高齢者だけじゃない?!フレイルの原因と対策を知って早期予防するための「3つの柱」をご紹介【薬剤師監修】
フレイルは高齢者の課題だと思っていませんか?
実は近年、40~50歳代の働き世代でフレイル予備軍やフレイル状態の方が増加していることがわかっています。
若い方でも、筋力低下や痩せなどのフレイルの芽を放置したままにしておくと、フレイルのリスクは高くなります。
自分は大丈夫と思っている方でも、実は隠れフレイル予備軍の可能性があるかもしれません。
そこで今回は、フレイル予防のために今日からできる対策について解説していきたいと思います。
フレイルとは
まず、「フレイル」が何なのかについて解説していきます。
フレイルとは、年齢を重ねて体力や気力、認知機能などの心身の機能が低下し、介護が必要になる一歩手前の状態のことを指します。
心やカラダ、認知機能などの変化や社会活動での変化などのさまざまな要素が互いに影響し合ってフレイルに至ります。
フレイルは、以下のような小さな変化から始まります。
「以前と比べて、外出することがおっくうで人との交流が減った…」
「体力や筋力が落ちてきた…」
「食欲が低下し、体重が減った…」
そしてフレイルは、大きく以下の3つの種類に分かれます。
1.身体的フレイル
筋力低下や運動器の障害などで立ったり歩いたりが困難な状態を指します。
2.精神・心理的フレイル
認知機能の低下や軽度のうつ状態、不眠、不安などの症状を指します。
高齢期においては、定年退職やパートナーを失うことで引き起こされることが多いようです。
3.社会的フレイル
家族や友人などと交流する機会が減り、社会とのつながりが希薄になることで、社会的孤立や閉じこもり状態などが生じることを指します。
社会的フレイルは、身体的フレイルよりも自覚しづらいと言われているため注意が必要です。
フレイル早期予防には「3つの柱」が大切
フレイルは早めに気付き、予防することで状態の維持や改善が期待できます。
この章では、フレイル予防の柱とされている3つのポイントについて解説していきたいと思います。
1.栄養
フレイル予防のための食事のポイントは以下の3点です。
1.3食しっかり食べること
2.主食や主菜、副菜をそろえて食べること
3.まんべんなくいろいろな食品を食べること
また、筋肉をつくるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。
たんぱく質の合成を促すビタミンDが豊富に含まれる魚、卵類、きのこなども積極的に摂ると良いでしょう。
2.運動
日常の活動より少しだけ強い負荷の活動を増やすことが、身体的フレイル予防では大切です。
運動時間を確保するのが難しい場合は、通勤時にひと駅手前で降りて歩いたり、駅やオフィスでは階段を使用したりすることで負荷をかけることができます。
歩行時は歩幅を大きくして少し速めのペースで歩くようにすれば、良い運動になるでしょう。
3.社会参加
社会参加をしなくなることがフレイルの入り口になりやすいことがわかっています。
趣味や推し活、SNSなどを活用して人との交流や会話などを楽しむようにしましょう。
趣味やボランティアなどの活動は生きがいになり、健康維持にもつながります。
また、1人よりも他の誰かといっしょに行うことで活動も継続しやすくなり、フレイル予防にも役立つでしょう。
今からできるフレイル予防
フレイル予防のために今すぐ取り入れられる対策について解説していきたいと思います。
1.主食・主菜・副菜を意識
たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素は働きがそれぞれ異なり、連携しあいながらカラダを整えているので、バランス良く摂ることが大切です。
バランスの良い食事の基本は、
・主食(米、パン、麺類などの穀物)
・主菜(魚、肉、豆腐などを使ったおかず)
・副菜(野菜、海藻、きのこなどを使ったおかず)
・プラスもう1品(汁物、果物、乳製品など)
をそろえること。
外食時は、品数が多い定食を選ぶと良いでしょう。
丼や麺類は、具材の種類の多いものを選ぶことでさまざまな栄養素を摂ることができます。
料理が大変なときは、スーパーやコンビニの総菜や缶詰、レトルト食品なども活用してみましょう。
その際も主食・主菜・副菜を意識してみてくださいね。
2.椅子を使って隙間時間にトレーニング
仕事の休憩時間などを活用してリフレッシュのためにも実施してみましょう。
1.椅子に座り、片脚のひざを少し曲げた状態を保つ。
2.ひざの角度を変えずに、脚の付け根から脚全体を上げ下げする。
3.5秒で上げ、5秒で下げるリズムで行う。
4.左右各10セット行う。
1.椅子の前に立つ。
2.お尻を座面に近づけるようにゆっくりひざを曲げ、お尻が座面につかない状態を10秒キープしてからゆっくり立位に戻る。
3.背筋は真っ直ぐ保つ。
フレイル対策には漢方薬もおすすめ
フレイル対策には漢方薬も役立ちます。
漢方薬は心とカラダの機能低下に根本からアプローチし、健康でいつづけることを目的としています。
漢方は「身体的なフレイル」と「精神・心理的なフレイル」に同時にアプローチすることが可能です。
フレイル対策には、
「加齢による足腰の衰えを補う」
「消化・吸収機能を高めて栄養を全身に届け、心とカラダを元気にする」
「血流改善によって脳や神経に栄養を届ける」
「自律神経を整え、ストレスによる疲労を減らしたり、睡眠の質を上げたりする」
といった作用のある漢方薬を選びましょう。
▼人参養栄湯(にんじんようえいとう)
カラダを温めて胃腸の機能を高めることで、食欲不振、疲労倦怠や体力低下などの改善が期待できます。
▼八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢によって衰えた泌尿器系や生殖器系の機能を高めることで、腰痛、腰のしびれ、夜間頻尿、かすみ目などの改善が期待できます。
自分に合った漢方薬を知りたいという方には、漢方のプロにオンラインで個別相談ができ、その人に合った漢方を自宅まで郵送してくれる『あんしん漢方』という便利なサービスもあります。
早めのフレイル予防で心もカラダも元気に
いかがでしたか?
フレイル予防のための対策は、日常生活で習慣化することが大切です。
取り入れやすいものから日常生活に取り入れてみませんか?
フレイル予防のために生活習慣や食生活を見直して、今できることから始めましょう。
監修者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり(やまがたゆかり)
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。
また、牛角や吉野家、薬膳レストランなど15社以上のメニューも開発。
さらに、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方『あんしん漢方』で薬剤師を務める。