【現役医師監修】一般人も歯が命!口内を清潔に保つデンタルフロスの種類と使い方
みなさんは普段の歯磨きに「デンタルフロス」を使っていますか?
歯ブラシに歯磨き粉を付けて磨いている人は多いですが、デンタルフロスを使っている人は半分に満たないといわれています。
日本では、なかなかデンタルフロスが浸透していない状態ですが、海外では普段の歯磨きにデンタルフロスを使うのは非常に一般的で、歯のケアに関する意識が高いといわれています。
さらに、日本人で口臭を気にする人が多いというのも、実はこの歯の磨き方からきているのではないかとの見方もあります。
みなさんは、正しい歯磨きができていますか?
なぜ、デンタルフロスを使うの?
「デンタルフロス」とは、絹糸や合成繊維などの繊維を用いた歯間の歯垢や食片を除去し清掃するための細い糸のことです。
このほかにも、同じ用途で使用するものとして、歯間ブラシなどがあります。
このデンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯ブラシのブラッシングだけでは落としきれなかったブラークと呼ばれる歯垢や食べかすまで落とすことができます。
SUNSTAR(サンスター)公式HPによると、歯ブラシでのブラッシングのみの場合、歯間部のプラークは61%しか落とせておらず、39%のプラークはそのまま歯に蓄積していくことが分かっています。
この落としきれなかったプラークや食べかすが、虫歯や歯周病などのお口のトラブルにつながってしまうのです。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシをするかしないかは、後の歯の健康状態にも大きな影響を及ぼすことになるのです。
このほかにも、さまざまなメリットがあります。
●虫歯の予防
●歯周病の予防
●初期の虫歯や歯周病などの早期発見
●口臭予防
●補綴物のチェックが可能
虫歯の予防と歯周病の予防は、先ほど説明した通りです。
初期の虫歯や歯周病などの早期発見は、歯間の状態も知ることができるので、フロスを行った際のザラザラ感や引っかかり、痛みなどから歯の異常を知ることができます。
歯の異常を感じたら、悪化する前に歯科を受診することをおすすめします。
また、口臭予防にもつながります。
食べかすがニオイを発することもありますが、食べかすが口内で発酵したことでキツイニオイを発してしまうこともあります。
さらに、歯垢にも雑菌が繁殖しやすく、ニオイの原因になりやすいです。
しっかりと食べかすや汚れを落として、口内環境を整えましょう。
さらに、補綴物の状態をチェックすることができます。
歯の詰め物や被せ物なども、時間が経つにつれて劣化していきます。
気がついたら菌が繁殖していたり、取れかかっていることもあります。
このような不具合がないかどうかをチャックするためにも、デンタルフロスは欠かせません。
目ではっきりと見えるような隙間ではないので、こうした道具を使いながら、定期的に確認する必要があります。
このように、デンタルフロスを使うことで口内環境を整えたり、チャックを行うことでメンテナンスにもつながります。
毎日使う歯だからこそ、歯と歯の間までしっかりと磨いていきましょう!
デンタルフロスや歯間ブラシの種類
デンタルフロスにはいくつかの種類があります。
ここではその種類ごとの特徴と、使い方について詳しく見ていきたいと思います。
デンタルフロスの種類
まずはデンタルフロスからご紹介します。
デンタルフロスは主に3種類に分けられます。
糸巻き(ホール)型
上の写真のような「糸巻き(ホール)型」があり、フロスを糸巻き状にしたもので、使う分だけフロスを伸ばして、刃の部分で切って使います。
①フロスを約40cm程(指先からひじまで)の長さに切る
②フロスの片側を左手中指に2~3回巻きつける
③さらに両手の間隔が10~15cmになるように右手中指に残りの部分をはずれないように巻きつける
※女性は10cmくらい
④両手の親指と人差し指でつまんでピンとはります。このとき指の間は、1~2cmはなす
※短めにもって、ピンとはる
⑤片方の手の指を歯の外側に、もう片方の指は歯の内側に入れる
⑥歯と歯の間に斜めにスライドさせながら、前後にゆっくり動かし、一度歯茎の下あたりまでゆっくりと引き下げる
⑦フロスを歯にひっかけるようにして、上下に数回動かし、歯の側面を清掃する
同じことを隣の歯の側面でも行う
⑧挿入と逆になるよう、ゆっくりと抜く
※もしうまく抜けない場合は、片方の指からフロスをはずして、ゆっくりと前から引き抜く
⑨使用した部分をずらして、新しい部分で同じ操作を繰り返す
(SUNSTAR(サンスター)公式HPデンタルフロスの使い方より)
これを何度か繰り替えして、すべての歯の間をきれいにしていきます。
持ち方は、上の前歯や奥歯、下の歯などによって変えることで無理なく行うことができます。
ホルダー型
「ホルダー型」とは、専用の柄にフロスがついているタイプのもので、初めての人でも使いやすい形状かと思います。
このホルダー型ブラシの中でも、Y字型とF字型に分かれています。
写真の左上にあるのが「Y字型」で、右下にあるのが「F字型」です。
Y字型は主に上の前歯、奥歯に使いやすくできており、F字型は下の前歯に使いやすくできています。
①鏡で確認しながら歯と歯の間にデンタルフロスの糸の部分を当てる
②ゆっくりと小さくノコギリを引くようにしながら入れる
③中まで入ったら、歯の面に沿わせて上下に動かしながら前と奥の歯の両方の面のプラークを取り除く
④ゆっくりと小さく動かしながら取り出す
※勢いよく出し入れしたり、力任せに行うと歯茎を傷つけてしまうので注意が必要です。
(ライオン歯科衛生研究所HPデンタルフロスの使い方より)
歯間ブラシの種類
続いて歯間ブラシをご紹介します。
歯間ブラシは主に4種類に分けられます。
L字型の歯間ブラシ
まずは、「L字型の歯間ブラシ」です。
先の部分が直感に曲がっており、歯間全体に使うことができますが、特に奥歯に届きやすく、初めての人でも比較的使いやすい形状です。
このL字型のブラシは素材によってさらに2種類に分けられます。
ナイロン製とゴム製です。
ゴム製に比べるとナイロン製の方が、歯垢除去力が高く、様々なサイズがあります。
歯間が狭かったり、磨きにくい箇所がある人はナイロン製の方がうまく磨けるかもしれません。
ストレート型の歯間ブラシ
続いては、「ストレート型の歯間ブラシ」です。
写真の中央の黄色い歯間ブラシがナイロン製、右下の白と青色の歯間ブラシがゴム製となります。
どちらも先の真っ直ぐと下ストレート型ですが、L字型と同様に素材に違いがあり、2種類に分けられます。
ストレート型は主に、前歯などに使いやすくなっています。また、初めての人でも使いやすいものです。
さらに、こちらもゴム製に比べるとナイロン製の方が、歯垢除去力が高く、様々なサイズがあります。
①必ず鏡を見ながら使う
②歯間ブラシを鉛筆を持つように持つと、操作しやすくなる
③歯肉を傷つけないように、ゆっくりと斜めに挿入する
④歯間ブラシを水平にして、歯面に沿わせて2~3回往復させて清掃する
⑤奥歯は内側と外側からの両方向から使うと効果的
⑥歯間ブラシを隣りあった前後の歯の片方の面ごとに軽く当て清掃する
⑦使用後は流水でよくよごれを落とし、風通しの良いところで保管する
(ライオン歯科衛生研究所HP歯間ブラシの使い方より)
また、これまで紹介した形状以外にも、フロスの糸の部分が工夫されているものもあります。
〇ワックス付き
→歯と歯の間に入れやすいように、ワックスで滑りを良くしています。
〇エックスバンドタイプ
→だ液や摩擦によって繊維が膨らむもので、より広範囲の歯垢除去が可能です。
〇フッ素加工
→むし歯予防に効果があるフッ化物を繊維に染み込ませています。
以上ようにフロスにもさまざまな種類があるので、目的に合わせて選んでみてください。
デンタルフロス・歯間ブラシの注意点
デンタルフロスと歯間ブラシについて分かったところで、これらを使って歯を磨くときの注意点についてご紹介します。
デンタルフロスや歯間ブラシは、使い方でも説明しているように強引に行ってはいけません。
歯肉などを傷つけてしまう危険性があるので、ゆっくりと鏡を見ながら行いましょう。
また、歯ブラシでのブラッシングにも注意が必要です。
適当なブラッシング圧は100~200g程度の力だといわれています。
新しく下ろした歯ブラシの毛先が1ヶ月も経たないうちに広がってしまうのは、力の入れすぎの可能性があります。
さらに、持ち方をペングリップのようにする(鉛筆のように持つ)と良いでしょう。
手首を使って軽やかにブラシを動かすと力のコントロールがしやすく、より細やかに磨くことができます。
歯ブラシも、デンタルフロスや歯間ブラシと同じように優しく丁寧に、歯肉を傷つけないことが大切なんですね。
監修医師プロフィール
医療法人社団スタデン理事長
田中 和之 氏
"確かな技術・痛くない・待たせない・丁寧な説明"をポリシーに診療を行う医療法人社団スタデンの理事長。
審美歯科歴17年以上の経験を有し、審美歯科の症例数は5,000件を超えている。
勤務クリニック名:九段下スターデンタル
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