【医師監修】男性まかせの避妊ではダメ!女性が知っておくべき避妊方法と失敗時の対処法
みなさんは避妊について考えたことがありますか?
避妊の話になると「男性が避妊してくれるかどうか」が議論になりやすいですよね。
しかし、セックスは2人でする行為です。
相手がちゃんと避妊する男性であっても、すべて男性まかせというのは良くありません。
もし、避妊に失敗した時にリスクを負うのは女性の方ですから、女性こそ避妊についてしっかり考える必要があるのです。
避妊はコンドームを使う方法が一般的ですが、女性主導の避妊方法もいくつかあります。
そこで今回は、レディースクリニックの院長を務めておられる専門医監修のもと、女性ができる避妊方法や避妊に失敗した時の対処法についてご紹介してまいります。
女性ができる避妊方法
セックスは子供を望まないカップルにとっても、愛情表現やコミュニケーションのための大切な行為です。
ですが、妊娠の可能性がある行為だということは、いつも心に留めておいてください。
望まない妊娠は不安や戸惑いを生み、特に女性にとってはこれからの人生を左右する重大な問題になります。
「子作り」ではないセックスを楽しむためには、女性も自分でできる避妊方法を知っておくことが大切です。
避妊を怠る男性は相手にしない
大人の女性には言うまでもないことだとは思いますが、避妊に無頓着な男性とは絶対に関係を持たないでください。
どんなに好きな相手でも、子供を望まないうちは必ず避妊しましょう。
「1度だけなら」「少しだけなら」といった軽い気持ちで行為に及び、一生後悔することもあり得ます。
避妊をしない男性は、絶対に相手にしないこと。
これも女性にできる避妊方法の1つであり、女性がしなければならない避妊方法です。
コンドームは妊娠の可能性を下げるだけでなく、性行為によって感染する病気を防ぐ効果もあります。
ほかの避妊方法を用いる場合でも、セーファーセックスのためにコンドームは不可欠です。
避妊を男性まかせにしない
男性器にコンドームを装着する方法は、もっとも一般的な避妊方法ですが、実は100%妊娠を防げるわけではありません。
使い方が間違っていたり、コンドームが破損していたりすると、避妊の成功率は低くなってしまいます。
コンドームを正しく使用した場合でも、1年間の避妊失敗率は3~14%。
これは次にご紹介する「リズム法」や「ピルの服用」と比べても、やや高い確率です。
相手がしっかり避妊をする男性であっても、避妊を男性まかせにしないでください。
女性も自分でできる避妊方法を知っておくことで、より安全なセックスができるようになります。
リズム法(基礎体温法)
リズム法は基礎体温から体の状態を把握し、妊娠しやすい日を避ける避妊方法です。
女性の体がもっとも妊娠しやすい状態になるのは、「排卵日」の2日前~当日です。
排卵日は一般的に、次回の生理が来る2週間前になります。
排卵日や生理予定日を予測するには、毎朝きちんと基礎体温を測り、記録しておかなければなりません。
基礎体温は目が覚めた直後に、寝た状態のままで検温してください。
基礎体温を記録してグラフを作成すると、体温が高い日が続く「高温期」と、低い日が続く「低温期」に分類することができます。
排卵日の後に高温期が始まり、生理が来ると低温期に入るので、基礎体温の変化を観察すれば、排卵日や生理日の予測が可能です。
基礎体温を記録することは、避妊だけでなく妊活にも役立ちます。旅行やデートなどのスケジュールも立てやすくなって便利です。
最近は検温時間の短い基礎体温計や、簡単に基礎体温のグラフを作成できる無料アプリもあるので、慣れてしまえば面倒よりも、メリットの多い方法だと思います。
正しく行った場合の失敗率は0.4~5%です。
排卵日を正確に把握することができれば、高い確率で避妊することができます。
しかし、基礎体温はストレスや過労、体調不良などで変化するため、毎朝きちんと検温しても排卵日や生理日の予測がズレてしまうことがあります。
また、性病や性行為によって感染する病気を防ぐこともできません。
リズム法は単独で用いるより、コンドームと併用することでより確実な避妊方法になります。
低用量ピル(経口避妊薬)を服用する
女性ホルモンを含むピルを服用することで、体を妊娠時に近い状態にする避妊法です。
ピルを飲み忘れることなく、正しく服用していれば、ほぼ100%に近い避妊効果が得られると言われています。(※下痢などで吸収が悪い場合には効果が下がります)
避妊には高い効果を発揮しますが、性病を防ぐ効果はありません。
性病予防ために、必ずコンドームと併用してください。
低用量ピルは服用する時間を決め、毎日同じ時間に飲むようにします。
基本的には21日間連続して服用し、その後の7日間で生理が来ます。
ピルを服用すると、生理周期がコントロールできるようになり、服用する日数を変えれば生理予定日を早くしたり、遅くしたりすることが可能です。
人によっては生理痛の改善や出血量の減少、生理前症候群(PMS)の緩和なども期待できます。
ピルが女性ホルモンの働きに影響を与えることで、卵巣がんや卵巣のう腫、子宮体がんの発症リスクが下がることも分かっています。
吹き出物が減り肌荒れが改善するのも、ピルの嬉しい効果です。
一方で、デメリットもあります。
ピルの服用を始めた直後は、吐き気や頭痛、乳房の張りなど、体調に変化が現れることがあります。
しかし、いずれも軽度で1~3シートを飲み終わる頃には症状が出なくなることが多いです。
ピルを服用することで罹患のリスクが下がる病気がある一方で、子宮頸がんや血栓症などを発症するリスクは高くなります。
ピルは必ず病院で処方してもらい、服用開始後は定期的に健診を受けて、体の健康状態をチェックしておきましょう。
ピルの費用は医療機関によって異なりますが、1シート(1ヶ月)3000円程度です。
ピルの服用は、完全に女性主体で行えて、女性にとって嬉しい効果も期待できる避妊方法です。
一方で、無視できないデメリットもありますので、ピルを服用するかどうかは少し時間をかけて考えてみてください。
避妊に失敗したかも?知っておきたい対処法
どんなに注意していても、避妊に失敗してしまうことはあります。
成功率の高い避妊方法を知っておくことも大切ですが、避妊に失敗したかもしれない時、どのように行動すればいいかを知っておくことも重要です。
アフターピル(緊急避妊薬)を処方してもらう
アフターピルは避妊に失敗した可能性がある行為から、24時間以内に服用すれば98%の確率で妊娠を防ぐことができると言われています。
避妊に失敗したと思ったら、遅くとも72時間以内にアフターピルを服用してください。
もしもの時、できるだけ早くピルを手に入れるために、お住いの地域で夜間や休日も営業している病院を把握しておきましょう。
アフターピルを服用すると、3~7日後に少量の出血が起きます。
この出血は「消退出血」と呼ばれ、アフターピルによる避妊が成功したサインです。
しかし、別の原因による不正出血の可能性もありますので、生理予定日から1週間過ぎたら、市販の妊娠検査薬で確認してください。心配なら病院で診察を受けましょう。
アフターピルの費用も医療機関によって差がありますが、だいたい1~2万円程度です。
アフターピルは強い薬ですので、服用後は吐き気や嘔吐、頭痛などの副作用が出ることがあります。
症状は一時的ですが、アフターピルの服用が体に負担をかけているのは間違いないことです。
アフターピルはあくまで緊急の避妊方法として考え、最初からアフターピルありきで避妊を怠るようなことがないようにしてください。
女性健康支援センターなどの相談機関に連絡する
「避妊に失敗したかもしれない」と不安になった時は、1人で悩まず専門機関に相談することも大切です。
専門家に悩みを打ち明け、アドバイスを聞くことで、適切な行動ができるようになります。
たとえば、「女性健康支援センター」という機関が全国各地に設けられているのはご存じですか?
女性健康支援センターは、女性の健康に特化した相談窓口です。
保健師や助産師などの専門家が相談員を務め、避妊の失敗や予期せぬ妊娠、出産に対する不安など、女性のさまざまな悩みに対応してくれます。
相談は無料で、匿名で相談することも可能です。
地域によっては電話だけでなく、メール相談も受け付けている機関があります。
他にも、女性の悩みや妊娠・出産に関する相談を無料でできる専門機関がありますので、もしもの時のために連絡先を控えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は女性が主体になってできる「避妊方法」をご紹介しました。
男性が避妊に積極的でない場合はもちろん、しっかり避妊する相手であっても、最後の最後で自分を守ることができるのは自分自身です。
これまで避妊を男性まかせにしていた人も、この機会に自分ができる避妊方法についてしっかり考えてみてください。
監修医師プロフィール
医療法人社団都筑
つづきレディスクリニック 院長 吉岡 範人
[経歴]
1978年生まれ。千葉県出身。
2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。
16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。
2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。
その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。
[保有資格]
日本産科婦人科学会専門医
日本産科婦人科学会指導医
日本体育協会認定スポーツドクター
母体保護法指定医
婦人科腫瘍専門医
[クリニック]
最終更新日: