【医師監修】乳がんを知ろう!~乳がんから自分を守るためにしっておくべきこと~
乳がんになるリスクが高い人の特徴と年齢
乳がんは年齢や出産経験の有無などによって、発症のリスクが高くなることがあります。
40歳以上の人
「がん登録・統計」のグラフデータベースを調べると、乳がんのリスクが高くなる年齢が見えてきます。
乳がんを発症した人を年齢別に見ていくと、2014年のデータでは30~34歳で増え始め、40代になると急激に増えていることが分かります。
そして、40代後半から50代前半でピークに達しています。
40歳を超えたら、乳がんになる確率がぐっと高くなるのです。
そのため、ほとんどの自治体で40歳以上を対象に、乳がん検診の助成制度が設けられています。
初潮が早かった人・閉経が遅い人
乳がんの発症や増殖には、女性ホルモンの「エストロゲン」の影響があると言われています。
ですから、エストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんになるリスクが高くなるようです。
エストロゲンの分泌量は思春期に増え始めますが、閉経を迎える頃にはほとんど分泌されなくなります。
つまり、毎月生理が来ているうちは、乳がんのリスクがあるということです。
初潮が比較的早く始まった人や閉経が遅い人は、そうでない人に比べて乳がんになるリスクが高い傾向にあります。
出産経験がない人・初産が30歳以上の人
女性ホルモンの働きに大きな影響を与える出産も、乳がんの罹患率と深い関係があります。
乳がんは出産経験がない人の方が、出産経験がある人に比べて発症する確率が高い病気です。
さらに、出産の経験がある人の中では、初めて出産した年齢が30歳以上だと、乳がんになるリスクが高くなります。
出産後はエストロゲンの分泌量が急激に下がるため、出産回数が多いほど乳がんになるリスクは低くなると言われています。
乳がん検診の種類と費用
乳がんは早期発見で死亡率を大幅に下げることができる病気です。
自分を守るためにも、定期的に乳がん検診を受けましょう。
ほとんどの自治体は2年に1回、40歳以上の女性を対象に乳がん検診の費用助成を行っています。
さらに、40・45・50・55・60歳の女性には、乳がん検診の無料クーポンが配布されますので、積極的に利用してください。
医療機関で受けられる乳がん検診には、大きく分けて2種類あります。
それぞれの特徴と費用の相場をご紹介します。
マンモグラフィー検診
マンモグラフィー検診は、乳房をX線で撮影してがんの有無を調べる方法です。
乳房を片方ずつ板に挟み、両側からぎゅっと圧迫して撮影します。
乳房を薄く押しつぶすようにして撮影するため、検査の時は痛い思いする人が多いようです。
また、40歳より若い人は乳腺の密度が高いため、しこりを発見しづらい傾向にあります。
しかし、手で触っても分からないような初期の乳がんも発見できるほか、しこりになる前段階の「石灰化」でもがんを見つけられるため、早期発見に役立つ検査です。
自治体の助成制度を利用した場合、ほとんどの自治体で3000円以下の自己負担で検査を受けることができます。
病院で自主的に検査を受ける場合、全額自己負担なら初診料も含めて7000円程度です。
乳がんの疑いがある自覚症状があれば、保険診療になり、3割負担で検査を受けられます。
超音波検診(エコー)
超音波検診は乳房に超音波を当て、返ってくる音の動きを画像にすることで乳房の状態を調べる検査です。
マンモグラフィーでは乳腺は白く写りますが、乳がんも白く写ります。
ですので、乳腺が発達している方の場合、マンモグラフィーでは病変が乳腺に隠れてしまって見つけられないことがあります。
そのような場合は、超音波検査をされることをおすすめします。
最近では、マンモグラフィーに超音波を併用した方が乳がんの発見率が高くなるという報告もされています。
マンモグラフィーは乳房全体を1枚のレントゲン写真として画像化しますが、超音波は施術者がモニターを見ながらプローベを動かして検査するため、検査の精度は施術者の技量に左右されることもあります。
また、超音波検査は痛みを感じる心配がなく、放射線による被曝がないというメリットもあります。
費用はマンモグラフィーと同じか、やや安く設定されていることが多いようです。
医療機関やお住いの自治体によって差があると思いますが、命を守るための検査ですから高すぎるということはありません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、産婦人科専門医でマンモグラフィー読影認定医でもある医師監修のもと、乳がんの症状やリスク、検査方法などについて解説してまいりました。
乳がんはできるだけ初期の段階で発見すれば、ほとんど命を落とす心配がない病気です。
40歳以上の人は、最低でも2年に1回は定期検診を受けてください。
普段から乳房の健康状態を把握しておくことも大切です。
今日お風呂に入るとき、さっそく乳房のセルフチェックをしてみましょう。
スポンジやタオルを使わず、手のひらで体を洗うようにすると、体をキレイにするついでに乳房の健康状態もチェックできるのでおすすめです。
乳がんは女性なら誰もが発症する可能性がある病気です。
あなたが乳がんについて学んだことは、ぜひご家族やご友人など大切な人にも広めてあげてください。
【出典】
・国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス「がん登録・統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html
・同「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
監修医師プロフィール
医療法人 大美会 理事長
大阪美容クリニック 院長 南 真実子
[経歴]
大阪医科大学医学部卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。
主に、腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。
検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。
女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、更なる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。
大手美容クリニックで活躍後、2017年に大阪美容クリニックを開院。
婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。
[保有資格・所属学会]
産婦人科専門医
マンモグラフィー読影認定医
[クリニック]
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