血糖値の低下に効果的なイヌリンとは?効果や摂り方について紹介
「腸内環境を改善するためには食物繊維が欠かせない」と聞いたことがある人は多いはず。数多くある食物繊維の中で特に注目を集めているのが「イヌリン」です。イヌリンにはどのような効果があり、どんな食べ物に含まれているのでしょうか?
この記事ではイヌリンの働きや多く含まれている食品、効果的な摂り方についてご紹介します。
イヌリンとは?
イヌリンとは、キクイモやニラ、ごぼうなどの植物に含まれる糖質の一種で、水溶性食物繊維に分類されます。イヌリンは食べてもほとんど消化されずに腸まで届くのが特徴です。腸に到達すると腸内の酵素と反応してジェル状に変化し、腸の中に残ったゴミをキャッチして体の外に排出してくれる効果があります。さまざまな健康効果が期待されており、サプリメントやダイエット食品などに多く利用されています。
イヌリンの働き
続いては、イヌリンの働きについて見ていきましょう。
血糖値の急上昇を抑制
イヌリンは水に溶けるとゼリー状になってゆっくりと胃と腸を移動するため、糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。その結果、血糖値の急上昇を防ぐことができるのです。
また、イヌリンは腸の善玉菌のエサになります。腸内細菌はイヌリンを食べて短鎖脂肪酸という物質を作り出します。短鎖脂肪酸は腸内を刺激して、血糖値を下げる働きがあるホルモン「インスリン」の合成を活発にしてくれるのです。そのため、イヌリンは糖尿病の予防にも効果が期待できます。
腸内環境の改善
腸には体に良い影響を与える「善玉菌」と腐敗物質を作り出す「悪玉菌」、どちらにも属さない「日和見菌」が存在しています。悪玉菌が増えて腸内細菌のバランスが崩れると、肌荒れや便秘、免疫力の低下などさまざまな悪影響を及ぼします。
イヌリンは消化されずに大腸まで届いてビフィズス菌(善玉菌)のエサになり、悪玉菌の増殖を抑えてくれるのです。イヌリンを摂ることで腸内環境が良好になり、便秘や下痢の予防、美肌などが期待できます。
ダイエット効果
イヌリンはダイエット効果も期待できます。イヌリンを摂取することで合成される短鎖脂肪酸は、食欲をコントロールするホルモンの分泌を調整する働きがあります。ある実験では1日に16mgのイヌリンを飲んだ被験者は、飲んでない人に比べて食欲が減少し、実際の食事量も減っていたという結果が報告されました。
食欲をコントロールして摂取カロリーが抑えられれば、無理なくダイエットができます。
イヌリンを含む食べ物
ここではイヌリンを含む食べ物をご紹介します。
ごぼう
キクイモとごぼうは同じキク科の植物で、ごぼうには100gあたり3.5~4gのイヌリンが含まれています。水溶性食物繊維であるイヌリンと不溶性食物繊維のリグニン、どちらも豊富に含んでいるのがごぼうの特徴です。腸内環境を良くするためには食物繊維をバランスよく摂ることが大切であるため、ごぼうを日々の食事に取り入れましょう。
たまねぎ
たまねぎには100gあたり2~6gのイヌリンが含まれています。その他にも、血液サラサラ効果があるアリシンや、アンチエイジング効果が期待できるケルセチンなども豊富です。丸ごとスープにしたり、炒め物に使ったりするのがおすすめです。
なお、たまねぎは切ってから15分以上空気にさらすと栄養がアップします。加熱する調理でも15分以上おいてから使いましょう。
ニラ
特有の強い香りが食欲をそそるニラにもイヌリンが含まれています。ニラにはイヌリン以外にも皮膚の健康維持に役立つβカロテンや冷え性や疲労回復に効果があるアリシン、老化やシミを防ぐビタミンEなども豊富です。
イヌリンの効果的な摂り方
最後に、イヌリンの効果的な摂り方についてご紹介します。
あく抜きはほどほどに
イヌリンは水に溶けやすい成分なので、長く水に漬けておくと流れ出てしまいます。キクイモやごぼうを調理する際、あく抜きのために水にさらす人も多いと思いますが、長時間のあく抜きはNG。あくが気になる場合は短時間でサッと終わらせましょう。
また、茹でるとイヌリンが流出してしまうので注意が必要です。茹でる場合はスープや味噌汁にして、汁ごと飲むようにしましょう。
朝に食べるのがおすすめ
イヌリンを含む食べ物は、朝に食べるのがおすすめです。朝にイヌリンのような水溶性植物繊維を摂ると、昼食後や夕食後も血糖値の上昇を抑えられるといわれています。
実際に30名の男女を集めて行った実験では、半数の15名に朝食時にキクイモパウダーを、残りの15名には夕食時にキクイモパウダーを飲んでもらいました。1週間続けた結果、朝食時にキクイモパウダーを飲んだグループは便秘が改善し、朝食後、昼食後、夕食後の血糖値の上昇が緩やかになっていました。
朝は忙しくて時間がないという場合は、夜のうちにキクイモのサラダやきんぴらごぼう、たまねぎスープなどを準備しておいて朝食にするといいでしょう。
まとめ
イヌリンはキクイモやごぼう、たまねぎなどに多く含まれている水溶性食物繊維です。血糖値の上昇を緩やかにする効果や腸内環境を整える効果、ダイエット効果が期待できるとして注目が集まっています。イヌリンを含む食べ物を毎日の食事に取り入れて、健康的な体を手に入れましょう。