「恋愛感情を持たない」セクシャリティとは?LGBTとの違いも解説
近年セクシュアリティに対する考え方が多様化している中で「LGBT(またはLGBTQ+)」という言葉は聞いたことがある、という方は多いでしょう。
しかし、日本でLGBTという言葉が使われるようになったのは最近のこと。なかには「セクシュアルマイノリティ=LGBT」と理解している人もいるようですが、実際は「セクシュアルマイノリティはLGBT以外も含むためイコールではない」という理解のもと、「セクシュアルマイノリティ」と「LGBT」は使い分けられることが多いといわれています。
このようにLGBTという言葉が浸透していても理解が完全に浸透するにはまだまだ時間がかかりそうですね。
ではLGBT以外のセクシュアルマイノリティとは、一体どのようなものがあるのでしょうか。本記事では「アロマンティック」「アセクシュアル」というセクシャリティついて解説します。
そもそもセクシュアリティ(性)とは
性を決める観点として「身体的性」「性自認」「性的指向」「性的表現」の4つがあると考えられています。
・身体的性:生まれながらにしてもった身体構造としての性(外性器による判断のみならず、染色体や内性器、性ホルモン等も含む)
・性自認:「自身の性をどのように認識しているか」という自己意識の概念
・性的指向:広義として「どのような性を好きになるか」を指す概念
・性表現:見た目の「男らしさ」「女らしさ」のような自分のありたい性をどのように表現するかの概念
セクシュアルマイノリティを日本語訳すると「性的少数者」となりますが、このような言葉がある前提として「異性愛を中心とする考え(男性は女性を好きになる、または女性は男性を好きになる)」「身体的性と性自認が一致している状態(シスジェンダー)」が挙げられ、この前提に当てはまる人は「性的多数者」となるのです。
アロマンティックとアセクシュアル
最近は「アロマンティック」「アセクシュアル」という言葉をよく見かけるようになりました。アロマンティックとは、一般的には「他人に恋愛感情がもてない(恋愛指向が他人に向かない)セクシュアリティ」といわれています。
一方、アセクシュアルは「他人に対して恋愛感情も性的感情ももてないセクシュアリティ」といわれています。
この2つの属性は混同しやすいのですが、違いとしてアロマンティックはあくまで恋愛感情を他人に感じないだけで性的感情を抱くことはありえる、というセクシュアリティです。
するとおそらく多くの人が「恋愛感情と性的感情のちがいって何?」という疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。この疑問に対する回答として、それぞれの感情には実は明確な定義はないといわれています。
理由として、何をもって「恋愛」とするか「性的」とするかは人それぞれの主観であるからです。そのため、似たような指向であっても属性がアロマンティックである場合もあればアセクシュアルである場合もあり、自認に悩む方が多くいることも事実のようです。
ではアロマンティック・アセクシュアルという属性の人たちは一様の指向をもっているのでしょうか。あるアンケート調査によるとアロマンティック・アセクシュアルの人たちに「特定の行為(キスをする、手をつなぐ、ハグをする、握手をする)に対する嫌悪感」を尋ねた結果、「キスをする」が75%と高い一方で「手をつなぐ」は約28%、また「いずれの行為も嫌悪感はない」が約23%となり、同じ属性でも指向の多様性が示唆されました。
このように属性についても「恋愛感情」や「性的感情」と同じく明確に定義することは難しいと考えられています。