【医師監修】痩せると話題の漢方、防風通聖、!効果や想定される副作用とは?

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【医師監修】痩せると話題の漢方、防風通聖、!効果や想定される副作用とは?

近年、痩せる漢方として注目されている「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」

 

「飲むだけで痩せられるの?」

「身体にやさしいイメージだけれど誰でも飲めるの?」

 

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、話題の防風通聖散の効果や飲み方、副作用のリスクについて解説します。

腹部の脂肪に効果大!?防風通聖散とは?

腹部の脂肪に効果大!?防風通聖散とは?

防風通聖散は、18種類の生薬から成る漢方の一種です。

 

含まれる生薬の中には、血流改善効果で知られる当帰(とうき)芍薬(しゃくやく)や、便通を促す大黄(だいおう)芒硝(ぼうしょう)、水分代謝を促す滑石(かっせき)蒼朮(そうじゅつ)、皮膚の抵抗力を強くする川芎(せんきゅう)荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)連翹(れんぎょう)薄荷(はっか)、からだの炎症などで引き起こされる熱に対して有効な桔梗(ききょう)石膏(せっこう)黄芩(黄芩)山梔子(さんしし)など、本当に様々な生薬が配合されているので、中には聞き馴染みのあるものも含まれていますよね。

 

防風通聖散はもともと中国の、古くは金元時代からある処方で、日本では体内の膿や酒食の毒、および体表の湿疹やニキビなどの出来ものを治療する薬として江戸時代から盛んに使われていた方剤です。それが近年では肥満に対する効果などで注目を集めています

ここでは、防風通聖散の効果や飲み方についてみていきましょう。

効果効能

防風通聖散には、次のような効果があるとされています。

 

・脂肪分解、燃焼

・血圧を抑える

・便秘解消

・動悸、肩こり、のぼせ、むくみの解消

・蓄膿症の改善

・湿疹、皮膚炎の改善

 

このなかで近年特に注目されているのは、脂肪の分解・燃焼効果

ちまたでは皮下脂肪がつきやすいお腹まわりや太ももの脂肪に効果的とされており、ダイエット目的で服用を始める方が多くいらっしゃいます。

また、便秘体質の人で大便が毎日出なくて困っている人で、どうせ便秘薬を飲まなければいけないなら少しでも肥満が解消できるような薬をと希望して防風通聖散を服用し始める人、またニキビや肌荒れなどの原因となるカラダの実熱の解消効果を期待して「美肌や美容の目的」で服用し始める人もいるでしょう。

効果が現れるまでの期間と効果を得やすい方の特徴

漢方薬の効果はさまざまで、人工的に化学合成された新薬のように即効性のあるものから、体質改善を目指す割と時間がかかるものまで様々な有効期間があります。

防風通聖散も例外ではなく、便秘の解消目的のように服用してその日のうちに効果を見るものや、最低でも2週間から1か月ほど摂取を継続する必要があるものまで目的の効能によって違いがあります。

 

効果が現れるまでの期間は、改善したい症状により異なります。

効果が現れるまでの期間と効果を得やすい方の特徴

効果の現れ方は、体質によっても異なります。

漢方の世界では、「証」と呼ばれる体質診断により、適切な漢方薬が処方されます。

防風通聖散が効果的とされるのは、体力や抵抗力があり、胃腸が強い、便秘気味、暑がりなどの特徴を持つ「実証」タイプの方です。

 

対して、体力や抵抗力が弱く華奢な体型で、胃腸が弱い、下痢気味、疲れやすく疲労回復のスピードが遅いなどの特徴を持つ「虚証」タイプの方は、効果が期待できないどころか、かえってむくみが強くなり体重増加してしまったり美肌どころか湿疹が悪化することもあります。実際これを飲んでいるからやせるだろうと思い込んで、証が合っていないのに服用を続けてかえって太ってしまい、とうとう体重が100kgを超えた婦人を診たことがあります。また、薬剤メーカー的には薬を飲んでいるだけで痩せるということではないらしく、あくまで運動療法を併用した場合に体重減少効果があるということで、決して楽して痩せるための薬ではないということなので注意が必要です。

防風通聖散をはじめとする多くの漢方薬は、薬局等で手軽に手に入りますが、自身の体質にあった種類で十分に効果を得たい場合は、適切な食事や運動、または医師への相談を経てから選ぶことをおすすめします。

飲み方

1日の防風通聖散の服用回数は製品によって異なりますが、多くは2回から3回となっています。

お水、またはお湯と一緒に服用しますが、お湯で溶いてから飲むとより吸収率が高まるためおすすめです。

服用のタイミングは食前、または食間。吸収率が高まる空腹時に服用しましょう。

 

加えて、飲み方とともに注意したいのが、薬の飲み合わせや重複です。

防風通聖散に配合されている麻黄(まおう)には、不眠や発汗過多、動悸、精神興奮などをもたらす作用があります。市販のかぜ薬にはこれと似た作用を持つエフェドリン類含有の場合がありますので注意が必要です。また、痩せたい一心で市販の防風通聖散を服用しているにもかかわらず医師から同じ薬を処方して貰い重複して服用したりする人も稀にみられますが、肝機能障害が発生したりする恐れがあるのでそういう事はしないようにして頂きたいと思います。

想定される副作用と服用をおすすめしない方

想定される副作用と服用をおすすめしない方

防風通聖散は、天然の生薬を調合して作られているため、「身体にやさしい」というイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし、まったく副作用が生じないわけではなく、飲むのを控えた方が良い方もいらっしゃいます。

ここでは、防風通聖散の副作用やリスク、服用をおすすめしない方について解説します。

副作用・リスク

防風通聖散の服用で起こりうる副作用は、間質性肺炎、偽性アルドステロン症、低カリウム性ミオパチー、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症などです。いずれも聞いたこともないような副作用だと思いますので、異常があると思った場合は医師に相談するのがよいでしょう。

服用をおすすめしない方

 

以下に当てはまる方には、防風通聖散の服用をおすすめできません。

 

・すでに医師から肥満の治療を受けている

・医師の治療を受けている

・妊娠または妊娠していると思われる

・授乳中

・体力が衰えている

・病み上がり

・胃腸が弱く下痢しやすい

・発汗しやすい

・高齢者

・乳幼児、子ども(製品によって年齢制限は異なります)

・薬により発疹、発赤、かゆみ等が現れたことがある

・むくみや排尿困難の症状がある

・高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の診断を受けている

 

持病や症状の悪化を招くことのないよう、自身の体質に合うかを慎重に判断することが大切です。

 

肥満やむくみでお悩みの人で、防風通聖散が体質的に合っていなくても、他にも防己黄耆湯や苓姜朮甘湯、五苓散、あとはアレルギーや喘息などにも使われる小青龍湯、他にも大柴胡湯など証にあわせて様々な薬がありますので、お悩みの人は是非専門医に相談してみてください。

まとめ

「肥満解消」「便秘改善」などで注目を集めている防風通聖散には、むくみや皮膚炎の改善など、美意識の高い方々にとって魅力的な効果があります。

しかし、漢方には副作用や相性があるため、ご自身の体質に合うものを用法用量を守って継続的に服用することが大切です。

たるんだお腹や便秘体質を改善したい方は、一度医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか?

監修医師プロフィール

監修医師プロフィール

健友有動クリニック院長
菅原 健(すがわら たけし)
健康科学大学特任教授・山梨大学医学部非常勤講師


山梨医科大学卒業してから同大学病院麻酔科に入局。入局後手術麻酔・救急部・ペインクリニックなどを担当し、早くから漢方医学を取り入れた外来治療や教育に力を入れていた。
現在は甲府市に漢方専門の診療所/健友堂クリニックの院長を務め毎日の診療の傍ら、漢方医学を多くの人に知ってもらうため医学部や看護学部での講義や本の執筆も行う。著書に「方輿輗解説」(たにぐち書店)「知られざる日本漢方の力」(幻冬舎)など。

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