iDeCoのシステムをわかりやすく解説!メリット・デメリットを知っておこう

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iDeCoのシステムをわかりやすく解説!メリット・デメリットを知っておこう

「人生100年時代」が到来し、世界有数の長寿国と言われている日本。現在65歳以上の方の平均余命は、男性が19.85年、女性が24.73年(「令和3年簡易生命表」厚生労働省)となっており、多くの方は、65歳以降の年金生活が約20年続きます。

 

しかし、厚生年金の支給開始年齢は、制度が発足された昭和17年当初は55歳でしたが、累次の改正により65歳に向けて徐々に引き上げが行われ、今では65歳からに。今後も、今の制度が続くとは限らないのが現状です。

 

そこで、「より豊かな老後生活を送るために、税制上のメリットを受けながら自分で資産形成を行って下さいね」と始まったのが、個人型確定拠出年金の「iDeCo」。この記事では、iDeCoの概要と、そのメリットやデメリットなどを詳しくお伝えします

iDeCoってどんなシステム?その仕組みとメリット・デメリット

iDeCoってどんなシステム?その仕組みとメリット・デメリット

税制上の優遇を受けられるiDeCo。その仕組みをメリットとデメリットと合わせてご紹介します。

メリット1 掛金全額が「税額控除」される

掛けた金額が全額「税額控除」になります。拠出した掛金の年間の総額を所得から差し引けるため、所得税と住民税が軽減され、大きな節税効果が得られます。

メリット2 運用益が全て非課税になる

預貯金の利息や投資信託の運用益には、20.315%の税金が課せられますが、iDeCoを利用すると得られた運用益に対して一切の税金が掛かりません。本来ならば税金として差し引かれていたはずの資金も運用に充てられるので、有利な運用が可能です。

メリット3 受け取り時も、一定額が非課税になる

iDeCoで築いた資産は、60〜75歳で受け取りますが、年金として分割で受け取る際には「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。

デメリット1 資産が減る可能性がある

投資信託で運用を行う場合には、運用の状況により資産が減る可能性があります。

デメリット2 原則60歳まで資産の引き出しができない

iDeCoは老後資産を築くことを目的とした制度なので、原則として、途中で資産を換金して引き出すことは出来ません。

デメリット3 さまざまな手数料が掛かる

iDeCoには、加入時・移換時の手数料や、口座管理手数料、給付事務手数料、還付事務手数料などの各種手数料が掛かります。また、投資信託を選択した場合には、信託報酬も発生します。

iDeCoの加入条件とは?

iDeCoの加入条件とは?

基本的に20歳から65歳未満の全ての方が加入対象となりますが、条件が定められているので、くわしく見てみましょう。

加入資格① 国民年金の第1号被保険者

20歳以上65歳未満の自営業者とその家族、フリーランスや学生などが加入対象となります。国民年金の第1号被保険者でも、農業年金の被保険者と、国民年金の保険料を免除・一部免除されている方は加入できません。ただし、障害基礎年金を受給されている方などは加入することができます。

加入資格② 国民年金の第2号被保険者

厚生年金の被保険者である会社員や公務員の方も加入ができますが、iDeCoの拠出限度額は、「職場の年金制度に応じた限度額以内」で、「企業型確定拠出年金の掛金とiDeCoの掛金の合計が、企業型確定拠出年金の限度額以内」という決まりがあります。

 

ただし、企業型確定拠出年金に加入者本人が掛金の上乗せを行う「マッチング拠出」をしている場合、iDeCoに加入することができません

加入資格③ 国民年金の第3号被保険者

厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上65歳未満の配偶者も加入できます。

加入資格④ 国民年金の任意加入被保険者

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない60歳以上65歳未満で、国民年金に任意加入している方、並びに海外居住でも国民年金に任意加入している方も、iDeCoに加入することができます。

掛金の限度額は?いくらから始められる?

前述した加入資格により、掛金の払い込み限度額が定められています。掛金はいくらから始められるのかなどを、こちらで確認してみましょう。

掛金の限度額

一番多く拠出できるのは、第1号被保険者・任意加入被保険者である自営業者の方などで、月額6.8万円まで。第2号被保険者である会社員や公務員の方は、月額1.2万円〜月額2.3万円までと、掛金に差があります。会社に企業年金が無い場合は、月額2.3万円までとなりますが、企業型確定拠出年金のみに加入している会社員は月額2.0万円までとなります。

 

また、確定給付企業年金や厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教員共済(以下、DB)と企業型確定拠出年金に加入している会社員、並びにDBのみに加入している会社員・公務員の方は、月額1.2万円までと設定されています。

 

第3号被保険者である専業主婦(夫)などは、月額2.3万円まで掛けることが可能です。

掛金は月々5,000円から。1,000円単位で掛金設定ができる

掛金は月々5,000円から自分に無理の無い範囲で、限度額まで1,000円単位で自由に設定ができます。

 

また、毎月定額で掛金を支払うのではなく、掛金の拠出を1年単位で考え、年に1回以上、加入者が任意に定めた月にまとめて掛金を支払う「年単位拠出」をすることも可能です。

iDeCoの運用方法と、運営管理機関の選択ポイントとは?

運営管理機関である金融機関を決めて、商品を選び、自分で運用するiDeCo。2022年10月現在、iDeCoの口座が開設できる機関は、銀行や証券会社、保険会社など200社以上になります。

 

iDeCoは1人1口座しか開設できないので、運用商品の数の多さや運営管理手数料の低さなどを比較・検討してから、口座を開設しましょう。

iDeCoの運用商品は「元本確保型」と「価格変動型」の2種類

元本確保型とは、満期まで保有すれば元本割れをしない「定期預金」や「保険」のことを指します。

 

安全・確実に運用ができますが、低金利の状況だと資産が増やせないという点がデメリットになります。定期預金はいつ解約しても元本割れしませんが、保険の場合は、満期を迎える前に運用商品の変更を行った場合、解約控除金が差し引かれます。

 

一方、価格変動型とは、元本が運用により変動する商品になり、投資信託がこれに当たります。投資信託は、ファンドマネージャーという運用のプロが資金を分散投資して、収益を増やしていく方法です。運用成績がいいと元本確保型よりも高い収益が見込めますが、運用がうまくいかない場合は元本割れをするというリスクがあります。

まとめ

まとめ

iDeCoとは、税制上のメリットを享受しながら自分で資産形成を行える仕組みであることが分かりました。税金の優遇は多くても、手数料が掛かる、引き出しが60歳まで行えないといった制約もあります。

 

iDeCoを始める際には、くれぐれも余剰資金で行うことが大切です。心穏やかな老後を送るために、iDeCo等の税制優遇が受けられる制度を利用して、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

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