暖かくなってきたけど、まだまだ油断は禁物?!「ヒートショック」を未然に防ぐ対策方法3選【薬剤師監修】
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外が徐々に暖かくなってような気もする今日この頃ですが、この時期に注意したいのが「ヒートショック」。
ヒートショックという言葉を耳にしたことはあるけど、詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか?
実はこの現象が原因で、毎年多くの人が健康障害に見舞われています。
そこで今回は、ヒートショックの基礎知識から日常生活でできる対策方法まで徹底解説していきます。
ヒートショックとは
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ヒートショックとは、急激な寒暖差によって血圧が上下に大きく変動することにより、失神したり心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気などを引き起こしたりする健康被害のことです。
たとえば、暖かいリビングから移動し寒い脱衣所で裸になると、血圧が上がります。
その後、温かい湯船に浸かっていると次第に血圧が下がりますが、湯舟から出て寒い脱衣所へ移動すると再び血圧が上がります。
このように急激な寒さと暖かさが繰り返されることで血圧が乱高下するとカラダに大きな負担がかかり、ヒートショックにつながります。
血圧が急激に上がったときは、脳出血や心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすくなり、血圧が急激に下がったときは、脳貧血を起こしやすくなるとされています。
脳貧血が起こった場合、浴室での転倒や意識を失うことによる溺水にもつながりかねません。
このようなヒートショックによる健康障害は、浴室と脱衣所以外でも、トイレや洗面所などの寒暖差が激しい空間で起こる可能性があります。
ヒートショックを起こしやすい人の特徴
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ヒートショックを起こしやすい人にはいくつかの共通点があります。
まず、心臓や脳に持病がある人や肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、不整脈などの疾患を抱えている人は特に注意が必要です。
また、浴室が暖まっていない状態で湯船に浸かることが多い人、飲食後に入浴する人、熱いお湯で長風呂をする人もヒートショックのリスクが高まります。
さらに、浴室や脱衣所に暖房設備がなく、暖かいリビングとの寒暖差が激しい住居に住んでいる人も注意が必要です。
ヒートショックを未然に防ぐ方法3選
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寒暖差が原因となるヒートショックは、少しの工夫で予防が可能です。
安心して過ごすために、簡単にできる3つの対策をとり入れましょう。
1.浴室と室内の寒暖差を最小限に
浴室と室内の寒暖差を小さくするため、脱衣所や浴室は事前に暖めておきましょう。
たとえば、脱衣所に小型の暖房器具を設置すれば寒さを和らげることができるので、おすすめです。
また、シャワーでお湯はりをすれば蒸気で浴室を暖めることができます。
2.湯船の温度は38℃~40℃程度
寒い時期は熱いお風呂に入りたくなる人もいるでしょう。
しかし、熱すぎるお湯は血圧の変動を招いてしまうので要注意です。
湯船の温度は38℃~40℃程度にするようにしましょう(※1)。
また、長風呂は避け、ほんのり汗ばんできたらお風呂からあがるのがポイントです。
3.湯船に入る前にはかけ湯
温泉や公共の入浴施設で推奨されているかけ湯ですが、自宅でもしているという人は少ないかもしれません。
かけ湯はお湯の温度にゆっくりカラダを慣らし、急激な血圧変化を防ぐのに効果的です。
湯船に入る前には、手足などカラダの末端にかけ湯をして、少しずつカラダを温めましょう。
漢方薬での体質改善もおすすめ
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ヒートショック対策として、もうひとつおすすめなのが、漢方薬による体質改善です。
ヒートショックの原因は、寒暖差による血圧の急激な変化。
漢方薬を服用することで、血圧の変動を起こしにくい体質を目指すことができます。
ヒートショック対策には
「冷えを改善する」
「血流を良くして全身に酸素や栄養を行き渡らせる」
「自律神経の興奮を抑えて血圧を安定させる」
などの作用をもつ漢方薬を選ぶといいでしょう。
ヒートショック対策におすすめの漢方薬(一例)
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
栄養を補いながら血流を良くして、さらに水分代謝を整えることで、冷えやむくみ、立ち眩みを改善します。
生理痛や更年期症状にも用いられます。
●釣藤散(ちょうとうさん)
自律神経の興奮を抑えることで、のぼせや頭痛、めまいを改善します。
神経症や高血圧にも用いられます。
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漢方薬は、一般的に西洋薬と比べて副作用が少ないと言われていますが、症状や体質に合っていないものを服用すると、思わぬ副作用がでてしまうことも。
自分に合う漢方薬を知りたいという人は、漢方のプロにオンラインで個別相談できる『あんしん漢方』のようなサービスもおすすめ。
AI(人工知能)が個々人に効く漢方を見極めて、自宅まで郵送してくれるという今ちょっとした話題にもなっている便利なサービスです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ヒートショックは命に関わる危険を伴う現象ですが、事前の対策でリスクを減らすことができます。
寒暖差をなくす工夫や、適切な入浴法をとり入れて、安全で快適な生活を心がけましょう。
<参考文献>
監修者プロフィール
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あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。