【現役医師監修】歯科で定期的な「歯石クリーニング」を!保険適用になる?痛みは?
「毎日しっかり歯を磨いているのに、口臭や歯肉炎が気になる。」
そんな方は、実は意外と少なくありません。
しっかり歯を磨いているつもりなのに、お口のトラブルが絶えない。
それはもしかしたら、隠れた歯垢のせいかも?
そこでおすすめなのが、歯科医院での「クリーニング」。
溜まった歯垢や着色汚れをしっかりと除去して、美しく健康的な歯を保ちます。
とはいえ、
「歯のクリーニングって、保険適用にならないんじゃないの?」
「なんだか痛そう…。」
そんな疑問や不安からクリーニングをためらっている方も少なくないのでは?
定期的なクリーニングは、もはや大人としてのエチケット。
本日は、これから安心して歯のクリーニングを受けるための手引きをお話ししたいと思います。
お口のトラブルの原因は「歯垢」?
最近はドラッグストアでもさまざまなオーラルケアアイテムが販売されていることもあって、
「歯のお手入れには人一倍気をつかってます!」という方も少なくないかもしれませんね。
歯磨きはもちろん、フロス、マウスウォッシュetc...
さまざまなアプローチで歯をキレイにするのは、とても大事なことです。
ですが、
「しっかりお手入れしているのに、どうも口臭が気になる・・・」
「しっかりお手入れしているのに、歯周病になってしまった・・・」
そんな経験がある方も意外と多いのでは?
それはもしかしたら、取り切れていない「歯垢」が原因かも。
実は、セルフケアで歯垢を完全に除去するのは難しいと言われています。
歯ブラシで取れる歯垢はだいたい6割程度。
フロスなどを併用すればだいぶ取れるようになりますが、それでも残ってしまう歯垢は存在します。
取り切れなかった歯垢は、約2日間で唾液中のカルシウムが沈着して石灰化がはじまり、2週間も経つと「歯石」に変化します。
こうなってしまうと、セルフケアで取り除くのは至難の業。
固まって歯にへばりついてしまうので歯ブラシやフロスなどできれいにすることはできません。
歯垢は意外とあっという間に歯石になってこびりついてしまうのです。
歯石の除去はプロに任せるべし!
そんなこびりついた歯垢や歯石を取るためにも、定期的に「歯のクリーニング」に行くことをおすすめします。
歯垢1mgの中には、なんと10億もの細菌が存在していると言われており、さまざまなお口のトラブルの原因に。
そのまま放っておくと歯周病になってしまい、最終的には歯を失ってしまうことになります。
また、歯垢が溜まると「口臭」も強くなります。
口臭は自分では気づきにくいものですから、やはりエチケットとしても歯垢は定期的に取っ手おきたいですよね。
歯科医院なら、自分では取り切れなかった歯垢や歯石も、プロの技術と特別な器具によってきれいに清掃してもらえます。
そしてこの「定期的にクリニックで歯のクリーニングをしてもらう」という習慣こそが、将来歯を失わないために必要不可欠であると言えます。
歯周病は定期的なクリーニングをしていくことが治療になります。
歯のクリーニングって、保険適用?
とはいえ、一番気になるのが「歯のクリーニングは保険適用なのかどうか」ということですよね。
いくら健康のためとはいえ、毎月高額のお金を払ってクリーニングをしてもらうのは、お財布に痛いですよね。
クリーニングが保険適用になるかどうか、ということですが、実は「保険適用になる場合」と「保険適用にならない場合」が存在します。
保険適用のクリーニングと、保険適用外のクリーニングの違い、それは「汚れの種類」です。
保険適用の場合、「歯石」を取るクリーニングをしてもらえます。
一方、保険適用外の場合、「着色汚れ」を取るクリーニングをしてもらえます。
歯垢は、歯周病の治療ということで、保険適用で治療してもらえますが、
着色汚れは審美的な側面が大きいため、保険適用外の治療となります。
ただし、ここでひとつ注意点があります。
歯石のクリーニングについても、保険が適用されない場合があります。
それは、「歯周病になっていない」場合。
そう、現時点ですでに歯周病になっている方は歯石のクリーニングが保険適用になりますが、歯周病でない場合は保険適用にはなりません。
日本の保険制度では「予防」は保険適用にならないため、歯周病でない患者さんの歯石除去はあくまでも自費となってしまうのです。
とはいっても、日本人の約90%以上は大なり小なり歯周病になっていると言われています。そのため、たいていの場合は保険適用になります。
歯石クリーニングについて(保険適用治療)
ここからは、保険適用になる可能性の高い「歯石のクリーニング」について詳しくお話しします。
歯周病の原因となってしまう歯石は、審美面だけでなく健康面にも大きな悪影響を与えてしまうため、クリニックで除去してもらうことをおすすめします。
最近では糖尿病などの全身疾患との関連性が高いといわれています。
歯周病になっている場合、保険適用での治療が可能です。
そんな歯石のクリーニングのやり方には、2つの工程があります。
「スケーリング」と呼ばれるものと、「ルートプレーニング」と呼ばれるものです。
ここから各クリーニング法についてご紹介します。
歯石クリーニング法(1)スケーリング
歯石クリーニングの一つ目のステップとして、まず「スケーリング」がおこなわれます。
スケーリングとは、スケーラーという先のとがった器具を使い、
歯に付着している歯石、歯垢、バイオフィルム(最近の塊)を除去する方法です。
スケーラーには様々な種類があり、ハンドスケーラー、超音波スケーラー、エアースケーラーなどがあり、状況に応じて使い分けます。
歯肉の状況によっては、歯肉に違和感を感じたり、痛みを感じたりすることもあります。
たいていの場合は耐えられる程度の痛みなので、痛み止めを服用するほどではありません。
歯石除去後は、歯磨きをする際に出血しやすくなる場合がありますが、しばらくすると落ち着いてきます。
最も基本的な歯石クリーニング法です。
歯石クリーニング法(2)ルートプレーニング
スケーリングを行ったあと、「ルートプレーニング」が行われることもあります。
これは、歯周病が中等度まで進んでいる場合におこなわれる治療です。
歯周病が進んでしまうと、歯と歯肉と間の「歯周ポケット」の中に黒い縁下歯石がたまり、
歯根部分が汚染されて「汚染セメント質」になってしまっています。
すると、スケーリングで歯石だけを除去しても、汚染セメント質のせいで歯肉と歯根がくっつかない場合があるのです。
そこで、歯周ポケットの中の汚れてしまったセメント質を除去して表面をつるつるに磨きます。
そうすることで、歯周ポケットがふさがりやすくなり、かつ細菌が付着しづらくなります。
これが、ルートプレーニングと呼ばれる治療法です。
歯石クリーニングの料金は?
やはり一番気になるのが、歯石クリーニングの料金ですよね。
着色汚れのクリーニングとは異なり、歯石のクリーニングの場合、(すでに歯周病を発症していれば)保険適用になります。
その際の自己負担額は、約3,000円となっています。
この金額なら無理なく通うことができそうですよね。
一方、保険適用外の場合、自己負担額は、約5,000円~20,000円となっています。
日本人の9割以上は歯周病になっていると言われているため、
たいていの場合は3,000円で歯石クリーニングを受けることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本日は「歯のクリーニング」についてお話ししました。
いつまでも健康的な歯を保つためには、一にも二にも「歯垢・歯石の除去」が大切です。
自分の力だけではなく、たまにはプロの力も借りて、溜まってしまった歯石をきれいにしてみてはいかがでしょうか?
監修医師プロフィール
医療法人社団スタデン理事長
田中 和之 氏
"確かな技術・痛くない・待たせない・丁寧な説明"をポリシーに診療を行う医療法人社団スタデンの理事長。
審美歯科歴17年以上の経験を有し、審美歯科の症例数は5,000件を超えている。
勤務クリニック名:九段下スターデンタル