【医師監修】顔にできる小さくて白いぶつぶつ。それ稗粒腫かも?原因や治療法を皮膚科専門医が解説

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【医師監修】顔にできる小さくて白いぶつぶつ。それ稗粒腫かも?原因や治療法を皮膚科専門医が解説

顔にいつの間にかできている、白くてブツブツとしたできもののことを、稗粒腫(はいりゅうしゅ・ひりゅうしゅ)といいます。

 

稗粒腫は白にきびのようにも見えますが、良性のできものですので放っておいても害はありません。しかし、いざできてしまうとメイクで隠すことも難しく、見た目が気になるという人も多いでしょう。

 

この記事では、稗粒腫ができる原因や治療法、できないために気を付けることについてまとめています。治療に保険は適用するのかなど、よくある疑問にも触れているので、参考にしてみてください。

稗粒腫とは

稗粒腫はうぶ毛の毛穴の皮膚からできた良性の腫瘍です。白くて小さいので、一見それが稗粒腫だと気づかないこともあるかもしれません。稗粒腫について基本的な情報をまとめました。

稗粒腫の症状

稗粒腫は「はいりゅうしゅ」もしくは「ひりゅうしゅ」と読みます。

主に、目の周りに1〜2㎜ほどの、白くて硬い小さなぶつぶつができます。顔以外の場所にできることはまれで、時にはおでこや鼻の先、擦り傷の痕の中にできることもあります。

稗粒腫は良性の腫瘍

稗粒腫はうぶ毛の毛穴の皮膚から発生した良性の腫瘍です。そのため、基本的には放っておいても害はありません。

 

小さなお子さんにできたものは自然に治ることもありますが、成人の稗粒腫は自然に消えることはほぼありません。とても小さなできもののため、人によってはあまり気にならないでしょう。しかし皮膚に凹凸ができるため、メイクなどでは隠しにくいと悩む人もいます。

稗粒腫ができる原因は?

稗粒腫ができる原因は?

稗粒腫はうぶ毛の毛穴の皮膚で袋状の組織がつくられてしまい、その中に角質が詰まることだといわれています。構造は粉瘤(ふんりゅう・アテローム)と同じです。しかし、なぜ稗粒腫が出来てしまうのか、明確な原因ははっきりしていません。

 

その上で、稗粒腫ができる原因と推定される点は下記の3つです。

1..生まれつき、自然にできる

稗粒腫はお母さんのお腹の中にいるときに、角質の一部が皮膚の下にもぐり込んでしまい、生まれてからしばらくして目立ってくることがあります。

 

稗粒腫ができやすい体質の人がいるのはそのためだと言われています。

2.外部からの刺激

稗粒腫は目の周りなどの皮膚が薄いところに外部から強い刺激を受けることでできる可能性があります。顔以外の場所でも、やけどや擦り傷などによって皮膚の組織が壊れて回復するときに、稗粒腫を発症することがあります。クレンジングの際にゴシゴシとこすったり、スクラブやピーリング、レーザー治療などで皮膚を傷つけたりするとできてしまうことがあるので、注意が必要です。

稗粒腫の治療法

稗粒腫の治療法

稗粒腫は良性のできものですので、基本的にはそのまま放っておいても害はありません。しかし、稗粒腫を除去したいという方は、お近くの皮膚科で相談してみましょう。

稗粒腫の治療は主に2種類

稗粒腫の治療方法は、主に下記の2種類です。皮膚を傷つける可能性のあるピーリングや、塗り薬、内服薬(漢方など)では治療できませんので、ご注意ください。

 

・圧出法

 

 稗粒腫の治療法で最も一般的なのが、圧出法です。注射針やメスを使って皮膚の表面に切り込みを入れ、ピンセットなどで稗粒腫を包む被膜ごと取り除きます。この際に被膜が取り切れないと再発することがあります。 

取り除く際には少量の出血を伴うことがあり、傷の赤みがしばらく続きます。大抵の場合は処方された塗り薬で様子をみていると数日で元に戻ります。

 

・炭酸ガスレーザー治療
 

炭酸ガスレーザーによって表面の皮膚に穴をあけ、圧出法と同じように内部の稗粒腫を取り除く方法と、レーザーによって発生する熱で直接稗粒腫を蒸発させる治療法があります。稗粒腫の大きさやできている深さによって照射するレーザーの出力を調整します。

 

針やメスを用いた圧出法と異なり、出血が少なく、深いところにできた稗粒腫も除去することができるので、たくさんある稗粒腫を除去したい方にはおすすめです。

稗粒腫の治療は保険適用?

稗粒腫の治療のうち基本的に圧出法は保険適用で治療を受けることができます。

 しかし、炭酸ガスレーザーを用いて治療する場合は保険が適用されませんので、治療費用は各医療機関で異なります。

稗粒腫は自分で除去できない!?

稗粒腫を自分で取りたいと思う人もいるかもしれませんが、稗粒腫を自分で処置するのはとても危険です。

 

稗粒腫を自分で針などを用いて取り出そうとすると、痕が残ってしまったり、傷口から細菌が入って炎症を起こしたりする可能性があります。また、稗粒腫は目の淵ぎりぎりにできることが多いため、角膜を傷つけてしまう可能性もあります。

保険が適応される治療の場合(圧出法)、治療にかかる費用は初診料のほかに数百円程度ですので、まずは一度皮膚科でご相談してみてはいかがでしょうか。

稗粒腫を防ぐには?

生まれつきの稗粒腫を予防することは難しいですが、基本的には皮膚を傷つけない適切なスキンケアをおこなうことが大切です。ピーリング成分やレチノールなどを配合した化粧品が稗粒腫の原因になることもありますので、稗粒腫ができやすい方は、今使用しているスキンケア用品やお化粧品の見直しも必要かもしれません。

まとめ

本記事では、稗粒腫ができる原因や、治療法についてまとめました。

 

稗粒腫は良性の腫瘍なので、基本的には放っておいても問題はありません。しかし自分では稗粒腫だと思っていても、別の種類のできものの場合もあります。見た目が気になる、ぶつぶつを取り除きたいという場合は、自分で処置しようとせず、まずは皮膚科で相談してみましょう。

 

稗粒腫の予防には自宅での「こすらない」ケアも大切です。稗粒腫を繰り返しやすい方はぜひ、日々のスキンケア習慣を見直してみてくださいね。

監修医師プロフィール

監修医師プロフィール

医療法人仁永会
ふくなが皮膚科 院長 福永 真未


院長略歴
国立大学法人滋賀医科大学医学部卒業後、同大学皮膚科学講座に入局。彦根市立病院への勤務、滋賀医科大学付属病院での研修を経て、皮膚科専門医資格を取得。彦根市立病院では爪専門外来を開設し、延べ 400 人以上の爪治療に従事。がん治療(化学療法)支援チームおよび院内感染症対策チームでも精力的に活動。その後、京都市内の皮膚科・美容皮膚科クリニック院長を歴任し、令和4年、ふくなが皮膚科を開設、現在に至る。

資格
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
日本化学療法学会認定 抗菌化学療法認定医

HP:https://fkngderma.jp/

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