「レディースクリニック(婦人科)は女医がいい」はホントに正しい?医師選びのポイントやメリット・デメリットを解説
男性医師は、客観的で冷静?
男性医師のデメリットとして、内診や触診への抵抗感を感じるケースが挙げられます。生理やつわり、更年期などを経験していないのに症状の辛さがわかるわけがないと不信に思ってしまうこともあるでしょう。
こうしたデメリットにばかり目が向きがちですが、男性医師は同性の立場ではないからこそ親身になってくれる場合もあります。彼氏や夫などパートナーの視点で話してくれるのも、メンタル面の負担を軽くするヒントになるでしょう。気持ちが不安定な時には男性医師の冷静な対応が頼もしく感じることもあります。
男性医師に期待できるメリット
・夫、パートナーなど、男性目線でのアドバイスが聞けそう
・女性よりも冷静・客観的・理論的な対応をしてくれそう
・異性だからこそ気持ちに寄り添えるよう気遣ってくれそう
男性医師に感じてしまいそうなデメリット
・内診や触診時に見られたくない、触られたくない
・若い男性医師には特に恥ずかしさを感じそう
・体験していないので、女性の気持ちをわかってもらえないかもしれない
・悪気がなくてもデリカシーに欠けそう
・セクハラをされそう
・偉そうで横柄な態度が気になりそう
医師の性別だけにこだわりすぎるのは要注意
これまでご紹介してきたように、医師の性別から想定できるメリット・デメリットは、どちらかというとメンタル面での対応や女性の生活背景への共感によるところとなっています。
レディースクリニックに限らず、病院や医師に対して「女医だから安心」などという偏見につながるような考えを持つのは要注意です。医師の優秀な点は性別によるものとは限りません。医師の性別にこだわるあまり、専門医としてのキャリアや能力を後回しにしてしまっては元も子もありません。
また、病院や医師との付き合い方は偏った見方では判断しにくいものです。
例えば、「いい先生」ってどんな医師だと思いますか?
A「ズケズケと言わずに遠回しに言葉を選んでくれる、いい先生」
B「ストレートな物言いで症状を明確に伝えてくれる、いい先生」
AまたはBのどちらの価値観を「いい先生」と表現するかは、個人の感じ方によって変わりますよね。
レディースクリニックの評判を口コミサイトなどで調べたり友人などに紹介してもらう時は、情報を鵜呑みにせず、なるべく具体的に「どういいのか」を見極めておく必要があります。
「性別を問わずこんな医師を選びたくなる」そのポイントは?
・専門的知識やキャリアがあり、治療環境が整っている
女性の生活背景まで心を配るメンタルケアは非常に大切ですが、婦人科系の専門知識や技術、キャリアといった医師としての基盤の部分は欠かせません。症例数や手術件数、資格の有無、先進医療の設備があるといった客観的データも知ることができれば、なお安心できるでしょう。
・内診が痛くない
内診の痛みが怖くて検診や通院を避けてしまうのは本末転倒です。痛みを感じることなくスムーズに内診してくれる医師ならあっという間に終わるので、身体も心も緊張しませんよね。
・患者の気持ちに寄り添ってくれる
たとえ女医でも「女だからこれくらい分かっているだろう」と冷たい扱いをされると患者として信頼することはできないでしょう。男性医師だとしても、同じ経験ができないからこそ親身になって寄り添うことを心がけている方なら安心できそうですよね。
・メンタルケアを担う看護師がサポートに入っているか
レディースクリニックによってはメンタルケアの役割を担う看護師が、医師と患者の間に立ってくれる場合もあります。担当医師に話しにくいことも看護師になら伝えやすいということもありえるので、問い合わせをしてみるといいでしょう。
・通院へのストレスが少ない
アクセスのいい場所や予約の取りやすさなどもポイントです。婦人科系の悩みは、ちょっとした体調の変化に気づいて受診をすることで不安が取り除かれることも多々あります。移動時間や交通費がかかりすぎたり、なかなか予約が取れないなど、レディースクリニックに行くことをためらってしまうような条件では問題があります。
婦人科医の男女比、リアルな現状は?
厚生労働省が2016年に調査した婦人科医の男女比は、おおよそ男性65%、女性35%という結果でした。
(病院の場合)男性医師66.0% 女医34.0%
(診療所の場合)男性医師65.1% 女医34.9%
他の診療科に比べて婦人科の女医の割合は多いそうですが、婦人科医の男女比ではまだまだ少ないのが現状です。
インターネットなどでは、レディースクリニックの特徴に「女医がいるから安心」と謳うところがたくさん見つかります。複数の医師の中から女性を指名できるところもあります。
このことから、実際に、婦人科を受診する時に女医を求める声が一定数あることが推測できますが、女医は比較的少ないので予約を取るのが難しいという現実もあります。
まとめ
デリケートな部位に関わりメンタル面での影響を受けやすい婦人科系の悩みを持っている時は、医師のささいな対応でも深く傷ついてしまうこともありえます。ひとたび嫌な思いをすると、トラウマでレディースクリニックから足が遠のいてしまうかもしれません。医師との相性に悩みを持ってしまうという事態になると、身体や心の悩みに向き合うという目的から外れてしまいます。
大切なのは医師と患者の相性です。どうしても相性が合わないという場合は医師を指名・除名できるところもあります。
女性にとって相性のいい婦人科医との出会いは、長い人生でプラスになります。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
参考サイト
「厚生労働省」平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
表5 主たる診療科、施設の種別にみた医療施設に従事する医師数及び平均年齢
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/16/dl/kekka_1.pdf