【医師監修】歯の健康は全身に関わる?歯間フロスで口内トラブルを予防しよう

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【医師監修】歯の健康は全身に関わる?歯間フロスで口内トラブルを予防しよう

マスク着用が自由になり、ホワイトニングや口臭対策など、口内ケアを頑張りたいと思っている方が多いのではないでしょうか。しかし毎日しっかり歯磨きをしていても、歯周病や虫歯になってしまうことがあります。なぜ虫歯が出来るのか考えた事が有りますか?虫歯になりやすい体質で済ませるものでは無いので、きちんと疑問や理由を主治医に投げ掛ける様にしましょう。

また最近では、口内の状態が全身の健康に影響することがわかっています。歯とお口の健康を維持するためには、歯間フロスが欠かせません。この記事ではお口の状態が全身に及ぼす影響、歯の健康に歯間フロスが必要な理由や使い方、使用頻度などをご紹介します。

健康はお口のケアから

健康はお口のケアから

お口の中をなるべく清潔に保っておかないと、虫歯、歯周病に罹患し歯を失う事になります。お口の中は分数で表す事ができ、咀嚼筋の力を歯の総体積で分散する様に構成されています。ですから、歯を1歯でも失うと分母が小さくなっていき、やがて次の犠牲が出て徐々に歯を失うスピードが増していきます。悪くなるスピードが遅くなる事は有りません。歯の本数が減少すれば栄養の吸収も低下しますので、結果として健康状態を悪化させます。

ここで言いたい事は、歯を1本でも失わないようにコントロールする事が重要ということです。

その為に身近にできるのは、虫歯を作らない為に、歯垢(磨き残し)を限りなく少ない状態で維持することです。

なぜ歯間フロスが必要なの?得られるメリットとは

なぜ歯間フロスが必要なの?得られるメリットとは

歯ブラシだけでは下記にも記載がある通り、60%しか歯垢を除去出来ません。そこで補助的清掃用具が必要になります。歯間ブラシ(歯間フロス、デンタルフロスを含めます)とフロスがそれにあたります。(他にもありますが、ここでは割愛します。)

基本、歯間フロスでは抵抗感が無く歯垢が除去出来ない部分に歯間ブラシを使用します。私を含めて大半の方々が歯間フロスの適応になるかと思います。

フロスを使用する順序ですが、歯ブラシ→フロスの順が望ましいです。大体の歯垢を除去してから、細かい汚れを取り除きましょう。

 

食事の度に歯ブラシ、フロスが望ましいですが、一番必須なのは、就寝前の歯ブラシ+フロスです。

理由は、自律神経により、就寝時の唾液の性状か変化するからです。口の中がねばつき歯垢が残っていると、歯石が付着し歯周病の原因菌が繁殖し、歯垢が停滞し虫歯にもなりやすくなります。

起きている時はサラサラした唾液が出るので、優先順位は低いですが、毎食後に清掃する事が望まれます。

 

始めは何事も面倒だと感じるかも知れませんが、面倒と感じる事程、重要な事か多いのでは?と最近考えるようになりました。

三日坊主にならないように、どの様に使えば良いか後ほどできる限り分かりやすくご案内出来ればと思います。

 

この章では、しっかりと歯間フロスでケアをすることにより得られるメリットもご紹介します。

歯のトラブル予防につながる

フロスを使用する事で、歯と歯の間が虫歯になっていないか?詰め物に異常が無いかセフルチェックできます。

どういうことかといえば、詰め物・被せ物が入っていれば、必ず歯との継ぎ目があるはずです。

その継ぎ目が合っていなければフロスが引っ掛かります。保険の詰め物は適合が悪い事が多いので、気になる場合は歯科医院にてご相談下さい。

 

口臭が予防できる

磨き残しが停滞すると、腐敗し匂いが発生します。

 

フロスを使い慣れるとフロスを通した際にバクテリアが繁殖する匂いに気がつけるようになります。

そうなれば、フロスを使わずにはいられなくなるので、いつもの歯ブラシ習慣と刷り込まれ面倒などと思う事も無くなる事でしょう。

口内の異常を発見できる

また、口内の異常を発見できるというのメリットの一つ。

 

例えば、フロスで詰め物に異常があれは取れるでしょうし、歯茎からの出血にも気か付けるでしょう。

とにかく歯に関心が多くなると思いますので、正しい使い方で日々使用して下さいね。

歯間フロスの種類と使い方

歯間フロスには「糸巻タイプ」と「持ち手つきタイプ」の大きく分けて2種類があります。それぞれ特徴が異なるので、自分に合ったものを選びましょう。ここからは、歯間フロスの種類と使い方をご紹介します。

糸巻きタイプ

糸巻きタイプ

糸巻きタイプでも素材により良し悪しがあります。

 

主観にはなるかも知れませんが、私はGCのルシェロフロスを愛用していますが、以前に出先でそのフロスを忘れてしまい、コンビニエンスストアで別のフロスを購入した事があります。

急遽買ったそのフロスは滑りが良すぎて歯垢が除去出来ず、物により使い勝手がとっても変化する事を実感しました。

 

ワックス有り無しは、歯と歯の間の接触圧力は人により異なる為、フロスを出し入れする時に嫌悪感などを感じなければワックス無しの方が滑りが悪いのできちんと歯垢が除去出来ると思います。

私はキツくて嫌だなと思ってしまうのでワックス有りを愛用しています。

ホルダータイプ

ホルダータイプ

子供の仕上げ磨きの際に、どうしても口が小さいですから、糸巻きタイプで出来ない場合は小児用のホルダータイプを使用しましょう。

もし、お子さんに使用する場合は、ご自身が使い慣れてから行いましょう。物の道理をわきまえてから、使用した方が、効率良く、適切に使用できるはずです。

また、ホルダータイプの欠点は可動域に制限が有る事と接触圧を適切にコントロールできない点です。

これについて写真や図を用いて下記に示させて頂きます。

歯間フロスを使う頻度、使い方のポイント

使う頻度は上記に記載してあるので、ここでは使い方のお話をします。

要点を踏まえて使用すれば、良い結果をもたらす事でしょう。

 

まず、初めにフロスを適度な長さに切るのですが、余裕をもって40~5㎝位で切ると良いでしょう。

次に利き手と反対側の手の人差し指に2~3回転し巻き付けて固定します。余りキツ過ぎると鬱血するので気を付けて下さい。キツすぎず、緩すぎないのがミソです。

良くある使用方法では両手の指に巻き付けていますが、僕は片方だけに巻き付けて使用していますので、どちらがやりやすいかを実際に体感して見てくださいね。

そして、片方は歯列の内側、もう片方は頬っぺた側に指をおき、フロスを通して行きます。

この時にフリーハンドでフロスを通してしまうと、歯間乳頭(歯茎)にフロスが力強くぶつかってしまい、歯肉退縮や歯肉が炎症を起こす原因になります。

 

必ずレストを置きながらフロスがコンタクトポイントを通過する時の力のコントロールを出来るようにする事が、とても大切だと思います。

コンタクトポイントを通過したら、フロスを両方向に動かしてしまうと、折角取れた汚れを歯肉の中にいれてしまう可能性が有ります。

可能であれば一方通行にフロスを動かしていただけると良いかと思います。

歯周ポケットという歯と歯茎の間に隙間がありますが、ここにも磨き残しがあります。

フロスが歯肉に隠れる程度は入れても良いですが、あまり深く入れない様に気を付けて下さい。

フロスは接触点(コンタクトポイント)を清掃する事が目的ではなく、歯の側面に付いている汚れを取り除く事がポイントです。

 

たとえて言えば、身体を洗う時に背中に手が届かないので、タオルで擦り合わせる様なイメージで、歯の側面に押し当てて汚れを掻き出します。

慣れる迄は難しいと感じるかと思いますが、慣れてしまえば歯と歯の間で食べかすが、バクテリアにより繁殖する臭いに気が付けるようになりますので、辛抱強く続けて下さい。

また、できるようになると、すべての歯と歯の間を通しても2分も掛からないと思います。

また、フロスを持ち上げる時にフリーハンドで行うと、歯も同様にテンションが掛かるので、フロスを通している隣接歯のどちらかを抑えてフロスを持ち上げるようにして下さい。

また、フロスで歯肉が下がる事は、正しく使用していれば起こらないと考えて頂いて差し支えないので、きちんと使いましょう。

歯間ブラシを誤った使い方、選び方をすると歯肉退縮の原因になりますので、ご注意下さい。

まとめ

フロスを使うと歯肉が下がると言われたり、思ったりなさっている方がおられると思いますが、それは間違った使い方によって発生するか、歯肉が炎症を起こして腫れている場合は炎症が引くと歯肉が下がった様にみえます。。基本的にフロスで歯肉退縮はしません。

年齢を重ねると歯ひは硬くなり、虫歯の頻度は減ります。但し、歯を支えている骨が減少し歯が揺れてくる事が心配になります。歯は基本的に中心(正中)に向かって力が掛かっているので、60歳を越えた方で下の前歯が重なってくる方を目にしますが、下の前歯が重なってくると上の歯との接触関係が悪化して、上もしくは下の前歯が揺れてくる場合があります。

これによってバランスが崩れ歯を失う事に繋がりますので注意しましょう。もし疑問があれば御質問下さいね。

監修医師プロフィール

監修医師プロフィール

N.S. デンタルクリニック 院長

長里 康史先生

 

[略歴]
平成23年 奥羽大学歯学部卒業 奥羽大学附属病院 臨床研修
平成24年 都内歯科医院勤務
平成29年 N.S. デンタルクリニック 開院

N.S. デンタルクリニック
https://www.ns-dental-cl-smile.com/

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