【医師監修】日本の避妊は遅れている?外国の避妊事情を徹底解説
【番外編】これは避妊じゃないの?
多くの人が勘違いしていますが、「膣外射精」は適切な避妊ではありません。
そもそも「膣外射精」とは、男性の性器を膣にそのまま挿入して、射精する寸前に性器を抜く方法です。
行っている人は多いものの性器を抜くタイミングが難しいことから4~5人に1人は妊娠するとも言われています。
また、勃起している男性の性器からは、射精の前でも「カウパー液(我慢汁)」と呼ばれる液が出ています。
カウパー液には微量ではありますが精子が含まれているので、「外出ししているから大丈夫」というのは間違った認識になります。
海外でメジャーな避妊

日本で行われているメジャーな避妊方法は、上記でご紹介していきました。
しかし、海外では日本とは異なる考え方をしているよう。
そこでここからは、海外の避妊方法について詳しく学んでいきます。
海外ではピル内服がメジャーだった!
結論から言うと、海外でメジャーな避妊方法は「ピル(低用量経口薬)」です。
実際に欧米諸国(フランス・ドイツ・イギリス・スウェーデン)では、半数近くの女性がピルを服用しています。
特にフランスではピルを飲んでいるのが常識という考えです。
フランスでは14歳ごろから、ディスコやパーティーで夜に外出する機会が増えていきます。
そのため、誕生日プレゼントや両親からの贈り物でピルをもらうこともあります。
また、フランスではピルにも保険が適用され、自己負担は35%ほど。
約600円でピルが手に入るので、若い世代はほとんどの人がピルを服用しています。
一方、日本で主流のコンドームは使用率は高くありません。
コンドームが自己負担での処方になるので、フランス女子のほとんどはピルを内服しています。
ドイツは日本よりも積極的に性教育が行われています。
そのため、しっかりとした性の知識がついており、コンドームよりも避妊率の高いピルを選択する女性がメジャーとなっています。
若い世代と高齢女性の避妊法の違い
世界で避妊方法を比べてみると、日本人女性が一貫してどの世代もコンドームを使用しているのに対して、海外で30代あたりから主流になってくるのが「避妊手術」です。
避妊手術とは卵子や精子の通り道をふさいで、受精できないようにする手術のこと。
女性の場合は、卵管(卵子の通り道となる管)を糸で縛ることで受精できないようにします。
しかし、避妊手術は一度手術すると元に戻すことが困難という難点もあります。
出産を経験し、これ以上の出産を望まない女性などが多く手術を受けることから、年齢が上がるにつれて同避妊法を選ぶ女性が増加していきます。
男性が避妊手術を受ける場合、精管(精子の通り道となる管)を糸で結びます。
女性の避妊手術が入院必須なのに対して、男性は日帰りで受けられるので欧米をはじめとした海外ではメジャーな避妊法として親しまれているのです。
【番外編】日本のアフターピルが変わる!

現在、アフターピルは婦人科の受診が必要なお薬として提供されています。
しかし、性交後72時間以内に病院へ受診してピルを処方してもらうのは、連休中だと難しいかもしれません。
そこで、厚生労働省で協議されたのが「アフターピルの市販化」について。
議題としては「婦人科に受診しなくてもアフターピルが手に入る」という案が出されましたが、
「安易に販売がされてしまうと悪用や濫用が懸念される」
「失敗・成功の判断がしにくい」
「仮に効かなかった時の責任の所在が分からなくなる」
といった理由で、市販化は一旦見送られました。
責任の所在や悪用・濫用を防ぐ手段が発案されれば、市販化も目前となるアフターピル。
「婦人科を受診するのに抵抗がある」
「72時間以内にアフターピルを飲まなかったから妊娠してしまった」
という女性を減らすためにも、アフターピルの市販化は必要不可欠なものかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、避妊をテーマに方法や種類などを詳しく紹介してまいりました。
日本だけでなく世界へ目を向けてみると、私たちが知っているよりもっと多くの避妊方法が存在しています。
また、海外では日本人よりも避妊に対する意識や知識があります。
「女性自ら避妊を選択する権利」を存分に活用しているので、日本よりも避妊率や妊娠に対する意識が高いということが分かりました。
「避妊を選択する権利」は当然、日本の女性にもある権利です。
今一度、望まない妊娠や新しい命の誕生の意味を考えて、避妊方法を選択してみてくださいね。
監修医師プロフィール

医療法人社団都筑
つづきレディスクリニック 院長 吉岡 範人
[経歴]
1978年生まれ。千葉県出身。
2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。
16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。
2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。
その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。
[保有資格]
日本産科婦人科学会専門医
日本産科婦人科学会指導医
日本体育協会認定スポーツドクター
母体保護法指定医
婦人科腫瘍専門医
[クリニック]