときに手の潤いも奪われやすくなります。
肌が乾燥することによってバリアが低下し、外的刺激に対して敏感になってしまうのです。
(2)アレルギー性皮膚炎
手湿疹の原因として、アレルギー性の皮膚炎という可能性もあります。
これは、特定の物質へのアレルギー反応として起こる湿疹のことです。
手洗いや水仕事を行う機会が多かったり、シャンプーやパーマ液を仕事で扱う機会が多かったりすると、手のバリア機能が低下しやすくなります。
バリア機能が低下すると、本来は肌を通過することがない食材や薬剤などの物質が肌から侵入しやすくなります。
肌は「外から敵が侵入してきている!」と驚いてしまい、本来はなんでもない物質に対しても免疫が過剰に反応し、アレルギーを発症してしまうのです。
一度アレルギーを発症してしまうと、アレルゲン(アレルギーの対象となる物質)に触れただけで炎症が起き、赤みや水ぶくれ、かゆみや灼熱感などが発生する場合があります。
アレルゲンは人によって異なり、野菜や花といった自然のものから、ゴム・消毒液・シャンプーといった化学物質まで、多岐にわたっています。
(3)アトピー性皮膚炎
もともとアトピー体質の方やアトピーの素因を持っている方は、バリア機能が弱い傾向があります。
そのため、手洗いや水仕事、洗剤やパーマ剤といった物理的・化学的なダメージによって手湿疹に進行しやすい傾向があります。
また、バリア機能が低下しているということはアレルギーも発症しやすいということになり、アレルギー性皮膚炎としての手湿疹を合併することも多くあります。
アトピー性皮膚炎による手湿疹は、症状が強く出てしまう傾向があり、手首から手の甲にかけて掻き壊しにより赤みが出てしまったり、皮膚がごわごわと厚くなり革のようになってしまったりする場合があります。
繰り返す手湿疹の防ぎ方・治し方
このように、さまざまな要因によって起こってしまう、手湿疹。
どうすれば重症化を防いだり、改善したりすることができるのでしょうか?
ここからは、具体的な対策方法をご紹介していきます。
手荒れに効果的な成分が配合されたハンドクリームを使う
手湿疹をなんとかしようと考えた時に、まず思いつくのが「ハンドクリーム」なのではないでしょうか。
もちろんハンドクリームをこまめに塗ることは非常に重要ですが、現在すでに手湿疹が発生している場合は「手荒れに効果的な成分」がしっかりと配合されているハンドクリームを選ぶことをオススメします。
ポイントは、「抗炎症成分」。
手湿疹の正体は炎症なので、抗炎症成分によってしっかりと炎症を鎮火させてあげることが大切です。
下記のような成分は、抗炎症成分として有名です。
・グリチルリチン酸ジカリウム
・グリチルレチン酸
・dl-カンフル
・アラントイン
・トラネキサム酸
こういった成分が有効成分として配合されているハンドクリームを使用することで、手荒れの症状にアプローチすることができます。
また、乾燥が酷い場合はハンドクリームのメインの機能である「保湿」を担う成分に目を当ててみてください。
ハンドクリームには様々な保湿成分が配合されていますが、手の乾燥が酷い場合は「セラミド」が配合されているものを選ぶのがオススメ。
セラミドは人の肌の角質層にもともと存在している保湿成分。
水分を挟み込むことで、しっかりとお肌のうるおいを守ってくれる成分です。
ですが、セラミドの魅力はそれだけではありません。
実は、セラミドはバリア機能のすこやかさとも深く関わっています。
水仕事などによって肌の中のセラミドが洗い流されてしまうと、乾燥が起こるだけではなく、バリア機能も低下してしまい、手荒れが起こりやすくなってしまうのです。
そのため、ハンドクリームでセラミドを十分に補給してあげましょう。
肌の中をしっかりとセラミドで充足させることで、うるおいで満たされるのはもちろん、バリア機能が整って手湿疹も起こりにくくなります。
成分に意識してハンドクリームを選ぶことが、手湿疹を防ぐ上で重要なポイントです。
手肌に優しいハンドソープに替える
手湿疹のリスクを高めてしまう危険因子のひとつが「手洗い」。
手洗いは汚れや菌・ウイルスを除去するために欠かせないものですが、毎日こまめに手を洗う主婦(主夫)の方などは、手洗いが手湿疹の原因になっている可能性があります。
手を洗わないようにするということは難しいかもしれませんが、せめて肌に優しいハンドソープを選ぶようにしましょう。
ポイントは、「弱酸性」のハンドソープを選ぶということ。
市販のハンドソープの多くは「アルカリ性」です。
アルカリ性のハンドソープは洗浄力や脱脂力が非常に強く、肌のうるおいに欠かせない皮脂膜やセラミドも容易に洗い流してしまいます。
また、人の肌というのはもともと弱酸性です。
肌がアルカリ性になると肌表面が過敏になり、炎症を起こしやすくなってしまうのです。
弱酸性のハンドソープなら肌のうるおいは守りつつ、汚れはすっきりと落とすことができ、肌のpHにも影響を与えないので炎症を引き起こしにくいという特徴があります。
また、手洗いの際の「温度」も重要。
手を洗うときはできる限り、32~35℃程度の「ぬるま湯」で洗うようにしましょう。
熱いお湯で洗うと手肌のうるおいが流れやすくなっていまいますし、逆に冷たい水で洗うと血行が悪くなり新陳代謝が鈍くなるため、手荒れが治りにくくなってしまうのです。
熱すぎず冷たすぎない、人肌より少し冷たいぐらいのぬるま湯で洗うことをおすすめします。
水仕事をするときはゴム手袋を利用する
食器洗いやお風呂掃除といった水仕事も、手湿疹を悪化させる大きな要因のひとつ。
水やお湯によって手のうるおい成分が逃げてしまったり、洗剤によってバリア機能が弱まったりすることで、刺激に敏感になり手荒れが起こるのです。
そのため、水仕事をする際は、出来る限りゴム手袋を使用するようにしましょう。
水や洗剤に触れる機会を減らすことで、刺激性接触皮膚炎を防ぐことができます。
ひとつだけ注意したいのが、ゴム手袋自体に対するアレルギー性皮膚炎。
手肌を守るために必ず水仕事をする際にゴム手袋をするようにしているのに手湿疹がどんどん悪化している・・・という場合は、もしかするとラテックス(天然ゴム)アレルギーがあるのかもしれません。
「手湿疹になる前からゴム手袋を使っていたけど、前は何もトラブルがなかったから」と同じゴム手袋を使い続ける方もいらっしゃいますが、ラテックスアレルギーは突然発症するため、前はラテックスアレルギーじゃなかったとしても、今もそうだとは限りません。
ラテックスアレルギーが疑われる場合は、天然ゴムのタンパク質が含まれないビニールやポリエチレン、ニトリルゴム製の手袋を使用して様子を見てください。
セルフケアで治らない場合は皮膚科の受診を
有効成分が配合されたハンドクリームをこまめに使用したり、ハンドソープを手肌に優しいものに替えてみたり、水仕事の際にゴム手袋を使用しても手湿疹の症状に改善が見られない場合は、皮膚科を受診するようにしてください。
手湿疹は、とにかく「できるだけ早く治す」ことが大切。
手湿疹が起こっているということは、バリア機能が弱まっているということ。
つまり、外敵刺激に対して敏感になっているということです。
手湿疹が起こっている状態の手で水仕事をしたり、薬剤に触れたりすることでさらに手湿疹が悪化・・・という悪循環に陥ってしまう可能性があります。
また前述の通り、バリア機能が弱まっている状態というのは「アレルギーを発症しやすい状態」であると言えます。
手湿疹が起こっている手で食品などに触れることで、食べ物アレルギーを発症してしまうリスクもあるのです。
そのため、まずは今の手湿疹をできるだけ早く治すことに注力しましょう。
セルフケアで改善の兆しが見えない場合は速やかに皮膚科を受診し、処方された抗炎症薬などを活用して今の炎症を早く鎮火してあげることが大切です。
「たかが手湿疹」と侮らず、皮膚科へ行くという選択肢を常に持っていてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本日は手湿疹の原因と、その予防・改善方法をご紹介しました。
手湿疹は、ただでさえバリア機能が弱っている手で水仕事などを行うことでさらに悪化・・・という風に悪循環が起こりやすく、長引きやすいお悩みのひとつ。
手湿疹が起こっている原因を究明し、それを避けることで徐々に改善していきます。
何か見直せることがないかどうか、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
執筆者プロフィール
コスメコンシェルジュ
宇佐美うさ(うさみ・うさ)
東京都下生まれのコスメコンシェルジュ。
美容業界に従事し約10年。化粧品販売員・化粧品商品開発者・美容ライター等の経歴を持つ。
近道でキレイになるための方法や、化粧品成分の読み解き方を発信すべく活動している。
一番の関心事はエイジングケア。
保持資格
化粧品検定1級