連帯債務?連帯保証?夫婦での住宅ローンで理解しておきたいこととは
最近では結婚を機に家を購入する方も多いですよね。若い夫婦でも、新婚で家の購入を検討するのは珍しいことではなくなりました。「まだ若いのに収入は大丈夫なの?」という心配とは裏腹に、アラフォー世代のローンにも注意しなければならないことがあります。今回は住宅ローンをそれぞれの借入形態に分けて、詳しい仕組みや注意点などをお伝えしていきます。
収入合算とは?
結婚後の住宅ローンを考えるに当たって、考えなければならないのが「収入合算」です。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、どのような意味なのでしょうか?
例えば、結婚前に1人で住宅ローンを組もうとする場合、自分1人の収入に見合うかどうかでの判断となります。結婚後でも1人でローンを組むことは可能ですが、自分の収入では借入希望額に満たない場合も。この際、結婚相手がいれば配偶者の収入を足した年収から借入希望額を満たすことができるケースがあるのです。これが、「収入合算」と呼ばれる仕組みです。
収入合算が可能な額は金融機関により変わるのですが、”本人収入の2分の1まで”や”合算者収入の2分の1まで”など様々な取り決めがあります。正社員としての収入はもちろんパートの収入などが合算可能な場合もありますが、金融機関によって細かい審査基準等は異なります。事前にそれぞれの違いを確認しておくことが大切です。
連帯債務とは?
前項で説明した収入合算を利用して借入れができるローンの仕組みのうちの1つが、「連帯債務」です。この借入がどのようなものなのかをご紹介していきます。
連帯債務の仕組み
1つの借入につき、夫と妻が同じようにそれぞれ全額の債務を負う形態を「連帯債務」と言います。例えば、夫が”主たる債務者”として4,000万円の借入をするケースでは妻が”連帯債務者”となり、同じく4,000万円の債務を負うことになります。
夫と同じように妻も金融機関から返済を要求され、共に返済をしなければならないということです。民間の住宅ローンではこの連帯債務はあまり取り扱われていないそうなので、気をつけましょう。
住宅ローン控除は受けられる?
夫婦共働きの場合、住宅ローン控除を受けることができる場合があります。
住宅ローン控除を受けるには自身が債務者である必要があるのですが、この連帯債務の場合は夫と妻のそれぞれが債務者に当たるので両者とも住宅ローン控除の対象となります。
連帯債務の場合、それぞれの返済金額は夫婦間で自由に決定することができますが、この住宅ローン控除の対象金額の割合は、借入初めに登記する2人の持分割合によって決定されてしまいます。
例えば、物件の価格が4,000万円でこのうちの頭金800万円を[夫:500万円、妻:300万円]という割合で負担したとします。この場合住宅ローンの借入金額は3,200万円となりますが、初めの登記の際に持分割合を[夫、妻それぞれ2分の1]と割り振った場合、1人の負担額は[2,000万円]となります。
ただ、ここで夫は頭金として500万を支払っているので住宅ローンの負担金額は[1,500万円]、妻は[1,700万円]となります。
つまり、住宅ローンの金額は3,200万円なので夫の負担割合は[1,500万円÷3,200万円=約46.9%]となり、妻は[1,700万円÷3,200万円=約53.1%]の負担割合となります。
住宅ローン控除の対象額は[年末の住宅ローン残高×負担割合]から算出される額なので、登記の際の持分割合によりそれぞれの控除額が大きく変わってくるのです。
団体信用生命保険には加入できる?
団体信用生命保険とは、万が一の事態で返済が滞ってしまう場合などに保険金からの補助を受けられる制度のことです。
「連帯債務」と後述する「連帯保証」の場合、基本的にこの団体信用生命保険は”主たる債務者”が対象となります。つまり、妻に万が一のことがあったとしても、主債務者が夫である場合は保険金がおりません。夫は返済を続けなければならないということです。
この際、妻の収入を頼りに返済をしているケースは返済が厳しくなる可能性もあります。団体信用生命保険の対象に当たらない人は生命保険など他の備えをしておくと安心ですね。
中には夫婦2人が対象となる団体信用生命保険が可能な機関もあるそうなので、こちらも同様に検討しておくといいでしょう。