「こじらせ女子」を脱するための本当に正しい方法とは
「こじらせ女子」という言葉を聞いたことがありますか?
流行語大賞にもノミネートされたことで、一躍話題になりましたよね。
こじらせ女子の一般的な定義としては、以下の通り。
(1)いわゆる「かわいい女子」像に自分を当てはめることに抵抗がある女子
(2)「女らしさ」を受け入れることができない女子
(3)そういった女の子らしい人を嫌い、拒絶したりする女子
「あれ、それってもしかして私のこと・・・?」という方も多いかもしれませんね。
ネガティブな意味でつかわれることが多いこじらせ女子ですが、そもそもこじらせ女子ってそんなに悪いことなのでしょうか?
女子は「女らしく」いなければいけないのでしょうか。
本日は、こじらせ女子のタイプと、こじらせ女子の在り方についてジェンダーの観点から見ていきたいと思います。
こじらせ女子って一体なに?
雑誌や恋愛ものの自己啓発本でよくでてくる「こじらせ女子」というワード。
なんとなくで使っている方も多いかもしれませんが、本来の意味をご存知ですか?
まずはその意味をおさらいしてみましょう。
「こじらせ女子」という言葉は、2011年にライターである雨宮まみさんが、『女子をこじらせて』という著書を出したことで有名になりました。
雨宮さんとしては、「いわゆる『かわいい女の子』の中に自分を当てはめられない女子」という意味でこの言葉を使っています。
しかし、こじらせ女子という言葉が流行したことにより、最近はその意味合いが少し多義的になってきました。
現在でいう「こじらせ女子」は、先ほどの意味に加え、
・「女らしさ」を受け入れることができない女子
・女らしくない自分に対して劣等感を覚えている女子
・女らしい人、女らしい服などに対して拒否反応を示す女子
・女らしくないのを、ネタにして自虐してしまう女子
など、さまざまなニュアンスを持っています。
共通しているのは「女らしさ・可愛らしさに抵抗がある」ということです。
「あーいるいる!」「まさに私のことだわ!」
と、いろいろと感じるところがあるかもしれませんね。
ここからは、一般的に「こじらせ女子」と呼ばれる女性の具体的な例を見ていきたいと思います。
こじらせ女子のタイプ(1)ピエロタイプ
これは、「かわいい女子像」に自分を当てはめることができない劣等感を、「自虐」によってごまかしているタイプです。
「ほら、私中身オッサンだからさ~」
「私って女捨ててるからからさ~」
と、「女らしくない自分」というのを、あえてネタにしている女性のことです。
こういった女性は、自分に女らしさがないということを自覚し、ある種の劣等感を感じています。
そして人から見下される前に自分でネタにしてしまうことで、
「私は女らしくないということをちゃんと自覚してますよ。」
「私かわいくないですよね。ちゃんとわかっていますよ。」
ということをアピールすることで、予防線をはります。
予め自虐をすることで、それ以上他人から指摘されたり見下されたりしてしまうのを防いでいます。
こじらせ女子のタイプ(2)個性派タイプ
「かわいい女子」に自分が当てはまらないことによる自信の無さを、「個性」によって誤魔化しているタイプの女性のことです。
モードファッションやサブカルファッションなど、あえて個性的な格好をすることで、
「かわいい女子になれない」という劣等感を隠しています。
なお、本当にそういったファッションが好きでしている方は、こじらせ女子とは言いません。
実際はそういったファッションが好きなわけではないのに、劣等感を隠すためにしている女性が「こじらせ女子」と呼ばれるのかもしれません。
こじらせ女子のタイプ(3)見下しタイプ
劣等感から、いわゆる「かわいい女子」を敵視してしまう女性のことです。
これが一番厄介かもしれませんね。
いわゆる女子らしい格好や言動をしている女性を、
「男に媚びていて恥ずかしい」
「頭悪そう」
などと批判してしまう傾向があります。
こじらせ女子は悪いの?
さて、以上3タイプのこじらせ女子をご紹介しましたが、これらの女性に当てはまる共通点は何かわかりますか?
それは、本人が一番「女性は女らしくあるべき」と考えており、
そして「それに当てはまらない私はダメなんだ」という劣等感を感じているということです。
それが、一番の問題です。
こじらせ女子は、誰よりも女性は女性らしくあるべきと考えてしまっているのです。
個性的なファッションをすることも、自虐をして場の空気を和ますのも、決して悪いことではありません。
自分らしさを大切にできるのも、周りを笑顔にできることも、むしろ素晴らしいことです。
しかし問題なのは、それが「劣等感」からそのような行動をとっているということ。
あなたは自虐ネタで笑いをとっているとき、心から楽しいですか?
その個性的なファッション、本当に好きですか?
もしそれらが、「かわいい女子になることができない劣等感」から生じている行動なら、それはとても不健康なことです。
そして「女は女性らしくあるべき」という考えに誰よりも固執してしまっている、ということに早く気づかなければいけません。
「女らしさ」なんて存在しない
突然ですが、「女らしさ」と聞いて、どのようなイメージが思い浮かびますか?
おしとやか?
かわいい?
か弱い?
一人じゃ生きていけない?
お花が好き?
ピンクが好き?
可愛いものが好き?
男を立てる?
料理が好き?
繊細?
気配りができる?
ビールよりもカシオレが好き?
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、こういった固定観念は、すべて幻想です。
フランスの実存主義者、シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、自身の著書の中で次のように述べています。
女は女に生まれるのではない。女になるのだ。
(On ne naît pas femme:on le devient.)
そう、女性は生まれたときから女性らしいのではありません。
教育や環境によって「女性らしさ」というものを、後天的に植え付けられるのです。
もしあなたが、
「なんで私は女なのに女らしくないんだろう・・・」
「なんでかわいくないんだろう・・・」
と悩んでいるのだとしたら、それはとってもナンセンスなことです。
だって、当たり前なことなのですから。「女性らしさ」というものは、文化によって人為的に作り出されたもの。
もちろん、もともとおしとやかな性格の人や、繊細な人はいるかもしれませんが、
それはたまたまそうなのであって、女性なら必ずしもそうなのではありませんし、そうなるべきというものでもありません。
「女らしくないこと」に対して、劣等感を感じる必要はまったくないのです。
女らしくないと生きづらい?
世界的に見て、性の多様性というものがこれほど重要視されている現代においても、
日本ではいまだに「女性らしさ」の幻想にとらわれている人が多いという現実があります。
こういった環境では、多くの女性が劣等感を感じてしまうのも無理ありません。
あなたが「こじらせている」のは、あなたが悪いのではなく、未だに古いジェンダー観がまかりとおっているのが原因かもしれません。
「女らしい=魅力的」ではない
こじらせ女子を脱するためにまずあなたが心がけるべきことは、「女らしさ」という概念に固執しないということです。
料理が上手なのは、「女らしい」のではなく、ただ「料理が上手」なだけ。
ピンクが好きなのは「女らしい」のではなく、ただ「その色が好き」なだけ。
おしとやかなのは「女らしい」のではなく、ただ「静か」なだけ。
全ての性質を「女らしいかどうか」という色眼鏡でみることをやめましょう。
「こじらせ女子の脱却の仕方」などを調べてみると、
「まずは女性性を受け入れること」などというアドバイスも見かけますが、これは少し時代錯誤かもしれません。
むしろ、「女らしさ」という概念への固執から脱却することが重要です。
こじらせ女子の多くは、
「女らしいというのは、魅力的」
「女らしくない私は、魅力的ではない」
という極端な考えに陥ってしまっています。
しかし、本当の魅力というのは、女らしさで決まるものではありません。
「女らしくないから、愛されない」というのは大きな間違い。
あなたが心から好きなデザインの洋服を着て、
あなたがあなたらしくしているだけで、自然と魅力は湧き出てきます。
「女らしさ」や「女子力」というものは、幻想であるということに気づきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「こじらせ女子」というテーマでお話しをしました。
「こじらせ女子」という言葉が生まれるということ自体、それだけ日本が「女らしさ」にとらわれてしまっているということ。
どちらかというと、この事実に対して危機感を感じるべきです。
日本で生きていると、なかなか「女らしさ」の呪縛から逃れるのは難しいかもしれませんが、
ジェンダーに対して正しい価値観を得ることが、こじらせ女子を脱するうえで最も重要です。