【薬剤師執筆】食後の眠気をシャットアウト!今日からできる対策
食事の後、ふとした瞬間にやってくるあの眠気……。
抗えないほどの眠気は、仕事や家事の大敵となりますよね。
今回は、そんな食後に襲ってくる眠気のメカニズムや眠気を解消するための効果的な対策法について解説していきたいと思います。
食後の眠気のメカニズム
食後の眠気は、「血糖値が急激に変動すること」や「脳への血流が一時的に減少すること」などが原因です。
食事の中に含まれる糖質は、血糖値を上昇させる作用があります。
上昇した血糖値を元に戻すためには、血糖値を下げるインスリンの分泌が必要です。
もし、糖質の多い食事を一気に摂った場合、血糖値は急激に上昇します。
そうすると、今度は血糖値を元に戻すために大量のインスリンが必要となりますが、このインスリンが大量に分泌されると血糖値が急激に下がり、日常生活を妨げるような眠気や倦怠感が引き起こされるのです。
また、食後には消化器官が活発に動きます。
食べ物を分解し、栄養素を吸収するために血流が消化器官に集まるのです。
結果として、ほかの部分への血液が減少し、脳への血流も減ります。
こうして、脳の機能が低下することも眠気を感じる原因のひとつです。
食後の眠気のチェックリスト
それでは、あなた自身に食後の眠気を引き起こしやすい習慣があるかどうか、セルフチェックをしてみましょう。
普段の習慣にあてはまる場合は、食後の眠気を引き起こしやすい状態になっているといえます。
1.食事内容が重め
脂っこく重たい食事は、消化に時間がかかります。
血流が消化器官に集中しやすくなるため、重めの食事は眠気を引き起こしやすくなる原因のひとつです。
2.糖質の摂りすぎ
甘いデザートやスナックを過剰に摂取すると血糖値が急激に上昇しやすくなり、それが血糖値の急降下につながるため、眠気を感じやすくなります。
3.運動不足
デスクワーク中心で食後にカラダを動かさないと血糖値が急激に上昇しやすくなり、そのあとの血糖値の急降下と同時に眠気が襲ってきます。
4.食物繊維の不足
野菜や穀物など食物繊維を摂る習慣がない場合、血糖値が急激に上昇する可能性があります。
食物繊維は、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるためです。
ただし、食物繊維を摂っていても、食事の際に一番初めに白米やパンなどの糖質を摂ってしまっている場合には、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
5.早食い
急いで食べると、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
仕事や家事で食事の時間があまり取れず、白米や菓子パンといった糖質の多い食品を早食いする習慣があるという方は注意が必要です。
食後の眠気を防ぐ方法
それでは、食後の眠気を防ぐためには、どのような対策をすればいいのでしょうか。
1.油っぽくない食事を心掛ける
油っぽい食事を控えめにすることで、消化の負担を軽減することができます。
食後の眠気を避けたい日には、揚げ物や炒め物ではなく、茹でたり蒸したりなどの油を使っていない料理を選びましょう。
2.糖質を控えめにする
糖質を控えめにすることで、急激な血糖値の変動を防げます。
白米や菓子パンなど糖質の多い主食を控えめにしたり、糖質の多い食後のデザートは控えましょう。
3.食後に少しでも動く
食後に少しでも動くことで血糖値の急上昇を防げます。
ただし、無理して動くと逆に消化器官に負担をかけることにつながってしまうため、5分だけ歩く、階段を使うなどして少しだけ動く習慣をつけるようにしましょう。
4.食物繊維を摂る
野菜や穀物など食物繊維が豊富な食材は、血糖値の上昇をゆるやかにします。
サラダを先に食べたり、主食の白米を食物繊維が豊富な玄米に変更したりなど工夫をして、血糖値の急上昇を防ぎましょう。
5.よく噛んで食べる
よく噛んで食べることは、インスリンの分泌を促します。
血糖値が上がる前からインスリンを分泌させることができるため、急激に血糖値が上昇することを防ぐのに効果的です。
漢方薬での食後の眠気対策
食後の眠気対策には、漢方薬の活用もおすすめです。
食後に眠気が起こる原因としては、
「血糖値の急激な変動」
「脳やカラダへの血液の供給不足」
「胃腸の働きが弱くなっている」
などが挙げられます。
そのため、消化吸収の機能を回復し、脳やカラダに酸素や栄養を届ける手助けをする漢方薬を選ぶことで、食後の眠気の改善にアプローチすることができるでしょう。
また、自然由来の治療薬である漢方薬は、一般的に副作用が少ないとされています。
ひとつの症状に強い効果を発揮する西洋薬とは違い、体質の根本的な改善を行うことを目的としているため、日中に眠気を感じにくい体質を目指すこともできます。
<食後の眠気対策におすすめの漢方薬>
●補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の調子を整えて倦怠感を改善します。
だるくて疲れやすく、食欲が落ちたり、胃腸の働きが弱ったりしている人におすすめです。
●六君子湯(りっくんしとう)
胃にたまった余分な水分を排出することで、胃腸を温めて胃腸の機能を改善します。
ついつい食べすぎてしまう人だけでなく、もともと胃が弱く、食欲がなくて疲れやすい人にもおすすめです。
漢方薬は、カラダの状態や体質に合わせて、個人に合うものを使う必要があります。
合っていないと効果が得られないだけでなく、かえって症状が悪くなったように感じたり、副作用が強く出たりする可能性もあるためです。
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この記事を書いた人
あんしん漢方薬剤師
藤田 佑莉(ふじた ゆうり)
北里大学卒業後、産婦人科門前の調剤薬局で働く中で、女性特有の不調に悩んでいる方が多いと実感。
漢方薬による根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方をお手頃価格で提供する「あんしん漢方」で薬剤師としてサポートを行う。