月経困難症ってなに?原因やよくある症状、対策方法3選を解説【医師・薬剤師共同監修】

最終更新日:
月経困難症ってなに?原因やよくある症状、対策方法3選を解説【医師・薬剤師共同監修】

月経困難症という言葉を耳にしたことはありませんか?

 

「毎月の生理痛がツラい…」という人は、もしかしたら月経困難症かもしれません。

 

今回は、月経困難症の原因やよくある症状、対策方法を3つ解説していきたいと思います。

強い痛みに悩んでいる人は、自分に当てはまるかチェックしてみましょう。

月経困難症とは

月経困難症とは

月経困難症とは生理に伴う腹痛などの痛みが強く、日常生活に支障をきたす状態を指します。

 

たとえば「生理痛がひどくて起きられない」「痛みがひどくて学校や会社を休んでしまう」などの状態です。

主な症状には下腹部痛、腰痛、吐き気、倦怠感などがあり、生理が終わると症状もなくなります。

 

月経困難症には「機能性月経困難症」「器質性月経困難症」の2つがあり、多くの人は機能性月経困難症に当てはまります。

このタイプの主な原因はプロスタグランジンの過剰分泌です。(※1)

 

一方、器質性月経困難症は子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの疾患が原因で起こります。(※2)

 

「軽かった生理が急に重くなった」「痛みがだんだん強くなる」という人は、器質性月経困難症かもしれません。

このタイプは疾患の進行により痛みがひどくなる可能性があるので、早めの受診と治療が必要です。

月経困難症でよくある症状

月経困難症でよくある症状

月経困難症は痛みに伴う症状が特徴です。

ここでは、多くの人が該当する機能性月経困難症の症状について解説していきたいと思います。

1.下腹部痛

月経困難症の主な症状は下腹部の痛みで、とくに生理の1~2日目に痛みが強くなりやすい(※3)です。

 

また先述の通り、痛みの原因はプロスタグランジンというホルモンが必要以上に分泌されることです。

このホルモンには子宮を収縮させて経血を押し出す作用があるのですが、過剰に分泌されると収縮が強まり、下腹部に痛みが生じます。

2.腰痛

腰痛も月経困難症にみられる症状です。

 

プロスタグランジンは子宮内の筋肉だけでなく、骨盤周辺の筋肉も収縮させるため、腰に痛みを引き起こします。

また、筋肉が強く緊張すると血の流れが滞って疲労物質や老廃物がたまり、痛みがひどくなることがあります。

3.頭痛

プロスタグランジンは血流に乗って全身に作用するため、頭痛の原因になります。

 

さらに、生理によるホルモンバランスの変化も頭痛の要因です。

生理がはじまると、女性ホルモンであるエストロゲンが急減します。

この急激な変化が、片頭痛を引き起こすと考えられています。(※4)

4.吐き気

プロスタグランジンが引き起こすのは痛みだけではありません。

生理中の吐き気も、プロスタグランジンの過剰分泌が原因です。

 

このホルモンは胃や腸に作用するため、個人差はありますが強い吐き気を感じることがあります。(※5)

5.倦怠感

月経困難症の全身症状として代表的なのが、倦怠感です。

 

プロスタグランジンが過剰に分泌されると、発熱や倦怠感、食欲不振といった症状があらわれます。(※6)

さらに、生理中は痛みや不快感、ホルモンバランスの乱れが重なるため、全身がだるく感じたり、疲れやすくなったりします。

月経困難症にできる対策3選

月経困難症にできる対策3選

ここからは、月経困難症への対策を3つ解説していきたいと思います。

生理の重い症状に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

1.下腹部・腰を温める

月経困難症の症状を緩和する方法としては、下腹部や腰を温めることが効果的です。

 

痛みや吐き気などの症状の多くは、筋肉の緊張や血行不良によって起こります。

そのため、下腹部や腰を温めて血の流れを良くすると、筋肉の緊張がほぐれて痛みが軽くなります。

 

生理中はカイロや湯たんぽを使う、お風呂では湯船に入るなど、カラダを温かくするよう心がけましょう。

2.鎮痛剤を使う

月経困難症の痛みを和らげるには、鎮痛剤が有効です。

 

とくに、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑える作用があります。

代表的なのはロキソプロフェンイブプロフェンなどで、市販薬でも販売されています。

 

これらの薬はプロスタグランジンが作られる前、つまり痛みが強くなる前に服用すると効果的です。(※7)

 

クリニックでは、保険適用での処方薬として、ロキソニンといっしょにズファジランを処方しています。

ズファジランは子宮の収縮を抑える薬で切迫流産の治療薬ですが、併用するとロキソニンの効果と相乗効果が出ます。

 

人によっては「カラダが薬に慣れてしまうのでは」「副作用が心配」と鎮痛剤の使用を避けている人もいるのではないでしょうか。

 

ですが、鎮痛剤の耐性については用法・用量を守り、短期間の使用であれば問題ないとされています。(※8)

また、副作用についても正しい使い方や予防策をとることでリスクを軽減できます。

 

鎮痛剤の使用については、市販薬なら販売店の担当薬剤師、処方薬なら担当の医師に相談するといいでしょう。

3.ピルを使う

低用量ピルは、月経困難症の対策に効果的です。

 

痛みの原因となるプロスタグランジンは、子宮の内側にある子宮内膜で作られます。

ピルに含まれるホルモンは排卵を抑えるので、子宮内膜が薄くなりプロスタグランジンの生成が抑えられます。

 

ピルと聞くと「避妊に使うもの」「副作用が怖い」というイメージがあるかもしれません。

ですが、実際には多くの婦人科系疾患にピルは使用されています。

 

副作用については、確かにピルには副作用があり、確率は低いものの静脈血栓症などのリスクがあります。(※9)

そのため、ピルを使用する際には医師による適切な処方と説明を受け、定期的に受診するようにしましょう。

月経困難症には漢方薬での対策もおすすめ

月経困難症には漢方薬での対策もおすすめ

月経困難症の症状には漢方薬を活用するのもおすすめです。

 

漢方薬は自然由来の成分でできているため、一般的に副作用が少ないとされています。

また、毎日決められた量を飲むだけでいいので、手軽にはじめられるのもメリットです。

 

月経困難症の対策には、「血流を良くして子宮や卵巣の機能を回復する」「ホルモンバランスの乱れを改善する」などの働きをもつ漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。

月経困難症の対策におすすめの漢方薬

▼桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

 

生理不順、生理痛、月経異常に用いられる漢方薬です。

滞った血液の流れを良くすることで下半身の冷えにはたらきかけ、血行不良による生理の痛みを和らげます。

 

▼当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

 

血流を良くしてカラダを温めるとともに、女性ホルモンのアンバランスによる不調を整え、生理に伴う症状にはたらきかけます。

 

 

忙しくて調べる時間や相談しに行く時間がないという人には、漢方のプロにオンラインで個別相談ができ、その人に合った漢方を見極めて、自宅まで郵送してくれる『あんしん漢方』というサービスもあります。

自分に合った対策で痛みを和らげよう

監修者プロフィール

監修者プロフィール

婦人科・心療内科・内科

横倉 恒雄(よこくら つねお)医師

 

医学博士/医師。

横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。

 

故・日野原重明先生に師事。

ストレスなどから不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。

新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)はポジティブなメッセージに溢れていると話題に。快食脳ダイエット講座も好評。

あんしん漢方薬剤師

木村 英子(きむら えいこ)

 

北里大学薬学部・東京大学大学院医学系研究科卒。臨床検査技師。

厚生労働省検疫所・病院にて公衆衛生・感染症現場を経て、インドアーユルヴェーダの権威ミーナクシ・アフジャ博士に師事。

 

対症療法ではなく体質を根本改善することの重要さを痛感し、西洋医学をベースに東洋医学からのアプローチを取り入れ、アロマやハーブを活用した情報発信を行う。

 

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方『あんしん漢方』でもサポートを行っている。

掲載日:

CATEGORY