最近、うちの子供が寄り目になっている気がする…。それ、もしかしたら「スマホ急性内斜視」かも!?【薬剤師監修】
ふと見ると、子供が寄り目で物を見ている…。
実は最近、スマホなどが原因による目の病気、「スマホ急性内斜視」が増えています。
若い人に多く、増加傾向にあるというスマホ急性内斜視。
今回は、その症状の特徴や原因、対策、病院を受診する目安についてまで解説していきたいと思います。
近頃増えているスマホ急性内斜視
まずは、急性内斜視の特徴と、スマホの関係について見ていきましょう。
1.急性内斜視とは
まず「内斜視」とは、どちらか片方の目が内側によっている状態を指します。
内斜視は大きく分けて先天性、後天性の症状があります。
先天性は生後6ヶ月以内に発症するもので、後天性はそれ以降に発症するものです。
急性内斜視は後天性の内斜視にあたり、「調節性内斜視」とも言われます。
調節性内斜視にはさまざまな原因がありますが、もともと遠視があり、物を見ようとする際に、過度なピント調整が起きることで発症します。
その結果、物が見づらくなったり、二重に見えたりする症状が起こるのです。
2.急性内斜視とスマホの関係
近年、急性内斜視の原因として、スマホの使用が注目されるようになりました。
読書をするとき、本と目の距離は約30センチほどですが、スマホの場合、目とスマホの距離は約7センチです。
数字で見ても一目瞭然ですが、非常に近くで見ているため、自然と眼球を内側に寄せてしまう状態に。
スマホの画面を近距離で長時間見続けることにより、眼球運動に関わる筋肉のひとつである外眼筋の調整がうまくいかなくなり、片方の目が内側に向いたまま元に戻らなくなります。
また、カラダが発育途中の子供は、比較的影響が出やすいとも言われており、日本弱視斜視学会と日本小児眼科学会の調査によると、2019~2021年の2年間の急性内斜視の患者194人のうち、10代中盤が上位を占めています(※1)。
スマホ急性内斜視にならないためにできること
スマホによる急性内斜視は、ある程度対策ができます。
たとえば、スマホの使用時間を制限することです。
「◯時以降はスマホを触らない」など、あらかじめスマホを使う時間を限定することで、目の酷使を防げます。
また、そこまで制限することが厳しい場合は、近距離で長時間見続けることを避けるだけでも一定の効果が期待できるでしょう。
「20分以上続けて画面を見ない」「30センチ以上離して見る」「小休止を設ける」など、近くで画面を見続けないようにすれば、目や目を支える筋肉の負担を軽減できます。
スマホ使用後は、遠くの景色などを眺め、目をリラックスさせてあげることも大事です。
放置はNG!病院を受診する目安は?
急性内斜視の疑いがある場合、放置はよくありません。
急性内斜視の症状が長引くと、次第に物が立体的に見えなくなるなどの弊害が出ます。
以下のような自覚症状や傾向がある場合は受診を考えましょう。
・物が二重に見える
・遠くが見えづらい
・顔を斜めにして、片目でものを見ようとする
・まばたきの回数が増える
・足元がふらつく
時間経過とともに症状が重くなる場合もあるので、まずはなるべく早いうちに眼科を受診しましょう。
原因を特定し、生活習慣の改善や、眼鏡の装着などの対策を行います。
自分の視力に合った眼鏡やコンタクトレンズを作り、使用するだけでも目の負担を軽減できるでしょう。
場合によっては、ボツリヌス注射や手術という手段もあります。
まずは病院で診てもらい、目の状態がどうなっているのかを調べることが大事です。
目の不調に効く漢方薬
目の不調には漢方薬もおすすめです。
漢方薬は、目が疲れやすい体質にアプローチして、根本から改善をめざせます。
また、漢方薬は植物、鉱物などの自然由来の生薬をもとにしていて、一般的に西洋薬よりも副作用リスクが低いと言われています。
目の不調には、
「血流を良くして目の周辺の筋肉をほぐす」
「目に栄養を届けて、ピントの調節機能を回復する」
「自律神経を整え、ストレスによる目の疲れを回復する」
といった作用を持つ漢方薬を使用しましょう。
<目の不調におすすめの漢方薬>
●杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
目に栄養とうるおいを与えながら炎症を抑え、かすみ目や目の酷使による眼精疲労を和らげます。
●補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
全身にエネルギーを補い、休息をとってもなかなか回復しない眼精疲労を和らげます。
自分に合う漢方薬を知りたいという人は、漢方のプロにオンラインで個別相談できる『あんしん漢方』も覗いてみてください。
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まとめ
いかがでしたか?
スマホ急性内斜視は、習慣的な長時間のスマホ利用によって起こる目の症状です。
眼球運動に関わる筋肉に支障をきたし、目の片方が寄り目のように内側を向いたまま、戻らなくなります。
急性内斜視は症状が悪化するとさらに物が見えづらくなってしまうので、おかしいと感じたらなるべく早いうちに病院で診察を受けましょう。
長時間続けてスマホの画面を見ることを避け、小休止を挟む、画面は30センチ以上離して見るといった対策も大事です。
子供はとくに影響を受けやすいので、しっかりと注意して、目を守ってあげましょう。
<参考文献>
監修者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。
病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方『あんしん漢方』でも薬剤師としてサポートを行う。