温活で不調改善!「五行」タイプでわかる体質に合った温活法とは?
「冷えは万病のもと」という言葉をみなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
カラダの冷えを放っておくと血液の循環が悪い状態が続くため、さまざまな体調不良を引き起こす原因となります。
たとえば、肥満や下痢、生理痛や生理不順、腰痛や肩こり、頻尿、肌荒れなどです。
今回は、この冷えを改善するための「温活」について解説していきます。
温活とは?
「温活」とは、基礎体温を上げることで本来持っている免疫力を上げ、カラダの不調を改善することをいいます。
体温が上昇するとカラダの機能が高まり、冷えからくる体調不良を防ぐだけでなく、血流を促進することで代謝が上がります。
また、肥満やむくみの改善など、健康や美容にうれしいメリットにもつながるのです。
効果的に温活!まずは五行タイプで自分の体質を知ろう
温活にはいろいろな方法がありますが、より効果を感じるためには体質に合ったやり方がおすすめです。
体質は人によってそれぞれです。
漢方医学では「五行」という考え方で体質を分類しています。
五行とは、中国医学の理論から登場した自然観のひとつで、万物は「木(もく)」「火(か)」「土(ど)」「金(こん)」「水(すい)」の5つの基本要素から成り立っていると考えられています。
自然界の一部である人間も、同じようにこの5つのタイプに分けられ、その人の体質や性質を知ることができます。
自分に当てはまるのはどのタイプか、ぜひ考えながら読み進めてみてください。
木タイプ
木の特性である「生長発展」「のびやか」「円滑」「曲げ伸ばし」などと関連づけて考えます。
木タイプの人は、のびのびと素直で、明るくさっぱりとした性格。普段は行動的ですが、人前では緊張しがちです。
また、気疲れやイライラからストレスを感じやすい体質でもあります。目が疲れやすく、かすみ目、視力の低下にも注意です。
ストレスを受け続けると、ホルモンバランスと自律神経が乱れることで、冷えを招きます。なぜなら、自律神経が乱れると血流が悪くなり、体内でつくられた熱が全身に行き渡りにくくなるからです。
火タイプ
火の特性である「炎上」「発熱」「たちのぼる」などと関連づけて考えます。
火タイプの人は好奇心旺盛で情熱的です。また、カラダに余分な熱がこもりやすく、精神的に不安定になりやすいことも特徴です。突然不安に襲われたり、不眠に悩まされたりする傾向もあります。
体質では、のぼせやすく汗をかきやすい人が多くみられます。冷えとは無縁な印象を受けますが、冬場でも暖かい部屋から外気の冷える場所に移ると大量にかいた汗が一気にひき、冷えの原因となります。
また、火タイプに多い睡眠不足も自律神経を乱します。血流が滞り、カラダを十分に温めることができなくなります。
土タイプ
土の特性である「養育」「受納(じゅのう)」「変化」などと関連づけて考えます。
土タイプの人は、ほっこり癒し系。相手に安らぎを与えます。信念を貫く性格で、安定を好みます。
一方で、相手への思いやりが反転して、思い込みやすい傾向にあります。胃腸の弱い体質なので、悩みを抱えると心身ともにダメージを受けやすいので注意が必要です。
胃腸が弱いのと、冷えの原因に暴飲暴食が関係することが多くあります。
暴飲暴食が冷えにつながるのは、体内に過剰に入ってきた食物を消化しようと胃腸に血液が集中するからです。筋肉やほかの器官への血液供給が減ってしまい、体内で熱がつくられにくくなるのです。
さらに、土タイプはむくみやすい体質でもあります。土には水分を蓄える特性があることを考えるとイメージしやすいかもしれません。
水分が体内にたまると、熱が逃げやすくなってしまいます。むくみも代表的な冷えの原因のひとつです。
金タイプ
金の特性である「清涼」「清潔」「粛清(しゅくせい)」などと関連づけて考えます。
金タイプの人は、真面目で理性的。一方で、マイナス思考に陥りやすい傾向があります。潔癖な一面もあるため、自分や他人を厳しく追い詰めてしまうこともあります。
また、喉や鼻の乾燥に弱く、風邪をひきやすい体質です。風邪をひくとウイルスを追い出そうと熱を使うので寒気を伴います。
喫煙による影響も受けやすく、血管の収縮により血流の低下・基礎代謝の低下を招くため、冷えの原因となります。
さらに、金タイプは便秘がちで腸内環境が乱れやすい体質でもあります。腸と脳は自律神経・ホルモンなどの情報伝達系を通してお互いに影響しあっているので(腸脳相関)、腸内環境の乱れが自律神経の乱れにつながり、冷えを招きます。
水タイプ
水の特性である「寒湿」「下行(かこう)」「滋潤(じじゅん)」などと関連づけて考えます。
水タイプの人は、マイペースで人の評価を気にしません。固定観念にとらわれず、川の流れのように柔軟な感性を持ちます。
一方で、奔放になりすぎることがあります。さらに、気持ちの変化が出やすく不安定になりがちです。
水タイプの体質は、カラダ全体が冷えやすいのが特徴です。新陳代謝が低下しやすく熱を生み出すのが苦手なため、夏でも冷えることがあります。
疲れやすい人が多く、頻尿や膀胱炎、腰痛、膝関節の痛みなど、下半身にトラブルが集中しやすいので注意してください。
五行タイプ別!おすすめ温活法
温活は、適度な運動やバランスのとれた食事といった健康を意識した生活を基本としますが、五行のタイプ別に考えると、より適した方法がみえてきます。
また、五行の考え方では、とり入れたほうがいい食材や、控えたほうがいい味覚の食材もわかります。
それでは、順番に解説していきましょう。
木タイプにおすすめ温活法
ストレスによるホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れを整えるためには、なるべく規則正しい生活を心がけ、睡眠を十分にとりましょう。
「ウォーキングや水泳などの運動をする」「入浴でリラックスする」「趣味を見つける」など、ストレスのたまらない過ごし方を工夫してみてください。
<温活のポイント:木タイプ>
・睡眠をしっかりとる
・ストレス発散方法を見つける
・青いもの、緑のもの、酸味のあるものを食べる(ほうれん草、小松菜、みかん、梅干しなど)
・辛さの強い食べ物は控える
火タイプにおすすめ温活法
火タイプはもともと熱をつくりだす力はあるので、体内の熱を効率的に使うことが温活のポイントです。熱がこもらないよう体内をスムーズに循環させることで、カラダ全体が温まります。
毎日の生活では頑張りすぎることのないよう、息抜きをしながら物事に取り組んでみましょう。精神が穏やかであれば血流にアプローチができ、カラダ全体に熱を行き渡らせることができます。
気持ちが高ぶったときは「ゆっくりと深呼吸をする」「ヨガやストレッチで心身をほぐす」「アロマを嗅いで気持ちを落ち着かせる」など、日ごろから精神をコントロールできるような方法を探してみてください。
<温活のポイント:火タイプ>
・入眠を妨げない環境になるよう寝室を整える
・気持ちを落ち着かせる方法を見つける
・赤いもの、苦味のあるものを食べる(にんじん、緑茶、ゴーヤ、トマト、レバーなど)
・塩分が濃い食べ物は控える
3.土タイプにおすすめ温活法
土タイプの弱点である胃腸は、外因性の冷えや湿気に弱いので、胃腸を意識した温活が効果的です。
胃腸が弱いと、おなかの冷えや胃もたれが起きやすくなります。このため、日々の食生活には注意が必要です。元気な胃腸でしっかりと栄養を摂りましょう。
また、汗をかくことを意識したり、マッサージしたりするなど、むくみ対策も忘れてはいけません。
<温活のポイント:土タイプ>
・暴飲暴食を避ける
・半身浴やサウナなどでデトックスする
・黄色いもの、自然な甘みをもつものを食べる(米、さつまいも、かぼちゃ、卵など)
・おなかを冷やすものは控える(冷たい飲料水、生野菜、果物など)
・すっぱい食べ物は控える
金タイプにおすすめ温活法
乾いた外気で体調を崩しやすい金タイプは、喉を適切にケアすれば体調を整えることができます。帰宅したらうがいをする習慣をつけましょう。
<温活のポイント:金タイプ>
・乾布摩擦をする
・喫煙は控える
・白いもの、辛いものを食べる(大根、梨、れんこん、ゆり根など)
・苦味が強い食べ物は控える
水タイプにおすすめ温活法
冷えやすい体質の水タイプは、季節を問わずカラダを温めることを意識しましょう。薄着は避け、カラダの中でも特に腰まわりをしっかり温めるようにしてください。
水タイプはカラダを温める力が弱いため新陳代謝が低下しやすく、熱を生み出すことが難しい場合もあります。加齢とも関連しているので、温活を積極的に行えば、若返りも期待できます。
<温活のポイント:水タイプ>
・脚腰を鍛える散歩や運動をする
・靴下やレッグウォーマー、腹巻きで腰まわりを温める
・黒いものを食べる(貝類、海藻類、黒豆、黒キクラゲなど)
・甘い食べ物は控える
温活には漢方薬でインナーケアもGood!
温活におすすめなのが、内側からカラダを温める漢方薬です。
漢方薬は、冷え症の治療にも使われています。
カラダ本来のもつ力を引き出し、カラダ全体の調子を整えることを目的としているので温活にピッタリなのです。
カラダの冷えは、
・水分代謝の乱れや血行不良
・胃腸の働きの低下
などによって熱をつくる機能が低下することが原因で生じると考えられています。
カラダを温めるには、カラダを直接温める生薬に加えて、
・水分のかたよりを調整して冷えを解消
・血流をよくして熱を巡らせる
・胃腸の働きをよくして熱をつくりだす
・代謝を上げて、熱をつくる機能を回復する
などの働きをもつ生薬を含む漢方薬で、根本改善を目指します。
また、熱をつくる機能を低下させる原因となる「ストレスの軽減」「睡眠の質を上げる」「疲労を改善」などのアプローチも行います。
漢方薬は冷えの原因を根本から改善するため、冷えにくいカラダを手に入れることができます。
それでは、おすすめの漢方薬の一部をご紹介します。
<ストレスと冷えに>
加味逍遙散(かみしょうようさん)
・肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状がある方の温活におすすめ
・自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮めて血行も促進
<手足の冷えに>
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
・手足や下肢の冷えが強い方の温活におすすめ
・熱をつくり出す力を助ける
<下半身の冷えに>
八味地黄丸(はちみじおうがん)
・疲れやすく四肢が冷えやすい、尿トラブルのある方の温活におすすめ
・カラダを温める作用があり、カラダ全体の機能低下を改善する
このほかにも、気持ちの高ぶりを鎮める柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、弱った体力回復に補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、胃腸の働きを高める六君子湯(りっくんしとう)などを用いることもあります。
これまで五行について解説してまいりましたが、漢方薬はこの五行をもとに選びます。
さらに、「陰と陽」「気血水」「生活習慣」「生活背景」など、その人から得られるたくさんの情報から、より適切な漢方薬を選別していくのです。
どの漢方薬が自分に合っているのか知りたいという方には、漢方のプロにオンラインで個別相談ができ、個々人に効く漢方を見極めて自宅まで郵送してくれる便利なサービスなんかもあります。
<参考サイト>
温活で、からだの中からポカポカになろう
冬場に外気温で手先や足先が冷たくなるのは当然のことです。
しかし、どんなに温めても冷えを感じてしまうときは、カラダの中から温める温活が有効です。
自分の体質を五行で知ると、より効果的な温活ができます。
今回ご紹介させていただいた方法をぜひ試してみてくださいね。
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
竹田 由子(たけだ ゆうこ)
43、47歳で出産した2児のママ薬剤師。共立薬科大学(現 慶応大学)卒、臨床薬学専門。
病院で10年以上医薬品情報室に従事し、医薬品に関する情報に精通。元漢方・生薬認定薬剤師。
漢方を自身の月経痛や妊活にも活用してきた経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。