【皮膚科医監修】肌がゆらぐ季節は、老化が進む?カギとなる“バリア機能“を高める最新スキンケアとは
春から初夏に向かう季節、気温も湿度もジェットコースターのように変化して肌に負担を与えます。
そこに花粉や黄砂などのアレルゲンや加わり、肌がゆらいで大ピンチ!
ゆらぎ肌による微細炎症を一過性のものと侮っていると、実は、肌が土台から弱まって“肌老化”が加速してしまうそう。
ゆらぎ肌・肌老化のカギを握る“バリア機能”のメカニズムと、バリア機能を高める最新スキンケア方法を、WOVEクリニック中目黒の総院長で『お肌は最強の「バリア」です!』(晶文社)を出されたばかりの美容皮膚科医・髙瀬聡子先生に聞きました。
健やかな美肌は“バリア機能”を高めることから
「季節の変わり目に、かゆみや赤みなどの肌の不調“ゆらぎ肌”の兆候が出たら、肌内部で微細な炎症を起こしている可能性があります。肌のバリア機能が、外的要因からの刺激に追いつかず低下すると、肌が無防備の状態になり肌ダメージを受けますが、都度ケアしないと蓄積してしまい、肌荒れ→肌老化へと繋がっていくのです」(髙瀬先生)
お肌のバリア機能とは、具体的にどんなことを指すのでしょう。
「皮膚は、人間の体を守る特別な“臓器”のひとつ。外界の有害物質や紫外線などを体内に入らないように守り、人体に必要な水分を保持、雑菌の繁殖を防ぎ、体温調節の役割もあります。これらの皮膚の強力なバリア機能の低下は、健やかな肌を維持するため、とても大きな影響を与えます」
薄い皮膚にそんなに大事な役目があったなんて!
バリア機能と水分保持能力が、ゆらぎ肌対策のポイント
「肌のうるおいの元になるのは水分。そして、水分を蓄えておく力・水分保持能力もとても大切なのですが、花粉や黄砂などのアレルゲンや、春先の温度差・湿度差・紫外線量の増加などの刺激により、バリア機能が損なわれ、水分量も低下。その結果、乾燥による炎症が進んで炎症を起こしやすくなります。そして、肌内部で起きた微細な炎症は、肌老化の要因に。
洗顔後すぐに顔がつっぱるようであれば、既にバリア機能が低下している兆候かも。この時期のお手入れは、バリア機能の強化と水分保持能力の強化に集中してしましょう。赤みやかゆみが出て、1~2週間続いてしまったら、クリニックを受診するなど、早めの対策を心がけることをおすすめします」と髙瀬先生。
これらの成分は乾燥によって失われやすく、また加齢によっても減少することが知られています。
「美肌づくりに不可欠なハリと潤いを与えてくれる女性ホルモンであるエストロゲンが減ると、お肌は乾燥します。また、皮脂分泌を活発にする女性ホルモンであるプロゲステロンが減ると、お肌の潤いも減少します。加齢とともに水分・油分共に減少するため、季節はもちろん、年齢によっても肌のケアは変える必要があります」と髙瀬先生。
水分と油分のバランスが大切
「バリア機能の低下した肌は水分保持力が弱まっているので、ローション等をしっかり与えるだけでは意味がありません。水分を守る油分も必要です。ヒアルロン酸やコラーゲンといった保湿成分を配合したローションや美容液でケアしたら、アミノ酸やミネラルなどのNMFや、セラミド、クリームや乳液などの油分を補い、しっかり蓋をして。水分・油分がバランス良く整った“土台力のある肌”づくりを心がけることが、エイジングと共にますます必要になってきます」(髙瀬先生)
春先につい油断してしまう、バリア機能を低下させる要因とは?
「春先の“紫外線”に油断は禁物。紫外線量は4月頃から急激に高まっていきます。無防備な状態ではシミの元になることはもちろん、赤みやかゆみを伴う炎症を起こし、肌の水分が失われてしまいます。ターンオーバーのサイクルも狂い、細胞が未熟なまま角質が剥がれ落ちることでさらに乾燥が進み、キメの乱れたゴワついた肌になるなど、肌不調が出やすくなり、老化の原因にも。私は、季節・天気を問わず、朝のスキンケアの最後に日焼け止めを入れるSTEPを習慣にしています」(髙瀬先生)
その他、ゆらぎ肌対策として、気を付けるべきことはなんでしょう?
「肌に強い刺激は避けましょう。お風呂に入ってお湯のシャワーでクレンジングする方、皮脂が損なわれてしまいます。必ず、冷ためのぬるま湯で優しく洗うようにしてください。クレンジング剤とやり方も重要。例えば、バーム状のクレンジング剤がなかなか落ちないからと擦りすぎると肌に負荷をかけてしまいます。白くなるまで丁寧に乳化させて、メイクとクレンジング剤をなじませてから洗い流しましょう。肌の油分に近い乳液タイプがおすすめです」(髙瀬先生)
スキンケア以外で、お肌にとって大切なことがあれば教えてください。
「肌は食べるものからつくられています。タンパク質、炭水化物、食物繊維といった基本の栄養と、美肌づくりの元となるビタミンB群やビタミンC、ミネラルなども摂取して。睡眠不足やストレスもバリア機能の低下につながります」(髙瀬先生)
と教えていただきました。
次からは、自宅でできるセルフケアと併せて実践したい、美容クリニックでの最新ケアをご紹介します!
バリア機能を土台からしっかり整えたい人にはゆらぎ肌でも安心のクリニック最新メニューを
セルフケアではなかなか肌調子が良くならない、肌のバリア機能を土台力から上げたい、という方は、クリニックの施術も検討してみましょう。
「クリニックでは、肌の状態をきちんと見極めて施術を提案します。バリア機能の低下が見られたら、ヒアルロン酸注射、肌質改善なら、ヒト胎盤抽出のプラセンタ注射・点滴、ヒト幹細胞培養上清液点滴など。食事で補うだけでは足りないビタミンBや高濃度ビタミンC、マルチビタミンの注射も、手軽に取り入れられるかと思います」(髙瀬先生)
赤みや炎症が消え、バリア機能が高まるウィンセルとは?
「かゆみがあるほど乾燥している状態、花粉皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの肌トラブル・リセットには、最新バリア・ケアともいえる“ウィンセル導入”をご提案しています。肌に機器が触れることなく、超微細水粒子を有効成分と共に角質層へ届けます。炎症の改善が早く、肌の内側から水分量を高めることができるため、継続的にケアしていくと、肌の水分保持力が高まりバリア機能が強化されます。摩擦の刺激がないため、肝斑などでクリニックのケアを諦めていた方にも」(髙瀬先生)
施術時間はわずか20分。
超微細な水粒子が角層の水分量を上げ、お肌に塗布した有効成分がダイレクトに導入されていく新世代の施術メソッド。
ウィンセル:7,700円~13,200円(※導入剤により異なる)
https://wove.jp/clinic/air.html
「ターンオーバーのサイクルが乱れないよう、週1もしくは隔週1回の計4回を目安に、まずは1~2カ月の集中ケアをおすすめします。ウィンセル導入をしている患者さんは、超乾燥肌の方も肌がうるおってキメが整い、敏感肌による赤みが消えています。ツヤ感やハリも感じられ、肌が土台から改善していくことを実感できるでしょう。同時に、選ぶ導入剤の効果で肝斑やシミ、シワやたるみなど複数の肌悩みも改善できます」(髙瀬先生)
画像:乾燥による肌荒れなどの肌悩みに応じた専用の導入剤を使用
これまでの美容クリニックでは、肌悩みをピンポイントに改善することが重要視されていましたが、美容意識の高い方を中心に、美容クリニックの通い方が変わってきているそう。
「肌のトラブルがひどくなってからケアすると、肌の土台にも響き、治療に時間もかかります。そのため最近では肌本来の機能に着目して、微細炎症のうちにしっかりケアすることが、肌老化予防や美肌に繋がるという考え方が主流になりつつあります」(髙瀬先生)
まとめ
季節や加齢で、肌のバリア機能が衰え外界からの刺激に弱くなるので、すこやかな肌をキープするためにはスキンケアの見直しをする必要がありそうです。
そして日頃から微細炎症を放っておかず、早めに肌トラブルをケアすることが大切なのですね。
髙瀬先生は最後に
「日々お肌にやさしく触れて、整ったお肌でいることは、実は心と体のコンディションを整え、HAPPYにつながるんですよ」
というメッセージをいただきました。
丁寧なケアで自分の肌をいつくしみながら、すこやかで楽しい毎日を送りましょう。
医師監修プロフィール
ウォブ クリニック中目黒 総院長
髙瀬 聡子(たかせ あきこ)
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2007年美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック中目黒」を開院、総院長を務める。
日本美容皮膚科学会会員、日本皮膚科学会正会員。
著書に「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)、「ゆる美容事典」(講談社)、「気になるパーツのスキンケア2週間速効メソッド」(宝島社)、近著に「お肌は最強の『バリア』です!」(晶文社)などがある。
書籍:「お肌は最強の『バリア』です!」 1,500円(税別)
美容皮膚科医の立場から<病気>と<老化>を防ぎ、「肌のケア」の重要性を伝える一冊。
アトピー性皮膚炎や花粉症、ニキビ・吹き出物、ひどい乾燥はなぜ起こるのか?肌トラブルの根本原因と対処法、健やかな肌を育てるメソッドまで網羅されています。
構成・文/藤島由希(しかくいまる)
撮影:岡本卓大 ヘアメイク:NANA スタイリスト:田中ゆかり モデル:秦麻里子