猫背と巻き肩は違う?猫背改善で不調とサヨナラ!【薬剤師執筆】

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猫背と巻き肩は違う?猫背改善で不調とサヨナラ!【薬剤師執筆】

「最近、頻繁に肩こりや頭痛がする……」

 

そんな悩みを抱えている方は、普段から悪い姿勢をとっていないか、一度ご自身の姿勢を確認してみると答えが出るかもしれません。

 

特に、猫背は長時間猫背の状態が続くことで、カラダのさまざまな場所に不調を引き起こすことがあり、肩こりや頭痛もそのひとつです。

 

この記事では、ツラい肩こりや頭痛を引き起こす猫背の改善法を解説していきたいと思います。

対策を実践して、ツラい症状にサヨナラしましょう!

猫背とは

猫背とは

まずは、猫背の特徴や原因を確認していきましょう。

また、猫背と混同されやすい巻き肩との違いについても解説していきたいと思います。

1.特徴

猫背の姿勢は、横から見ると背中が大きく湾曲しており、顔が前に突き出ています。

猫が背中を丸めて座っている状態をイメージして、「猫背」という言葉が作られたと言われています。

 

スマートフォンやパソコンを見ている姿勢が、猫背になりやすい状態と言えるでしょう。

2.原因

猫背は、生活習慣が原因になっていることが多いと言われています。

 

特に長時間のデスクワークは猫背になりやすい大きな要因とされており、足を組んで座ったり、背中を丸めて座ったりするクセが猫背を引き起こします。

 

また、加齢によるカラダ全体の筋力低下も猫背になる要因のひとつです。

さらに、日本人の骨格は骨盤が後ろに倒れやすく、その流れで肩が前屈みになり自然と猫背になりやすくなります。

3.猫背と巻き肩の違い

猫背と巻き肩は似て非なるものです。

 

猫背…背骨が湾曲し、背中全体が丸くなった状態

巻き肩…肩が胸よりも前へ出るように歪んだ状態

 

猫背は背骨全体が曲がっているのに対し、巻き肩は肩甲骨が常に広がり、肩が前に出た状態となります。

見た目は似ていますが、負荷がかかっている部位に大きな違いがあるのです。

猫背は改善しないと不調につながる?よくある症状

猫背は改善しないと不調につながる?よくある症状

たかが姿勢、されど姿勢。

姿勢の悪さはカラダに負担をかけ、さまざまな不調を引き起こします。

 

ここからは、猫背による代表的な不調を解説していきたいと思います。

原因不明の不調はひょっとしたら、猫背が原因かもしれません。

1.腰痛

猫背は、腰痛の原因のひとつであると言われています。

 

背骨はゆるいS字カーブを描いているのが正常な状態ですが、猫背になると、このS字カーブが崩れた状態となります。

 

すると、背骨全体で上半身の重さを支えるバランスが崩れてしまい、腰に負荷が大きくかかり、腰痛を引き起こしてしまうのです。

2.肩こり

猫背の方は肩こりが多いと言われています。

 

猫背になると頭が前に突き出る姿勢となり、背骨は前に突き出た頭を支えようとします。

その結果、背中や肩が常に緊張し、血液の循環が悪くなり筋肉が硬くなるのです。

 

頭の重さは体重の約10分の1を占めているため、この頭の重さを支えるために背中や肩まわりの筋肉に大きく負荷がかかります。

そして、筋肉に負荷がかかることにより、血流が悪くなり肩こりを引き起こしてしまうのです。

3.頭痛

猫背になると首や肩まわりが常に緊張状態となり、頭痛が発生しやすくなります。

 

首や肩まわりには血液を脳へ送る血管があります。

筋肉が硬くなるとこの血管が締め付けられ、血流障害が起こるのです。

血管障害が起きると、脳が酸欠状態となり、頭痛が起きやすくなります。

4.ストレートネック

猫背はストレートネックを引き起こすこともあります。

ストレートネックとは、首の骨のカーブが真っ直ぐになり、そのまま固定されてしまう状態のことです。

 

首の骨は「頸椎」と呼ばれ、緩やかなカーブを描いています。

しかし、猫背の姿勢では肩が内側に入り顔が前に突き出すので、頸椎が本来のカーブを失い真っ直ぐな状態になってしまうのです。

 

スマートフォンやパソコンを見ているときも、頭が前に突き出すためストレートネックへと拍車がかかっていきます。

5.ポッコリお腹

猫背はポッコリお腹になりやすくなります。

 

ポッコリお腹は腹筋が使われていないことが大きな原因ですが、猫背は腹筋が使われにくい姿勢のため、下腹部が前に出てポッコリお腹になってしまうのです。

 

また、胸の位置が下がると胃や腸などの内側の臓器が圧迫され、下に落ち込むことでさらにポッコリお腹を目立たせてしまいます。

6.老け見え

猫背であることは、その姿勢だけで見た目年齢を引き上げてしまいます。

 

カラダの全体的なラインが丸みを帯びて、お腹はポッコリ、背中には厚い脂肪がつくことで老け見えしてしまうことは否めません。

 

さらに、胸が圧迫されて呼吸も浅くなるため、全身の血流が悪くなって顔色がくすみ、表情筋もたるみがちになります。

猫背改善に向けて家でできること5選

猫背改善に向けて家でできること5選

ここからは、猫背を改善するために、家で手軽にできる改善方法を5つ解説していきたいと思います。

 

スッキリとした姿勢を保つために、ぜひ実践してみてください!

1.インナーマッスルを鍛える

猫背改善に向けて家でできることの1つ目は、インナーマッスルを鍛えることです。

 

猫背は姿勢を保つための筋肉が上手に使われていないことが大きな原因です。

そこで、姿勢を保つために必要不可欠な筋肉である“インナーマッスル”を鍛えましょう。

 

インナーマッスルとはカラダの深いところに位置する筋肉で、深層筋とも言われています。

 

猫背を改善するには上半身のインナーマッスルである以下の筋肉を鍛えると効果的です。

 

腹横筋(ふくおうきん)

多裂筋(たれつきん)

骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)

 

ピラティスやヨガはインナーマッスルを鍛える動きをするため、猫背や巻き肩改善におすすめのエクササイズです。

2.腹式呼吸を意識する

猫背改善に向けて家でできることの2つ目は、腹式呼吸を意識することです。

 

猫背は胸の位置が下がり、内臓が圧迫されるかたちとなるため、呼吸が浅くなり胃腸の働きも悪くなります。

そこで、腹式呼吸を意識するとインナーマッスルのひとつである横隔膜が鍛えられ、猫背の改善が期待できるのです。

 

猫背の姿勢は知らず知らずの間に呼吸が浅くなっているため、腹式呼吸を意識していきましょう。

3.長時間座り続けないようにする

猫背改善に向けて家でできることの3つ目は、長時間座り続けないようにすることです。

 

デスクワークなどで長時間座り続けると、骨盤が後傾し猫背が習慣化してしまいます。

また、同じ姿勢が続いて筋肉がこり固まることも、猫背を定着させる原因のひとつとなります。

 

なるべく一時間に一回は立ち上がって軽くストレッチをしたり、トイレ休憩など少し歩く動作をとり入れたりするようにしましょう。

 

リモートワークの方はデスクの高さを自在に変えられる昇降式デスクをとり入れて、立ちながら作業してみるのも効果的です。

デスクワークは猫背だけでなく巻き肩にもなりやすいため、巻き肩改善にも同じことが言えます。

4.定期的に上半身をもみほぐす

猫背改善に向けて家でできることの4つ目は、上半身を揉みほぐすことです。

 

猫背が定着していると、筋肉が緊張して動かしづらい緊張状態になっています。

緊張状態により血流が悪くなると、肩こりや腰痛などの不具合がカラダに起きるようになります。

 

よって、定期的に上半身を揉みほぐし、筋肉の緊張をとり除いてリセットすることが大切です。

自宅で揉みほぐすことが難しい場合は、マッサージ店などへ行きプロの方にほぐしてもらうのもよいですね。

5.ストレッチをする

猫背改善に向けて家でできることの5つ目は、ストレッチをすることです。

 

日々の生活習慣で猫背になってしまうことが多いため、日々ストレッチを行い、こり固まった筋肉をほぐすことが大切です。

ストレッチを行う際は、以下の部位を中心に行いましょう。

 

・肩甲骨を動かして、背中のコリをほぐす

・湾曲した背骨を柔らかくする

・猫背や巻き肩により緊張した首&肩をほぐす

 

筋肉が温まり柔らかくなっている入浴後に行うと、より効果的です。

ここからは具体的なストレッチを紹介します。

 

<肩甲骨を動かして背中のコリをほぐすストレッチ>

 

1.両腕を肩の高さに前方へ伸ばします

2.肘を折り曲げて、右手は右肩に、左手は左肩に添えます

3.折り曲げた両方の肘をくっつけて、息を吸いながら肘を上に持ち上げます。このとき、手は肩から離れないように

4.息を吐きながらそれぞれの肘で円を描くように一周します。このとき、肩甲骨を意識してなるべく大きく回します

5.何回か繰り返したら、逆回しも行いましょう

 

<湾曲した背骨を柔らかくするストレッチ>

 

1.ヨガマットやバスタオルを床に敷き、その上で四つ這いになります。このとき、手は肩幅、足は腰幅、背中は床と平行に

2.息を吸いながら目線は斜め上を向き、背中を反らせます

3.続いて、息を吐きながら背中を大きく丸め、目線はおへそを見るように

4.2と3の動きを、ゆったりとした呼吸のまま何回か繰り返します

 

<緊張した首&肩をほぐすストレッチ>

 

1.椅子に座った状態で右腕を天井の方へ持ち上げます

2.持ち上げた右腕の肘を曲げ、頭の上を通り左の耳を手のひらでタッチします

3.その状態のまま、首を右側へ傾けます。このとき、首の左側が伸びていることを感じながら、ゆったりとした呼吸で行います

4.反対側も同様に行います

5.続いて、頭の上で両手を組み、組んだ両手を後頭部に添えます

6.そのまま頭を前方へ倒し、両手の重みを感じましょう。このとき、力を入れて前方へ倒すのではなく、両手の重みを感じる程度にしましょう

7.何回か呼吸を繰り返し、ゆっくりと頭を起こします

 

長時間同じ姿勢が続いたなと感じたら、適度に休憩を入れつつ上記のストレッチを行ってみてください。

猫背による肩こりや頭痛には漢方薬での対処もおすすめ

猫背による肩こりや頭痛には漢方薬での対処もおすすめ

猫背によって肩こりや頭痛に悩まされている人は少なくありません。

 

ここまでは家でできる猫背改善方法をお伝えしてきましたが、根本改善が期待できる漢方薬を活用することもおすすめです。

 

猫背による肩こりや頭痛に対しては、

 

「血流をよくして筋肉の緊張を緩める」

「水分の循環をよくして老廃物や疲労物質を排出したり、頭痛の原因となる脳の浮腫みを解消したりする」

「カラダを温め、肩の筋肉をほぐす」

 

といった働きのある漢方薬を選びます。

 

漢方薬は、カラダの内側からバランスを整えることで、猫背による肩こりや頭痛だけではなく、冷えや疲れやすさなどのさまざまな不調を同時に改善が期待できるでしょう。

 

<おすすめの漢方薬>

 

●葛根湯(かっこんとう)

カラダを温めて血行を促進することで、筋肉の緊張を和らげ、首や背中のこりや頭痛をほぐします。

 

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

滞った血の流れをよくすることで、痛みをとり、肩こりや頭痛に働きかけます。

 

漢方薬は長期的に服用することで効き目を発揮してくれます。

自宅でできるエクササイズなどの対処法と漢方薬を併用することで、症状が発生しにくいカラダを目指すことができます。

 

なかなか時間がなくて調べる時間や相談しに行く時間がないという方には、漢方のプロにオンラインで個別相談ができ、その人に合った漢方を見極めて、自宅まで郵送してくれるサービスもあります。

 

<参考>

AI(人工知能)×専門家で実現するオーダーメイド漢方|あんしん漢方

猫背を改善して、健やかな毎日を!

猫背は、カラダにさまざまな不調を引き起こします。

 

猫背になる原因は生活習慣によるものが多いため、日々の心がけで解消することができます。

しかし、我慢できない猫背による肩こりや頭痛の際には、漢方薬を活用することもおすすめです。

 

自分に合った対処法を見つけて、健やかな毎日を過ごしましょう!

執筆者プロフィール

執筆者プロフィール

あんしん漢方薬剤師

山形 ゆかり

 

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。

病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。

 

「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するYouTubeチャンネル『Medical Health -メディヘルス-』では簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動中。

 

さらに、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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