そもそも「酵素」って何? ダイエットにいいの?

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そもそも「酵素」って何? ダイエットにいいの?

酵素ドリンク、酵素シロップ、酵素エキス、酵素サプリ…。ダイエットを意識していると「酵素」にまつわるワードがたくさん目に入りますよね。酵素を摂ればラクに痩せられる、エイジングケアにいいなどとブームになっていますが、最近ではその科学的根拠を疑問視する声も多く見られます。

 

そもそも酵素とはどんなもので、ダイエットに生かせるものなのか、アラフォーが注意すべきポイントは? など、様々な角度から話題の「酵素ダイエット」に迫ってみました。

酵素って?発酵とは違うの?

酵素と発酵。名前が似ているので同じようなものだと思っていらっしゃいませんか?よく耳にするこれらは、どう違うのでしょう。

食品が微生物の働きで変化することが「発酵」

発酵(はっこう)とは、「ある原料から微生物の働きで新たな風味の食品を作り出す」こと。ブドウからワインができる、大豆が納豆になる、牛乳からチーズができるといった、いわゆる発酵食品ですね。日本の代表的な発酵食品といえば、味噌や醤油、酒などですが、これは主に微生物である麹菌の働きでできています。これと同じく食品を変化させる微生物の中でも大腸菌やサルモネラ菌などが働いてしまうと、発酵ではなく「腐敗」が起きてしまい食べられなくなります。

微生物が持っているタンパク質が「酵素」

酵素(こうそ)は発酵とは別物ですが、発酵時に無くてはならないもの。酵素とは、微生物が原料を発酵させる時に使うタンパク質のことです。酵素自身は変化せずに、食品素材そのものには無い風味や旨味を作り出すための仲だちをしてくれています。

 

酵素は食品以外にも「酵素のチカラでタンパク汚れを分解!」と洗剤のキャッチコピーで目にしたりするなど、私たちの暮らしに欠かせない存在です。

 

酵素ってカラダの中でどう働くの?

食べ物を美味しく発酵させたり汚れを分解したりしてくれる酵素。では、私たちの身体の中で酵素はどんな働きをしてくれているのでしょうか。人間の体の中でつくられる酵素には大きく分けて「消化酵素」「代謝酵素」があります。

消化酵素

ご飯を噛んでいると、だんだん甘さを感じますよね。これは、唾液に含まれるアミラーゼがご飯のでんぷんを分解して糖分に変えているから。このアミラーゼが「消化酵素」のひとつです。

 

体内で分泌される消化酵素は、飲食物に含まれる三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)を分解します。消化酵素によって分解された栄養素は小さな分子となり、腸壁に吸収されます。炭水化物(でんぷん)を分解するのは「アミラーゼ」、たんぱく質は「プロテアーゼ」、脂肪は「リパーゼ」というように、体内での役割は決まっています。暴飲暴食をしたり、添加物たっぷりのジャンクフードを食べてしまうと、消化酵素をたくさん使うことになります。

代謝酵素

ダイエット時や美容・健康にきになるワード「代謝」に関わる酵素です。消化酵素が小さく分解して腸壁に吸収させた栄養を、エネルギーに変えてくれるのがこの代謝酵素。細胞を作ったり、呼吸や運動、脳での思考、老廃物の排出、肌の新陳代謝など、生きていくうえでのあらゆる作業に必要なものなのです。若々しい身体を維持するためには、代謝酵素にたくさん働いてもらう必要があります。

消化酵素と代謝酵素は、お互いに助け合う関係

体内で作られるこの2つの酵素は密接に関係していて、例えば、たくさん食べて消化酵素を大量に使うと、代謝酵素が足りなくなってしまいます。また、病気をして代謝酵素を多く消費すると消化酵素は減少します。

 

つまり、バランスの良い食事をしていると消化酵素を浪費することがなく、体内の代謝作業がスムーズに行われるということ。代謝がいいと脂肪が燃えやすく免疫力も上がるので、この相関関係は単純ですがとっても大切ことなのです。

 

私たちの細胞の中で食べ物を消化したりエネルギーに変えたりと休む間もなく働いてくれている無数の酵素。なるべく無駄遣いはしない方がいいということですね。

「酵素」でダイエットにチャレンジする時の注意点

「酵素」でダイエットにチャレンジする時の注意点

さて、そんな酵素をたくさん摂ってダイエットに活かそうというのがここ数年話題になっていますが、そのブームの影では「食品由来の酵素を摂取して消化を助けてもらう酵素ダイエットには、効果の根拠がない」との指摘があるなど、まだまだ議論の余地が残っているようです。賛否それぞれのポイントをご紹介します。

「酵素ダイエット」がいいといわれている点

どんな理由が「酵素ダイエット」のメリットなのでしょうか。

体内酵素は歳とともに減っていく

かつては「酵素はタンパク質だから、タンパク質を摂っていれば酵素はいつでも好きなだけ体内で作られるだろう」と考えられていたことが、「体内で一生のうちに作られる酵素の量は限られている」「人それぞれ酵素を作ることができる量も違う」とわかってきたという説があるそうです。その説にもとづき、体内で作られないのなら体外から酵素を取り入れようというのが「酵素ダイエット」の基本的な考え方です。

「代謝酵素」を補うことで代謝を上げて痩せやすくする

酵素ダイエットは、果物や野菜が持つ酵素をたくさん摂取しようというメソッドです。食物酵素を効率よく摂取するために、多種類の原材料を組み合わせたり発酵して作られたいわゆる「酵素ドリンク」や「酵素サプリメント」などが売られていたり、自分で手作りする「酵素シロップ」も話題になりました。これらの食物酵素は直接代謝酵素に置き換えて使うことはできませんが、食べ物そのものの消化吸収を助けるので、限りがある体内の消化酵素の節約ができて、結果的に代謝に使える酵素が増えるとされています。

「生」の酵素をたっぷり摂る

酵素を使用したダイエット食品の売り文句に、「生酵素」「生きた酵素」といった表現を見かけることがあります。酵素は熱に弱く、加熱をしすぎると失活してその機能が失われることから、酵素ダイエットで補う酵素は生であることを強くアピールしているためです。

「酵素ダイエット」は意味がないといわれている点

それでは逆に否定的な意見はどのようなものがあるでしょうか。

食物酵素は、口から摂っても分解されてしまう

酵素はタンパク質でしたよね。ということは、口から食物酵素を摂取しても胃や小腸にある消化酵素で分解されてしまいます。酵素が生きたまま体の中で作用する可能性は難しいといわれています。

酵素は特定の環境でしか活性しない

タンパク質の消化酵素ペプシンは胃酸の中ではじめて活性するといったように、酵素が活発に働くには最適な温度やpHといった限定的な条件があります。仮に口から取り入れた食物酵素が生きたまま体内に届いたとしても、胃液の代わりに働いてくれるわけではないといわれています。

非加熱の「生」食ばかりだと体を冷やしてしまう

食物には体を冷やす性質のものがたくさんあります。生野菜や加熱していない果物などには生きた酵素が豊富に含まれていますが、酵素の存在に気を取られて生のまま食べすぎると、かえって体を中から冷やしてしまうことに。

生酵素食品の原材料に要注意

サプリメントやスムージーなど、数百種類もの酵素を配合していると謳う商品も多いですよね。普段摂れない栄養素を手軽に補える便利さはありますが、体質に合わないものや材料の原産地が不透明なものもあるかもしれません。また、手作りの酵素シロップは材料に多くの砂糖を使うレシピが一般的です。さらに果物の果糖も含まれているので、ヘルシーなようで糖分がたっぷりという点にも注意が必要です。

「酵素ドリンク×断食ダイエット」はアラフォー女性にはNG

食事の回数を減らして断食している間は酵素ドリンクしか口にしないという断食ダイエット。ファステイングダイエットともいいますよね。更年期を迎える前のアラフォー女性には、このダイエット方法はとっても危険。ただでさえ心身ともに揺らぐこの時期に、偏った栄養摂取を続けると筋肉量は減ってしまい、代謝も悪くなってしまいます。仮に断食の末ダイエットに成功したとしても、普通の食事に戻した途端、急激な血糖値の上昇やストレスからドカ食いをしてしまい、あっという間にリバウンド。基礎代謝も下がってしまい、太りやすい体質になりかねません。

アラフォーのダイエットには、酵素の力を生かした「発酵食品」がオススメ

アラフォーのダイエットには、酵素の力を生かした「発酵食品」がオススメ

このように、酵素を活用したダイエットへの賛否は様々ですが、いずれにせよ偏った栄養素を摂るダイエットは、特にアラフォー女性の方にはオススメしたくありません。

だんだん痩せにくくなり、メンタルの不調も出やすくなる更年期はもうすぐそこ。ストレスのないダイエットが重要なアラフォー女性の方には、酵素を直接的にダイエットに生かそうと頑張るよりも、酵素の働きを生かした発酵食品を積極的に摂る方法をオススメします。様々な種類の発酵食品を取り入れて腸内環境を良くすることで、デトックスにもつながりますし、結果的に消化吸収を促して代謝が上がり、免疫力の向上も期待できるかもしれません。

 

いつまでも美しく健康でいるために。今のうちに一過性のダイエット方針を切り替えて、発酵食品を加えたバランスの良い献立を続ける「ゆるやかなスッキリ・スリム化」初めてみませんか。

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