【医師監修】疲れやすくなったのはミトコンドリアの老化が原因かも?効果的な増やし方を紹介
中学校の生物で習う「ミトコンドリア」。名前は知っているものの、その働きについてはよくわからない、という人もいるのではないでしょうか。
ミトコンドリアは人間の体をつくる細胞の中に存在し、代謝を司っています。ミトコンドリアは加齢とともに老化していきますが、年齢に関係なく増やすことも可能です。
この記事では、ミトコンドリアの概要とミトコンドリアが多い人の特徴、ミトコンドリアを増やす方法について解説します。
ミトコンドリアとは
ミトコンドリアと聞くと、生物の教科書にあったようなミドリムシのようなものを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。このミトコンドリアは、私たち人間が生きるために非常に重要な役割を担っています。
ミトコンドリアは、人間の体をつくるすべての細胞内にある小器官のうちのひとつです。ひとつの細胞の中には、数個から数千個のミトコンドリアが存在するといわれています。具体的には、酸素を利用して糖や脂肪酸からATPと呼ばれるエネルギー物質をつくり出す働きをします。
ミトコンドリアが存在するのは代謝が活発な細胞だとされており、例えば脳や筋肉、肝臓がそれにあたります。私たちが元気に生きていられるのはミトコンドリアのおかげであるといっても過言ではありません。
ミトコンドリアは老化する?
ミトコンドリアの機能が衰えるとATPが十分につくり出されなくなってしまい、エネルギーが不足してしまいます。エネルギーが不足すると、新しい細胞の生成や傷ついた細胞の修復ができず、皮膚の老化や体の衰えにもつながると考えられます。
さらに、ミトコンドリアは加齢とともに数が減少していき、老化していくとされています。「昔と比べて疲れやすくなった」「気力がなくなった」などと感じる場合は代謝が低下していることが考えられますが、代謝の低下はミトコンドリアの老化や減少とも関係しています。
ミトコンドリアが少なくなるとエネルギーに変換される酸素が減り、活性酸素がつくられます。その結果、代謝が悪くなったり、太りやすくなったり、疲れやすくなったりといったさまざまな体の不調が現れるのです。
ミトコンドリアが多い人ってどんな人?
では、ミトコンドリアが多い人とはどんな人でしょうか。ここではミトコンドリアが多い人の特徴を4つ紹介します。
常に背筋が伸びている人
ミトコンドリアは背筋や太ももなど、姿勢を保つのに使う筋肉群に多く存在しています。普段から常に背筋が伸びている人は、その分細胞内のミトコンドリアが活性化されているといえるでしょう。
食べ過ぎない人
私たちの体は、摂取カロリーよりも少ないと感じるくらいで長寿遺伝子が働き始めるといわれています。そのため、食べ過ぎず腹八分目に抑えることは、ミトコンドリアが増えることにもつながると考えられます。
免疫力が高い人
免疫細胞は、ミトコンドリアからつくられるエネルギーで働いています。そのため、普段から風邪などをあまりひかない、もしくはひいてもすぐに回復するような免疫力が高い人は、ミトコンドリアが多いといわれています。
ミトコンドリアを増やす方法とは?
体の不調に関わっているミトコンドリア。そんなミトコンドリアを増やすには、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
ミトコンドリアは年齢関係なく増やすことができるといわれています。ミトコンドリアを積極的に増やし、細胞を活性化させましょう。
ミトコンドリアを「運動」で増やす
ミトコンドリアを運動で増やすには、ややきついと感じるくらいの運動をするのがおすすめです。推奨されている運動に「インターバル速歩」というものがあり、これは3分の早歩きと3分のゆっくり歩きを交互に繰り返すものです。
持久的な運動を継続することでミトコンドリアの量を増やせ、疲れにくい体をつくることができます。筋トレなどといった無酸素運動よりも有酸素運動の方がおすすめです。
ミトコンドリアを「睡眠」で増やす
皆さんが寝ている間にも、ミトコンドリアはエネルギーをつくっています。睡眠中は元気なミトコンドリアが増えやすい時間帯でもあり、質の良い睡眠をとることは、ミトコンドリアを増やすのに重要とされています。
また、ミトコンドリアが活発になることで睡眠の質が上がるといった相乗効果も期待できます。
ミトコンドリアを「食事」で増やす
ミトコンドリアを増やすのに欠かせないのが食事です。特にミトコンドリアが活性化する栄養素としては「還元型コエンザイムQ10」「ビタミンB1,B2」「αリポ酸」「L-カルニチン」などが挙げられます。
特に還元型コエンザイムQ10は、非常に重要な栄養素であるといわれています。これらの栄養素を意識した食事を心がけることで、ミトコンドリアを増やすことができます。
まとめ
加齢とともに訪れる体の不調。もしかしたらそれは、加齢だけではなくミトコンドリアの老化が原因かもしれません。
人間の細胞にあるミトコンドリアの数を増やし活性化させることで、いつまでも若々しく健康的に過ごせることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
運動や睡眠、食事に気を配ることで、ミトコンドリアは増やせます。可能な限りミトコンドリアの老化を遅らせて、いつまでも元気で美しい体を保っていきましょう。
監修医師プロフィール
Gran Clinic
院長 小倉 慶雄(おぐら よしお)
大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験を積み「リサーチマインドを持った診療」をモットーに日々研鑽を積んでまいりました。酸化ストレス・サーチュイン遺伝子を中心とするアンチエイジングに関与する研究を行っていました。“すべての男性たちに、人生後半戦の演出家を。をコンセプトに” 2023年6月、JR金沢駅前にメンズヘルスクリニック(Gran Clinic)を開院。(https://www.gran-clinic.jp/)
所属学会
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会
経歴
平成21年3月
金沢医科大学医学部医学科卒業
平成21年4月
杏林大学病院 初期臨床研修医
平成26年1月
金沢医科大学病院 糖尿病・内分泌内科学教室
平成30年4月
金沢医科大学病院 助教
平成30年9月
金沢医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
令和3年1月
金沢医科大学病院学内講師
令和5年6月
Gran Clinic(石川県金沢市)院長