その指のチクチク痛みやしびれ、「手根管症候群」かも!?主な原因と症状の特徴などを徹底解説【医師・薬剤師共同監修】
「最近、指がチクチクと痛い……」と思うことはありませんか?
その症状、30~40代の女性に多い「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」かもしれません。
今回は、手根管症候群にかかる原因や症状の特徴、注意点、受診の目安などについてわかりやすく解説していきたいと思います。
手根管症候群とは
まずは、手根管症候群にかかる原因と症状についてみていきましょう。
1.原因
手根管症候群の原因は解明されていない部分が多いものの、手首にある「手根管」という骨と靭帯に囲まれたトンネル状の部分を通る「正中神経」が圧迫されることで起こると言われています。
手指の曲げ伸ばし作業が多い仕事やスポーツを行う方に多くみられる病気です。
また、妊娠・出産期や、更年期など、女性ホルモンが大きく変動する時期の女性に発症例が多い病気としても知られています(※1)。
そのほかにも、人工透析をしている方や腫瘍、腫瘤などから手根管症候群を発症する方もいます。
2.症状
手根管症候群の主な症状は指のしびれや痛みで、早朝や夜間の症状が目立ちます。
最初は中指に痛みが起こり、少しずつ別の指にも症状が出てきますが、小指と薬指に症状が出ることはほとんどありません。
服のボタンをかけられない、ペットボトルのキャップを開けられないなど、細かい作業が難しくなり、日常生活にも大きな影響を与えます。
痛みやしびれがあるときの注意点
続いては、手根管症候群の疑いがあり、痛みやしびれがある場合の注意点についてみていきましょう。
1.手首に負担をかけない
手根管症候群の疑いがある場合は、手首に負担をかけないようにしながら安静に過ごすことが大事です。
手を使う仕事や家事を行う場合は、適度な休息をとりましょう。
安静にすることで手首の腫れがおさまり、痛みやしびれが緩和することもあります。
2.無理に伸ばさない
手に痛みやしびれがあるからといって、無理に伸ばしたりストレッチを行ったりすると、手根管の中にある神経を圧迫し、かえって手根管症候群の症状を悪化させてしまう場合があります。
受診の目安
手根管症候群は、適切な治療を行わずに放置すると筋肉の萎縮が進む場合もあります。
また、別の病気が関係している場合もあるので、痛みやしびれを感じたときはなるべく早いうちに病院を受診しましょう。
手根管症候群の疑いがある場合、まずは整形外科、脳神経内科、脳神経外科などを受診しましょう。
指のチクチク痛みやしびれには漢方薬もおすすめ
病院で手根管症候群と診断された場合、保存療法と手術の2つの選択肢があり、保存療法の場合、消炎鎮痛剤や装具固定、手首のステロイド剤注射などで症状の緩和をめざします。
症状が重度の場合は、靭帯を切って正中神経を開放し圧迫の原因を取り除く手根管開放術を行います(※2)。
また、手の痛みやしびれには漢方薬もおすすめです。
漢方薬は手の痛みやしびれの根本改善にアプローチすることができます。
漢方薬なら、日々の生活習慣を大きく変えなくても毎日飲むだけで済むので続けやすい点もメリットです。
また、漢方薬は植物や鉱物など、自然由来の生薬を基にしており、一般的に西洋薬よりも副作用のリスクが低いと言われています。
手の痛みやしびれの対策には、鎮痛や抗炎症作用に加えて、
「血流を良くして、神経の機能を回復させる」
「ホルモンバランスの乱れを整える」
「水分の循環を整え、老廃物や疲労物質を排出する」
といった作用を持つ漢方薬を選びましょう。
痛みやしびれの緩和におすすめの漢方薬
●桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
エネルギーのめぐりを良くし、カラダを温めて、冷えて痛むタイプの痛みを軽減します。
●疎経活血湯(そけいかっけつとう)
エネルギーや栄養の流れを良くすることで、神経痛やしびれにはたらきかけます。
自分に合う漢方薬を知りたいという人には、漢方のプロにオンラインで個別相談できる『あんしん漢方』というサービスもおすすめです。
AI(人工知能)が個々人に効く漢方を見極めて、自宅まで郵送してくれるという今ちょっとした話題にもなっている便利なサービスです。
まとめ
いかがでしたか?
指の痛みの原因のひとつである手根管症候群は、女性に多い病気です。
もし異常を感じた場合、まずは病院に行き、原因を特定してからその後のケアを行っていきましょう。
【参考】
監修者プロフィール
石坂整形外科クリニック
石坂 淳
北里大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学整形外科教室に入局。
大学病院および関連病院での勤務を経て、2007年10月神奈川県海老名市に「石坂整形外科クリニック」を開院。
クリニックでは副院長の岩﨑先生と共に、中高生のスポーツ障害から高齢者の腰痛・膝関節痛、関節リウマチ、骨粗鬆症、捻挫・骨折等の外傷など多岐にわたる患者様を診察している。
石坂整形外科クリニック
石坂 淳
北里大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学整形外科教室に入局。
大学病院および関連病院での勤務を経て、2007年10月神奈川県海老名市に「石坂整形外科クリニック」を開院。
クリニックでは副院長の岩﨑先生と共に、中高生のスポーツ障害から高齢者の腰痛・膝関節痛、関節リウマチ、骨粗鬆症、捻挫・骨折等の外傷など多岐にわたる患者様を診察している。