【医師監修】抗酸化食品だけではダメ?!若さをつかさどる「SOD」とは
突然ですが、「活性酸素」ってご存知ですか?
活性酸素とは、私たちの体内に存在する物質。
増えすぎると私たちのお肌や体にダメージを与え、老化させてしまいます。
いわば美容の大敵です。
最近は健康番組などでも取り上げられることが多くなってきたので、「あ、聞いたことある!」という方も多いかもしれませんね。
そのとき対処法としてよく言われるのが「活性酸素を除去する栄養を取りましょう!」ということ。
レモンに含まれるビタミンCやアーモンドに含まれるビタミンEなどがいい、というのは有名ですよね。
でもちょっと待って!
あまり知られていませんが、ビタミンCやビタミンEだけでは本当の意味で活性酸素の害に打ち勝つことはできないのをご存知でしたか?
では一体、どうすればいいのでしょうか…?
「活性酸素」と「酸化」ってなに?
そもそも、活性酸素ってそもそもナニモノなんでしょうか?
まずはそのことについてご説明したいと思います。
私たち人間は、みんな空気を吸って生きていますよね。
酸素がないと、私たちは生きていくことができません。
しかし、私たちが呼吸によって吸った酸素のうち、数パーセントが「活性酸素」というものに変化してしまうのです。
活性酸素は非常に反応性の強い物質で、「まわりのものを酸化させてしまう」という恐ろしい特徴があります。
つまり、「活性」とは酸化する力のことを言います。
酸化とは簡単に言うと「サビ」。
鉄は時間が経つと、赤茶色くサビてボロボロになっていきますよね?
あれと同じことが、体内でも起こっているのです。
体の中で増えすぎた活性酸素がお肌や体をどんどん酸化させ、老化させたり、体をもろくしてしまったりするのです。
具体的には、皮膚ではしわ、しみ、たるみ、ほうれい線、肌荒れなどができやすくなったり、健康面では病気になりやすくなってしまいます。
抗酸化食品だけでは不十分?
ここでよく紹介されるのが「抗酸化物質」。
抗酸化物質とは、
活性酸素を除去して、お肌や体が酸化するのをくいとめてくれる物質のこと。
たとえば、
・レモンに含まれる「ビタミンC」
・かぼちゃに含まれる「βカロテン」
・アーモンドに含まれる「ビタミンE」
などがその典型です。
これらは抗酸化物質と言われており、活性酸素を打ち消す効果があると言われています。
もちろん、これらは酸化から体を守る上で欠かせない栄養素たちですし、エイジングケアをする上でまず第一に摂取したいものです。
しかし、「これらの栄養素だけでは、お肌を酸化から守ることはできない」と言われたら、あなたはどうしますか?
「え?!そんな話、聞いてないよ・・・!」
とびっくりしてしまうのではないでしょうか。
そう、実はこれらの抗酸化物質には、大きな「落とし穴」があったのです。
活性酸素には4種類ある
体内で発生してしまう「活性酸素」には、主に4つの種類に分けられます。
スーパーオキシド
過酸化水素
ヒドロキシラジカル
一重項酸素
という4つです。
なんだか呪文のように聞こえてしまいますね。
私たちの体内では、これら4つの活性酸素が常に発生しています。
酸化を防いで美肌や健康を保つためには、これらすべての活性酸素を退治する必要があります。
そこで登場するのがビタミンCなどの「抗酸化物質」なのですが、ここに大きな落とし穴があります。
実は、特定の抗酸化物質が退治できる活性酸素は決まっているのです。
具体的に言うと、
・ビタミンB2やカタラーゼなどの酵素 →「過酸化水素」を消去する
・ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール等 →「ヒドロキシラジカル」を消去する
・ βカロテンやリコピンなどのカロテノイド色素 →「一重項酸素」を消去する
このように、活性酸素とそれに対応する抗酸化物質はある程度決まっています。
ここで、ひとつ気づくことがありますね。
「スーパーオキシド」は、どんな抗酸化物質が消してくれるのでしょうか?
スーパーオキシドを消去する「SOD酵素」
スーパーオキシドは、体内でもっとも多く発生している活性酸素です。
過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素の3種類を消したとしても、スーパーオキシドが残っていたら体はどんどん酸化してしまいます。
それじゃあ大変!
美肌と健康のためには、なんとしてもスーパーオキシドを消去しなければなりません。
そこで登場するのが「SOD」と呼ばれる酵素。
SODとは「Superoxide Dismutase(スーパーオキシドディスムターゼ)」の略称です。
日本語に訳すと「スーパーオキシド不均化酵素」といったところです。
SODはその名の通り、スーパーオキシドを消去するための酵素で、体内で次から次へと発生するスーパーオキシドをやっつけてくれるのです。
そのパワーは非常に強力で、1秒間になんと10億個ものスーパーオキシドを分解すると言われています。
SODは食事からは摂れない?
1秒間に10億個なんてすごいですよね?!
そうなると気になってくるのが「いったいどんな食べ物にSODは含まれるの?」ということ。
SODさえあれば体内の酸化を強力に抑えることができるし、エイジングケアや健康に一役買ってくれること間違いなしです。
せっかくならSODを含む食品をいっぱい食べたいですよね。
しかし、ここで残念なお知らせがあります。
SODは、食べ物から摂取することはできないのです・・・。
野菜や果物の中にはSODによく似た抗酸化作用をもつ物質「SOD様成分」を含んでいるものがあります。
そんな物質が含まれている食品としては、明日葉(アシタバ)やルイボスが代表的な存在ですが、それらを日常的に摂取するのはなかなか難しいのが現実です。
SODは「体内酵素」
SODは食べ物などによって摂取するものではなく、私たちの「体内で作られる酵素」です。
私たちの細胞ひとつひとつのなかに存在する「ミトコンドリア」によってSODは作られています。
活性酸素が発生するたびに、SODも同じくらい作られます。
そうすることで、体が酸化してしまわないようにバランスをとってくれているのです。
SODは活性酸素を酸素と過酸化水素に分解し中和します。
そして、SODによって分解されて生じた過酸化水素は、さらにカタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼによって酸素と水に分解され、無害化されます。
つまり、体内でSODが産生されれば、細胞を若く元気な状態に保つことができます。
年齢を重ねるごとにSODは減少する
SODが自動的に作られるからといって、安心してはいけません。
SODは人の体にもともとある成分ですが、一生のうちに体内で作ることができるSODの量には限りがあると考えられています。
また、年齢を重ねるごとに、体内のSODの産出量は減少していってしまいます。
だいたい、25歳を超えると下降が始まり、40歳を過ぎるとガクっと急速に低下していきます。
さらに、生成されたSODの活動力自体も弱まってしまうことも明らかになっています。
そしてこのSODの量的および質的な減少・低下こそが、さまざまな老化現象や、病気の最大の原因(ガン、動脈硬化、糖尿病、高血圧など)となるのです。