【薬剤師執筆】原因不明のかゆみは「皮膚搔痒症」かも?春の肌ケア必須ポイント
最近なにが原因かわからない、かゆみを感じることはありませんか?
かゆみがあると、仕事や睡眠などの日常生活にも影響を及ぼし、生活しづらくなりますよね。
その原因不明のかゆみ、もしかすると「皮膚搔痒症(ひふそうようしょう)」かもしれません。
そこで今回は、この「皮膚搔痒症」の原因と対処法について解説していきたいと思います。
原因不明のかゆみは皮膚搔痒症かも
皮膚搔痒症(ひふそうようしょう)とは、発疹を認めないにも関わらず、かゆみがある疾患です。
全身にかゆみを感じる場合と、一部にかゆみを感じる場合があります。
「見た目に目立った変化はないのに、かゆみがある」という場合は、この皮膚搔痒症かもしれません。
皮膚搔痒症の原因
かゆみが発症する原因ははっきりとはわかっていませんが、乾燥、服用中の薬による影響、内臓疾患による影響の3つが多いと考えられています。
この中でも乾燥が原因であることが多く、皮膚の水分量が低下することにより、外部の刺激から皮膚を守るバリア機能が弱くなることでかゆみが生じます。
春は日差しが暖かく、暖かい空気は冷たい空気よりもたくさんの水分を含むため、同じ水分量では気温が高くなるほど湿度が低くなり、乾燥しやすくなるのです。
他にも、季節の変わり目による寒暖差や紫外線、花粉などにより肌に負担がかかったり、環境の変化によるストレスでホルモンバランスが乱れたりするため、春は乾燥によるかゆみが悪化しやすくなります。
肌のかゆみケアのポイント
ここからは、春の乾燥からくる肌のかゆみをケアする方法をご紹介します。
1.入浴時のポイント
石鹸、シャンプーなど洗浄力の強いものは避け、汗や汚れはできるだけ早く落とすように心がけましょう。
肌は強くこすらないようにして、洗い残しがないように十分にすすぐことが大切です。
また、肌の乾燥を防ぐためには、かゆみを生じるほどの高い温度のお湯は避けましょう。
目安としては、40℃以下の温度がおすすめです。ナイロンタオルや硬めのタオルの使用も控えるようにしましょう。
2.肌に優しい衣服を選ぶ
静電気が起こりやすい服や、肌がチクチクするような刺激のあるウールや化学繊維の服は避け、柔らかい素材の木綿や絹を選びましょう。
洗濯した衣類に洗剤が残っていると皮膚を刺激してしまうので、すすぎ洗いもしっかりと行うことが大切です。
3. 正しく保湿する
保湿剤を正しく使うことも、重要なポイントです。
ご自身の肌に合う保湿剤を選び、十分な量を正しく使いましょう。
肌内部の水分蒸発を防ぐには、皮膚保護剤である低刺激のワセリン、毎日の乾燥肌ケアには保湿効果の高いヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド)がよいでしょう。
手荒れや皮膚のガサガサには、角質軟化作用をもつ尿素含有製剤(ウレパール)を選んでみてください。
塗るタイミングは、肌に水分が残っている入浴後がおすすめです。
肌のかゆみには漢方薬もおすすめ
皮膚搔痒症には、皮膚科の治療でも使われている漢方薬もおすすめです。
漢方薬は症状と体質に合ったものを飲むことで全身のバランスを整えていくため、原因不明の肌のかゆみにもアプローチすることができます。
肌のかゆみには、下記のような働きがある生薬を含む漢方薬を選びます。
・血流をよくして肌に栄養をいきわたらせる
・肌の新陳代謝をよくして毒素を出す
・水分の循環をよくして肌に潤いを与える
・ホルモンバランスの乱れを整える
・肌の炎症を鎮める
漢方薬は肌のかゆみの原因を根本から解消して、かゆみに悩まされない健康的な肌を目指すことができます。
<肌のかゆみに悩む方におすすめの漢方薬>
・当帰飲子(とうきいんし):「血(けつ)」を補い、肌に栄養と潤いを与える漢方薬で、皮膚の乾燥を防いでかゆみを抑えます。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):カラダの熱をとりさる漢方薬で、炎症を鎮めたり、かゆみを抑えたりします。
・温清飲(うんせいいん):血流をよくし、熱や炎症を抑えながら水分を保持して、乾燥を防ぎます。
このように一見万能な漢方薬でも、自分の体質に合っていなければ、よい効果が見込めないだけでなく副作用が起こることもあります。
自分に合った漢方薬を知りたいという方には、漢方のプロにオンラインで個別相談ができ、自分に合った漢方を見極めて自宅まで郵送してくれる『あんしん漢方』というサービスもおすすめです。
まとめ
新しい環境で忙しくなりがちな春ですが、そんなときに原因不明のかゆみに悩まされるのはとてもツラいですよね。
まずはできることから試してみて、ぜひ楽しい春をお過ごしください!
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。
病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
健康・美容情報を発信しているYouTubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。
症状や個々人の体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方『あんしん漢方』でも薬剤師としてサポートを行っている。