動悸や多汗、疲労感がある人は要チェック!「バセドウ病」の原因や症状、注意点などを徹底解説【医師監修】

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動悸や多汗、疲労感がある人は要チェック!「バセドウ病」の原因や症状、注意点などを徹底解説【医師監修】

バセドウ病」という病名を聞いたことはありますか?

 

芸能人などの有名人にもバセドウ病を告白している人がいるので、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

 

バセドウ病は1,000~2,000人に1人、女性ではさらに罹患している頻度が多いとされている病気です。(※1)

 

過度な運動をしたわけでもないのに、動悸や多汗、疲労感があると感じていたら、それはバセドウ病の初期症状かもしれません。

バセドウ病は少しでも早く適切な治療をはじめることが大切です。

 

そこで、この記事ではバセドウ病の特徴や治療について解説していきたいと思います。

バセドウ病とは

バセドウ病とは

バセドウ病とは、首の前側、のど仏のすぐ下にある「甲状腺」という臓器が、必要以上にホルモンを作ってしまうことで発症します

 

甲状腺で作られる甲状腺ホルモンには体温調節をしたり、成長や発達を促したりする大事な役割がありますが、過剰に作られてしまった場合はさまざまな体調不良の原因となるのです。

1.原因

バセドウ病の原因としては、遺伝や生活環境が関係していると言われています。

 

バセドウ病は血縁者に出やすいということが知られていますが、はっきりした原因となる遺伝子はまだ見つかっていません。

 

また、ストレスやタバコ、過労、出産など、遺伝以外の要因でも発症するとされています。

2.症状

バセドウ病の症状にはさまざまなものがあります。

以下に代表的な症状をリスト化しているので、まずはセルフチェックしてみましょう。

 

 動悸や息切れ

 手の震え

 多汗

 全身倦怠感

 体重減少

 眼球突出

 

これらはバセドウ病の一般的な症状ですが、すべての症状が出るわけではありません。

バセドウ病を発症するのは、20~50歳代に多く、女性は男性の約4倍多く発症すると言われています

 

また、高齢者の場合は症状が出づらく診断が遅れることもあります。(※2)

 

もし、当てはまる項目がひとつでもあれば、早めに医療機関を受診しましょう。

バセドウ病における日常生活の注意事項

バセドウ病における日常生活の注意事項

バセドウ病の人は、日常生活で注意しなければならないことがいくつかあります。

 

ここからは注意事項のうち5つを解説していきたいと思います。

1.喫煙

はっきりとした原因はわかっていませんが、喫煙はバセドウ病やバセドウ眼症(眼球突出)を悪化させるとされています。

 

できれば、禁煙したほうがいいでしょう。

2.激しい運動

バセドウ病の人は、心臓に負担のかかる階段の使用や激しい運動は控えてください。

3.食事制限

ヨウ素を含む食品の過剰摂取は控えましょう。

ヨウ素は海藻類やレバーなどのホルモン全般に多く含まれます。

 

これらを完全に断つ必要はありませんが、食べ過ぎに注意が必要です。

4.ストレス

ストレスもバセドウ病を悪化させると言われています。

また、過労や睡眠不足などにも注意が必要です。

 

ストレスを完全に避けることは難しいですが、できるだけストレスをためないようにしましょう。

5.自己判断による断薬

バセドウ病は完治しない病気ですが、適切な治療を行えば症状はなくなり、健康なときと同じような生活を過ごすことができます。

 

ただし、症状が軽快したように思えても自己判断による断薬は厳禁です

一度断薬して再度服薬を開始した場合、薬の副作用がでやすいとも言われています。

バセドウ病の症状には漢方薬の併用という選択肢も

バセドウ病の症状には漢方薬の併用という選択肢も

バセドウ病の治療では抗甲状腺薬が処方されるのが基本ですが、これと併用する形で漢方薬を服用するのもおすすめです。

 

漢方薬を併用することで、バセドウ病の動悸や疲労感などの症状の軽減が期待できます。

 

バセドウ病の症状の軽減には、

 

「血流を良くして栄養を全身に運び、体力を回復する」

「動悸の原因となる体液不足を補う」

「自律神経の乱れを整える」

「消化・吸収機能を改善してカラダの内側から心やカラダを元気にする」

 

などの働きをもった生薬を含む漢方薬を服用するといいでしょう。

 

漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、心とカラダのバランスを回復させて動悸や疲労感などを和らげます。

 

【参考にしたURL】P2の「甲状腺機能亢進症」の部分を参考にしてライティングし、漢方薬もここで記載されているものから選択しました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/64/1/64_1_28/_pdf

バセドウ病の症状に補助的に用いられる漢方薬

●炙甘草湯(しゃかんぞうとう)

血流を良くして脈の乱れを整えることで、動悸や息切れ、不整脈に用いられます。

 

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

自律神経の乱れを整えて心を落ち着かせることで、イライラ、不安、喉のつかえ感、不眠、動悸などを改善します。

また、胃の働きを整えることで、消化不良、膨満感、胃炎にも用いられます。

 

 

漢方薬を併用することで、ツラい症状の軽減が期待できますが、薬の飲み合わせや体質によっては思わぬ副作用がでることもあります。

 

バセドウ病の人は、漢方薬を飲もうと思ったら、必ずかかりつけ医に相談してください。

 

最近では、スマホを使ったオンラインの個別相談で、医師や薬剤師に個々の体質に合った漢方薬を選んでもらうことができる『あんしん漢方』というサービスもあるので、活用してみるといいでしょう。

バセドウ病と付き合っていくために大切なこと

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、さまざまな症状を引き起こす病気です。

動悸や多汗、疲労感や体重減少などが特徴で、適切な治療が必要となります。

 

バセドウ病の人は、喫煙や激しい運動、ストレスなどが症状を悪化させることがあるため、これらを避けるようにしましょう。

自己判断による治療薬の断薬は禁物です。

 

また、漢方薬を併用することで、症状の緩和が期待できますが、医師の指導のもとで使用しましょう。

 

 

<参考文献>

(※1)バセドウ病治療ガイドライン2019 | 日本内科学会雑誌111巻11号

(※2)バセドウ病とは-原因や治療について | 杏林大学医学部附属病院

監修者プロフィール

監修者プロフィール

医師

木村 眞樹子(きむら まきこ)

 

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。

総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。

 

自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。

 

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。

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