新NISAついて分かりやすく解説!「成長投資枠って?」「なぜ話題になってるの?」「口座はどこで開設する?」よくある疑問に回答
ここ最近、巷で話題の「新NISA」。
これまで日本は「投資後進国」と呼ばれるほど投資をしている人口が少なかったのですが、新NISA制度をはじめ、国が投資を推奨するようになってから投資をはじめる人が一気に増えてきましたね。
とはいえ、新NISAについて調べるとなにやら複雑な説明が多くてイマイチどういったものなのかがよく理解できていない・・・という方も多いのでは?
中には陰謀論なんかも広がっていたりして、もう何を信じればいいのか分からなくなってきてしまいますよね。
ということで今回は、新NISAについて分かりやすくかみ砕いて解説!
「NISAって結局どんなメリットがあるの?」「どこでNISAを開設すればいい?」といったよくある質問にも回答していきたいと思います。
そもそもNISAって?
まずは、そもそも「NISA(ニーサ)」ってどんな制度?
ということについて説明していきます。
NISAとは、「Nippon Individual Savings Account」の略で、
日本語に訳すと「日本個人貯蓄口座」といったところでしょうか。
イギリスで行われていた「イーサ:ISA(Individual Savings Account)」をモデルに作られた制度で、日本版のイーサということでこのように名づけられました。
NISAの制度を一言で言い表すとすると、「非課税で投資をすることができますよ!」というシステム。
普通、株式や投資信託といった金融商品に投資したことで得られた儲け(配当金、分配金、売却益など)には約20%の税金がかかります。
たとえば、投資によって100万円の利益が出たとしても、20万円は税金で持っていかれてしまうということ。これってかなり大きいですよね・・・。
NISAというのは、その20%の税金がかからずに投資ができる口座のこと。
つまり、100万円の利益が出たらまるごとそのままもらうことができます(販売会社などに支払う手数料はかかります)。
まさに、国が私たちにくれたご褒美のようなシステムなのです。
新NISAになって変わったこと
そんなNISAが、今年(2024年)1月1日から新NISAとして生まれ変わったということで話題になっています。
一体、どのように変わったのでしょうか?
変更点1:一般NISAとつみたてNISAが統合された
まず一つ目に挙げられるのが、「一般NISAとつみたてNISAが統合された」ということです。
これまでNISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類がありました。
一般NISAは、一括投資向け(積立投資も一応可能)。
好きなときに銘柄を売ったり買ったりしたい方に適しています。
対象商品は上場株式、投資信託、ETF、REITなど幅が広く自由度が高いというメリットがありますが、「5年間」という短い期間でしか使えない口座でした。
つみたてNISAは、その名の通りつみたて投資向け。
好きなときに売ったり買ったりするのではなく、毎月設定された日に定期的にコツコツと自動で買い付けを行うことができます。
対象商品は金融庁に届け出がされた約200本の投資信託に限られていました。
長期・積立・分散投資を行うための口座なので、「20年間」と保有可能期間が長めに設定されているのが特徴でした。
これまでは、NISA口座を開設する際に、一般NISAとつみたてNISAのどちらか片方しか選ぶことができませんでした。
つまり、「一般NISA口座もつみたてNISA口座も両方ほしい!」ということができなかったのです。
しかし、新NISAは「一般NISAとつみたてNISAが統合された」というのが大きなポイント!
一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」と名前を変え、ひとつのNISA口座内に2つの枠が存在する形に生まれ変わりました。
つまり、口座開設時にもう一般NISAにするか、つみたてNISAにするかで迷う必要はなく、ひとつのNISA口座で一般NISAもつみたてNISAもすることができるようになったということです!
変更点2:制度自体が恒久化された
二つ目の変更点は、「NISA制度が恒久化された」ということ。
今までのNISAは、投資可能期間が決められていました(一般NISAが2023年まで、つみたてNISAが2042年まで)。つまり、「期間限定キャンペーン」の予定だったのです。
この期間を過ぎたらNISA口座による投資は終了してしまうので、それ以降は特定口座(NISA口座ではない普通の課税口座)で投資をするしかなくなってしまうというデメリットがありました。
しかし、新しいNISAはこの期間が無いため、これから先もずっとNISA口座で投資を行うことができるようになりました。
変更点3:保有期間が無期限になった
三つ目の変更点として「非課税保有期間が無期限になった」ということが挙げられます。
従来のNISAは、保有しておける期間にも期限がありました。
従来のNISAでは、一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間と保有期間が定められていました。
(ただし一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年までという期限が定められていたため、遅くはじめた人はその分保有可能期間が短い)
この期間を過ぎると保有している金融商品は特定口座に移されてしまうことになっていました。
そのため、課税されたくない場合はその期限までに全て売却する必要があったのです。
しかし、新NISAは保有期間も無期限!
NISA制度が変更にならない限り、いつまでも保有しておくことができます。
変更点4:年間投資枠の上限額と非課税保有限度額が大幅に増えた
そして最後の特徴として挙げられるのが、「年間投資枠の上限額」と「非課税保有限度額」が大幅に増えたということ。
分かりやすく言うと、NISA口座で投資できる1年あたりの上限額と、トータルで保有できる限度額が大幅に増えましたよ!ということです。
従来のNISAでは、年間投資枠はつみたてNISAの場合で「40万円」、一般NISAの場合で「120万円」でした。
しかし、新NISAではつみたて投資枠が「120万円」、成長投資枠が「240万円」と大幅に増えたのです!
それだけではありません。
前述のとおり新NISAは保有期間が無期限化しましたが、NISA口座内に保有しておける限度額が低かったら元も子もないですよね。
従来のNISAの保有限度額はつみたてNISAで「800万円」、一般NISAで「600万円」でした。
気になる新NISAの保有限度額はというと、なんとつみたて投資枠と成長投資枠併せて「1,800万円」!!(うち、成長投資枠の上限額は1,200万円。)
今までの2~3倍の上限額になったということで、巷でも大きな話題となっているんです。
なぜNISAで投資をするべきなのか~複利効果について~
このように、従来のNISAと新NISAでは制度が大きく変わったことがお分かりいただけたかと思います。
とはいえ、
「それってそんなにすごいことなの?」
「なんで世間はここまで大騒ぎしているの?」
「政府はなぜNISAを推奨しているの?」
と疑問に思っている方もまだいらっしゃるかもしれませんね。
そこで、ここでは「なぜNISAで投資をするべきか」ということについて、解説したいと思います。
なぜNISAで投資をするべきか。
その理由の一つは、少し前に話題になった「老後2,000万円問題」にあります。
老後2,000万円問題とは、金融庁の報告書で「老後の20~30年間で約1,300万円~2,000万円が不足する」という試算が含まれていて議論になった件。
もちろん、人によって必要な老後資金は異なりますが、
このニュースによって危機感を覚えている方も少なくないのではないでしょうか?
そんな深刻な問題に対する解決の糸口になるのが
「新NISAでの投資」なのです。
なぜ新NISAで投資することによって、老後2,000万円問題の解決につながるのでしょうか?貯金じゃだめなのでしょうか?
そのカギは「複利効果」にあります。
複利効果とは、運用によって得た利益を元本にして、さらに利益が付くことです。
たとえば、100万円をとある銘柄に一括投資し、毎年10%の利回りで運用することができたと仮定します。100万円の10%なので、運用益は10万円。トータルで110万円になりますよね。
ではこのまま運用した場合、2年目はトータルいくらになるでしょうか。
「また10万円の利益が出るから120万円?」
そう思われるかもしれませんが、不正解です。
答えは、「121万円」。
なぜなら、2年目は100万円の10%ではなく、1年目に出た運用益10万円を足した「110万円」に対してさらに10%の運用益が付くからです。
そしてこのまま運用し続けると、3年目には「133万円」、4年目には「146万円」と雪だるま式に利益が増えていきます。
このように、運用によって得た利益を再投資することで利益が雪だるま式に増えていくことを「複利効果」と呼びます。
しかも、上記で示したのは「1年目に一括投資をし、2年目以降は追加投資をしない」というパターン。
それだけでも複利効果でこのように増えていくので、2年目以降もコツコツと毎年投資を続けていればさらに大きな複利効果を期待することができます。
たとえば、現実的な数字で考えるとして、一ヶ月あたり5万円を毎月つみたて投資し、年率4%の利回りで運用することができたとします。
この計算だと、2年目には124万7千円、4年目には259万8千円となります。
そしてそのまま20年間コツコツと運用を続けていった場合、トータルでいくらになるでしょうか?
答えは「1,833万9千円」!!
老後2,000万円問題がほぼ解決する金額に達しましたね。
ちなみに、貯金だけで同じ金額をコツコツと貯めた場合、トータルで得られるのは1,200万円。
つまり投資の場合は633万9千円もの運用益が得られるということになります。
NISA制度を使わずに投資した場合、この運用益の20%を税金で持っていかれてしまいますが、新NISAでは「非課税で」ゲットすることができるということで、老後2,000万円問題の解決の糸口になると言われているんです。
NISA口座はどこで開設すればいい?
さて、ここまで新NISAについて詳しく解説させていただきました。
新NISAの魅力を知り、早速はじめたい!と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
新NISAをはじめるうえで非常に重要なのが、「どの機関で開設するべきか」ということ。
この選択によって未来は大きく変わってしまう可能性があるので、「なんとなく」では決めないようにしてください。
NISA口座は1人1口座しか開設できないので、慎重に選んでくださいね。
まず、NISA口座を開設することができるのは「銀行」と「証券会社」です。
地方銀行、メガバンク、ネット銀行、ネット証券など様々なところでNISA口座を開設することができます。
「よし。普段使っている銀行があるから、早速NISAの開設について相談してこよう♡」
と思われた方、ちょっとお待ちください!!
メガバンクや地方銀行などの「対面型」の銀行や証券会社は、たしかにプロに相談できるので安心ですよね。
ただ同時に、大きなデメリットも存在します。
それは、手数料の高さ。
基本的に対面型の銀行や証券会社は取り扱っている銘柄数が少なく、販売している銘柄も手数料が割高な傾向にあります。
先ほどの複利効果でもご理解いただいた通り、投資においては「ほんの数パーセントの差」が将来の結果に大きく影響してしまいます。
利回り4%で運用できたとしても、保有するための手数料で1%かかってしまった場合、それは利回り3%で運用するということになってしまいます。
たったの1%の差で、将来期待できる運用益も大きく変わってきてしまうのです。
では結局、どこでNISA口座を開設すればいいのか?
おすすめは、「ネット証券」です。
ネット証券の場合、対面型と異なり人件費が低い分、手数料もかなり低い傾向があります。
特におすすめなのは、「楽天証券」と「SBI証券」です。
「MoneyFix」を運営するウェブクルーが実施した「NISAに関するアンケート」*によると、「現在NISAで利用している金融機関を教えてください」という質問に対して、
1位が楽天証券(45.1%)、2位がSBI証券(42.3%)という結果に。
約9割近くの人が楽天証券かSBI証券のいずれかで開設していることが明らかになりました。
どこでNISA口座を開設すべきか迷った方は、「楽天証券」か「SBI証券」を選んでおけば間違いはないでしょう。
楽天のクレジットカードをお持ちの方は楽天証券に、三井住友カードをお持ちの方はSBI証券にしておくと、ポイントも貯まりやすいのでおすすめですよ。
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【調査会社】ウェブクルー
【調査期間】2023年11月20日(月)~2023年11月26日(日)
【調査方法】MoneyFixのLINE公式アカウントでのアンケート
【調査人数】NISA利用者:923人/NISA非利用者:855人
まとめ
本日は、今話題の新NISAについて解説を行いました。
どういう制度なのかイマイチよく分からない・・・という方のご参考になりましたら幸いです。
新NISAは老後の資金問題を解決する上で大きな追い風となってくれる優良な制度なので、ぜひ活用してみてくださいね。